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ダイワボウホールディングス株式会社(3107)

開催日:2024年11月30日(土)

場 所:TKPエルガーラホール 8階 大ホール(福岡県福岡市中央区)

説明者:常務取締役  猪狩 司 氏

 

1.会社概要

  • 本社は大阪にあり、中之島フェスティバルタワー・ウエストの28階に事務所を置いています。設立は1941年で、繊維業の大和紡績としてスタートしました。その後、2009年にダイワボウホールディングスを設立しました。社長の西村幸浩は佐賀県出身で、2020年から代表取締役を務めています。事業は、主軸のITインフラ流通事業と産業機械事業の2つです。証券コードは3107です。3,000番台は繊維業の番号のため、繊維業と認知されているかもしれませんが、東証プライム市場における業種は卸売業です。
  • グループの沿革です。当社は繊維業の大和紡績から産業機械事業とITインフラ流通事業が分離、独立してきた歴史があります。3つの事業会社はそれぞれ単独で東証一部に上場していましたが、2009年、経営統合によりホールディングス体制となりました。今年3月、祖業の繊維事業の株式を譲渡したことを発表しました。これにより現在は2事業体制となっています。
  • 繊維事業の独立について。昨年5月に検討開始を公表しました。当社グループにとって最適な事業ポートフォリオを確立するために、ダイワボウホールディングスは大和紡績にとってベストオーナーなのかどうか、このままでも持続的な価値創出が可能なのかどうか、この2つの観点から検証を重ねました。検討の結果、昨年11月に国内ファンドであるアスパラントグループ株式会社に、大和紡績の株式85%を譲渡する決議を行いました。今年3月、株式譲渡が完了しました。それにより、大和紡績は今期より、当社グループの連結対象から外れることになりました。繊維事業の独立により、当社の事業セグメントは現在2つになっています。
  • 当社の売上高、営業利益構成比は、ITインフラ流通事業が全体の90%以上を占める構成比となっています。社名に「ボウ」と付くことから、これまで紡績や繊維のイメージがあったかもしれません。しかし、実態はITインフラ流通事業のウエイトが圧倒的に大きいIT機器専門商社です。産業機械事業も業界で独自の強みを発揮しています。

 

220253月期 通期業績見通し

  • 8月に通期業績の修正予想を発表しました。しかしその後、第2四半期の実績が想定以上に拡大したことにより、下期も含めて改めて今月、上方修正をしています。通期予想は、売上高を1兆1,235億円、営業利益を330億円としています。第2四半期は、Windowsの更新事業の状況を見ると、下期もこのまま好調に推移すると予想できます。昨年度までの数字は繊維事業分が含まれています。資料には、参考としてグレーラインで記載しています。当期純利益は前期比437%となりました。これは昨年度に大和紡績の株式譲渡に伴う特別損失を計上して低くなったためで、一過性のものです。
  • 下期業績の予想は、上期に続いて売上高と営業利益ともに、前期を大きく上回ると予想しています。

 

320253月期 2四半期決算と業績推移

  • 2025年3月期第2四半期は、主力であるITインフラ流通事業で、企業・官公庁・文教向けの販売がいずれも好調に推移しました。上期としては過去最高の売上高を更新しており、営業利益も3期連続の増益となっています。この上期実績を踏まえ、今期の見通しを上方修正し、株主還元も配当金を増配することにしました。現在は自己株式の取得も順調に進んでおり、10月末時点では約85億円になっています。
  • 昨年度までの実績には繊維事業の連結売上高約590億円が含まれています。売上高は過去最高の5,173億円、前期比16%の増収、通期予想に対して46.1%の進捗(しんちょく)です。当社の季節性として、売り上げは上期より下期のほうが拡大する傾向にあります。今、良いペースで進んでいると思っています。
  • 営業利益は135億円、前期比5.9%の増益となりました。通期予想に対して進捗率は41%です。
  • 経常利益は前期比7.2%増の138億円、純利益は前期比11.1%増の94億円、1株当たり中間純利益は102円となりました。
  • 連結の財政状態について。総資産は、現金および預金・売上債権の減少により、前期比83億円減の3,968億円です。純資産は自己株式の取得により、前期比14億円減の1,406億円となりました。なお、自己資本比率は35.4%です。
  • セグメント別業績について。ITインフラ流通事業の売上高は、前期比24.9%、営業利益も前期比13.8%と大変好調でグループをけん引しています。産業機械事業はいずれも前期比はショートしており、少し苦戦がうかがえます。ここでも参考までに、資料には昨年度まで含まれていた繊維事業分をグレーラインで記載しています。
  • 14年前にホールディングス体制となってからの業績推移から、売上高は2010年の約2.2倍となったことが見てとれます。2020年3月期は、Windows7からWindows10への更新事業がありました。翌2021年3月期は売上高が伸びています。これは小中学校で生徒1人1台パソコン配布をした政府のGIGAスクール構想があったためです。その特需を受けての数字です。そういう需要を捉えて、21年3月期は初めて売上高1兆円を超えました。翌22年3月期は、前年の特需の反動と、収益認識基準適用のため、売上高が減少しました。今年度の見通しは、売上高1兆1,235億円と過去最高となる見込みです。
  • 営業利益はこの14年間で約6.2倍と、着実に利益を伸ばせる企業に成長してきました。今年度の営業利益の見通しは330億円です。
  • グループの経営指標について。当社では、ROEとROICを重要な経営指標として位置付けており、設定した目標を上回るよう、事業会社との連携に努めています。昨年度のROEは、繊維事業独立に伴う特別損失計上のため、低い数値となっていますが、これは一過性のものであり、今期は15%以上の見通しとしています。ROICも資本コストを上回り、13%以上の見通しとなっています。

 

4.当社事業の強みと戦略

ITインフラ流通事業】

  • 当社は総合商社でなく、ITインフラ流通の専門商社です。主要事業会社はダイワボウ情報システム株式会社で、略してDIS(ディーアイエス)と呼んでいます。DISの本社も大阪にあり、ホールディングスと同じビルの10階に事務所を構えています。DISの拠点数は全国に96カ所あります。福岡だけでも3支店、沖縄を含めた九州エリアには10支店あります。日本で支店がないのは、大阪から近い奈良県だけです。
  • DISの創業は1982年です。大和紡績の工場でモニタリングシステムを開発した部署所属の10名でスタートしました。1982年はNECから16bitパソコンのPC-9800シリーズが発売された年です。当初はNECの特約店として、PC-9800シリーズを販売していました。その後、一気に全国への多店舗展開を進めて、在庫をベースとした即納体制と、独自の販売管理システムであるDIS-NETを構築して、ここまで成長してきました。
  • DISの今年度の見通しとして、売上高は単独で初めて1兆円を超える1兆1,111億円、営業利益は323億円を予想しています。売上高は前期比24%増、営業利益も14%増と、グループを大きくけん引する売上高と利益の予想となっています。
  • DISのビジネスモデルは、メーカー(仕入先)と得意先である販売パートナーで構成されています。われわれは卸売りであり、エンドユーザーへの直接販売は行いません。1,400社の仕入先から、世界中のパソコン・周辺機器・ソフトウエアなどを大量に仕入れ、販売パートナーに提供しています。販売先は全国に1万9,000社あるSIerや事務機器販売店、家電量販店、EC事業者などです。全国96カ所の営業網を持ち、地域密着の営業体制を敷いているのは、他社にない強みです。当社はさまざまなIT商品を仕入れて、在庫を持ち、全国の販売パートナーに提供する単なる箱売りではありません。販売支援や情報提供、技術サービス、物流サービスなどを組み合わせて提供できる点に強みがあります。
  • DISが選ばれる理由は、メーカーにとっても、販売パートナーにとってもメリットがあるからだと思います。メーカーは、全国にあるDISから「お客さまが今何を求めているのか」「何をどれだけ作ればいいのか」の参考データが得られます。これは大きなメリットだと思います。また、DISからの注文は、DISの物流センターに一括で納品すればよく、効率も良く、運送コストが軽減できるメリットもあります。
  • パソコンを買うときは、同時にモニターやマウス、キーボード、オフィスソフト、ネットワーク機器などを一緒に購入されるケースが多いと思います。販売パートナーも同じで、多くのメーカーに都度、価格や在庫を問い合わせなくても、全国に96拠点あるDISの営業に聞けば、シングルウィンドウで簡単に確認できます。 多くのメーカーと売買契約書を結ぶ必要もなく、在庫も持たなくてもいい、早めの注文であれば翌日には商品を納品してくれる、このような便利な機能をDISは提供しています。見積もり支援やシステム構築などの技術支援、保守サービスなどさまざまなサポート体制が充実しているからこそ、DISが選ばれているのだと思います。このように、DISはメーカーからも販売パートナーからもメリットを感じてもらえる、なくてはならないビジネスモデルを構築しています。
  • 昨年度の国内におけるPCシェアは、全体で28%、法人向けは37.6%を占めました。国内企業に販売されるPCの3台に1台は、当社から出荷していることになります。このシェアを獲得するには相応の調達力が必要になります。その調達力と全国96カ所の営業網という強みをしっかり発揮することで、高い水準のシェアが維持できていると思っています。パソコン本体の売上高構成比は全体の45%程度で、それ以外の周辺機器・サービスやソフトウエアなどの商品カテゴリーの実績も拡大しています。
  • 来年10月にWindows10のメーカーサポートが終了します。それに伴う更新需要が、ここ2Q以降、徐々に強まっています。この傾向は下期も続くと見込んでおり、下期だけでも、PC出荷台数は前年比31%増の215万台と予想しています。 GIGAスクール構想第2期の見通しとして、今年度の更新は都道府県単位で実施される共同調達から外れた先行調達のみとなり、業績への影響は限定的だと見ています。共同調達は来年1月以降に順次実施されるため、本格的な導入は来年がピークになると見込んでいます。現時点では、GIGAスクールにおける具体的な出荷台数の予想は難しい状況ですが、引き続き、地域密着営業による案件獲得に取り組みたいと考えています。
  • 私たちはサブスクリプションビジネス、略してサブスクにも注力しています。管理ポータル「iKAZUCHI(雷)」を作り、それを販売パートナーの皆さまに利用していただくことで、月額払い・年額払い・従量課金などのサブスクを広く浸透させて、ストックビジネスの地盤を確立する戦略を取っています。PC市場のシェアは重要な指標の1つですが、「iKAZUCHI(雷)」経由の取扱高も注視しています。昨年度の実績は285億円でしたが、今年度は400億円まで伸ばす計画としています。上期だけで190億円に到達し、順調に進捗しています。卸売りのため、利益率が一気に跳ね上がることはないですが、ハードの提供だけではなく、さまざまなサービス体制を構築することで、利益率の向上を目指しています。
  • 全国96カ所ある支店の営業力も重要ですが、大量の製品を在庫して出荷する物流センターもDISの大きな武器になっています。現在、全国で5カ所の物流センターが稼働しており、中でも1万坪を超える関東と関西の大型センターは最新ロボットを導入して、入出荷作業の効率化や保管スペースの最適化を図っています。 パソコン・タブレット・スマホを事前に設定することをキッティングと言います。物流センターにはその作業を行うキッティングセンターを併設しています。ご要望に応じてキッティングして、そのまま即出荷する付加価値も提供しています。このような便利な機能が顧客満足度の向上につながっていると思っています。
  • ローコストオペレーションを推進することで、営業利益率を高めてきた経緯があります。ローコストオペレーションを支えているのが、DIS-NETと呼んでいる販売管理システムの存在です。このような基幹システムが順調に稼働しているからこそ、1兆円の販売が可能になる仕組みです。 DIS-NETは1998年から稼働し、現在はバージョンIVになっています。次世代のシステム更新を検討中です。バージョンVは2026年の稼働に向け、この3カ年で大幅に強化する計画です。

【産業機械事業】

  • 産業機械事業の中核会社は株式会社オーエム製作所です。立旋盤、鉄道車輪旋盤の国内トップメーカーです。
  • 立旋盤は3メートルほどの大きな金属を丸く削る機械です。航空機エンジンのタービンや、ロケットの部品、発電設備や建設機械などさまざまな分野の部品を加工します。「立旋盤のオーエム」と言われるぐらい、国内外からの評価も高く、中・大型クラスでは国内シェア1位を誇ります。 車輪旋盤とは、私たちが普段利用する新幹線や電車の車輪をメンテナンスする機械です。新幹線も電車も走行すると車輪が傷つきます。それを磨くための機械です。私たちはなかなか目にすることはありませんが、縁の下の力持ちとして、全国を走る新幹線や電車の安全と乗り心地の向上に寄与しています。車輪旋盤も国内シェア1位です。 自動包装機械も製造しています。食品や医薬品などを自動的に箱詰め・包装する機械です。これも幅広い業種で導入されています。
  • オーエム製作所が作る工作機械は、航空・宇宙分野をはじめ、あらゆる産業のマザーマシーンとして導入されています。また、自動機械も業種を問わず、箱詰め・梱包機として活躍しています。得意としている航空機業界が長いコロナ禍で低迷したことで、しばらく苦戦が続いていましたが、受注は徐々に回復の傾向にあります。一方、原材料高騰による利益減少や、中国市場不振による受注低迷などがあります。メンテナンス事業の拡大やコストダウンによる利益改善が大きな課題です。

 

5.中長期ビジョン『2030VISION

  • 当社の目指すグループ体制は、IT分野を軸に新たな事業領域へ経営資源を投入し、バリューチェーンのさらなる発展につながるグループ体制を構築することです。これが、当社が描くエクイティストーリーです。2030年のあるべき姿は、社会に求められる事業モデルを創造する、なくてはならない企業グループになることです。ディストリビューション事業をメインの柱とした、オールインワンソリューションカンパニーを目指します。定量目標として、「2030年度に連結営業利益500億円を目指す」と設定しています。
  • 事業ポートフォリオ変革による躍進期として、新たな飛躍をする覚悟で臨むこの3年間が重要な期間となります。今年の3月に繊維事業を独立させました。それにより新たなグループ体制を早期に整備して、グループのポテンシャルを高めていく必要があります。新規領域の確立に向けた施策を着実に実行しながら、さらに成長力を高めていければ、2030年度の営業利益500億円も現実味を帯びてくるのではないかと考えています。
  • 2030年に達成したい当社のイメージは、連結営業利益500億円の達成に向けて、既存のITインフラ流通事業は、ITディストリビューションとして絶対的なコアとしながら、川上のITプロダクトから川下のITソリューション、ITサービスまでを網羅していくものです。新たな事業領域は、シナジーが期待できるIT市場の周辺分野や、AI、DX関連を含めた先進テクノロジー分野を中心に模索していきます。また、あるべき姿の実現に向けて、社名変更も検討しています。
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6.株主還元

  • 好調な今期の業績を反映して、2025年3月期の配当は、中間45円、期末45円の年間90円とし、当初予定の70円から20円増配します。自己株式取得は昨年度に実施できていないことを踏まえて、現在約100億円を実行中です。直近の10月末時点では、85億円と順調に進めています。これにより、配当性向は36.2%、総還元性向は79.6%を予定しています。
  • 5月にキャピタルアロケーション方針を発表しました。配当金は、配当性向30%以上の安定的な配当としており、この中計期間中は累進配当として減配しない方針です。その上で、自己株式の取得を組み合わせて、総還元性向60%以上を目安に進めます。また、自己株式は今後、償却も検討する予定です。
  • 日経平均株価と比較しても、株価は大きく成長してきました。10月末時点の株価は2,770円、昨日の終値が3,060円でした。引き続き、TSR、PER、PBRなどの指標にもぜひ注目していただければと思います。

7.キーメッセージ

  • 最後に本日伝えたかったキーメッセージをまとめています。ダイワボウホールディングスは、祖業である繊維事業を分離・独立させました。DISを中核会社としたITインフラ流通事業が主軸の会社です。そして、中長期ビジョン「2030VISION」で発表したとおり、なくてはならない企業グループとなるべく、進化を続けていく企業であることをご認識いただきたいと思います。また、今期の売上高予想は過去最高となる見通しであり、経営指標としているROE、ROICともに、当社の目標水準を上回る見通しです。安定した収益基盤を背景に、現中計期間は累進配当とし、減配はしない方針です。自己株式取得も配当と合わせて機動的に行い、総還元性向60%以上を目安としています。ダイワボウホールディングスという会社を少しでも理解いただけたでしょうか。ぜひ皆さまのご検討の1社に加えていただければと思います。

 

8.質疑応答

Q1. 今期の総還元性向は79.6%ですが、この高い還元性向は今後も継続されるのでしょうか。

A1. 5月に発表した中期経営計画では、総還元性向の水準を60%としています。今期の総還元性向が高いのは、前期に大和紡績の株式譲渡があったことで自己株式が取得できず、今まとめて実施しているためです。60%以上をきちんと継続したいと考えています。

 

 

Q2. 「AI PC」が話題ですが、この流れは御社にプラスに働くのでしょうか。

A2. 今AIが話題になっています。結論から言うと、プラスになると思っています。一部が販売されていますが、二十数万円と高価です。AI PC商品の品揃えはこれからです。これから徐々にNPUというプロセッサーを搭載したAI PCが出てくるでしょう。NVIDIA社のGPU(Graphics Processing Unit:画像処理装置)が有名ですが、NPUとそのGPUを一緒にした商品もあります。高価なこともあり、導入はもう少し先になると思っています。 外部調査機関であるMM総研のレポートでは、3年後の2028年には、法人系PC出荷台数の約3分の2がAI PCになるのではないかと予想されています。少し時間はかかるかもしれませんが、徐々にAIを搭載したパソコンが普及すると思っています。単価も高くなるため、売り上げに貢献してくれるのではないかと思っています。われわれがどううまく提案できるかにかかってくるかと思います。期待は大きく、必ずプラスになると思っています。

 

以上

 

 

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