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株式会社アイティフォー(4743)

開催日:2024年11月30日(土)

場 所:TKPエルガーラホール 8階 大ホール(福岡県福岡市中央区)

説明者:代表取締役社長  佐藤 恒徳 氏

 

1.アイティフォーってどんな会社?

  • 「私たちは、安心・安全・便利な日常生活を支える企業です」と記載しましたが、なかなかピンとこないのではないかと思います。当社はシステム開発(IT)を中心として、業務を請け負うBPOと2つの柱で事業を営んでいます。その事業には大まかに分けて6つの分野があります。
  • 1つ目は地方銀行を中心とした金融機関向けのシステム事業です。2つ目は県庁や市役所など公共機関向けのシステムと業務委託を行っています。3つ目は小売業/EC事業者向けのシステムで、例えばお店のPOSレジやネットで買い物ができるECサイトの構築などです。4つ目はコンタクトセンター、いわゆるコールセンターのシステムです。特に最近では生成AIを活用し、無人のコールセンターも手掛けています。
  • 5つ目は通信基盤/セキュリティーの分野で、世の中で言われるネットワークのことです。例えば携帯電話の通信の基地局などを中心とした社会インフラの支援も行っています。6つ目はキャッシュレス決済です。政府ではキャッシュレス比率を高めようという方針ですが、お店にあるカード決済端末やデータを受けるセンターなどの分野です。
  • 当社の九州地区での取り組みですが、本年10月1日には佐賀銀行様で加盟店開拓の端末を展開しました。過去には鹿児島銀行様の「Payどん」というキャッシュレスの端末を当社で提供しております。福岡県では、システム導入やBPOという業務を受託しているケースが41、顧客数は26社あり、九州・沖縄地区の全県で多くのお客様に当社のシステム・サービスを導入していただいています。
  • 当社を安心・安全を支える企業と言いましたが、ライフステージに沿って、どのように安心・安全を支えるのかをご紹介したいと思います。子どもが生まれた際に提出する出生届の窓口業務を業務委託により行っています。これがBPOです。入園・入学の際の各種手続きや給食費の管理、そして奨学金の申請まで行える公共事業の学務支援システムがあります。携帯電話を使うようになった場合の基地局の設置については、通信システムの事業で支援しています。高校や大学に入学するとスマホを使う、ネットで買い物をするなどがありますが、その際に利用されるコールセンターも提供しています。社会人生活が中堅になってきた際の、会食のお店の予約などの手続きに使用されるショートメッセージサービスも当社が独自に開発し提供しています。うっかり忘れへの対応もスムーズにできるものを持ち合わせています。
  • 結婚してファミリーができ住宅を購入する際、住宅ローンの申し込みなどをすることがあると思いますが、その仕組みを持ったシステムを幅広く提供しています。そしてセカンドライフを迎えた時、親や孫とのコミュニケーションを取る、また介護のシステムを利用するなどの通信システムや公共システムを提供しています。
  • 社会人になって、銀行口座の開設、クレジットカードの申し込みを行う場合、スマホで簡単に操作できるアプリを金融機関に提供しています。1人暮らしをすると、買い物など全てを自分でしなければなりません。ネットでの買い物、セルフレジなどのシステム、またお店に置いてあるキャッシュレスの端末などを当社の流通ECシステム、決済システムで提供しています。
  • 私どもは地方創生に力を入れています。当社の約500人弱の社員の出身地は47都道府県全てにわたっており、都道府県全てで当社の社員が生き生きと働けるようにしたいと考えています。それぞれの地域に少しでも支援ができるように本年10月、福岡、熊本、大分で開催された「マイナビツール・ド・九州2024」に2年連続で協賛し、今年はより踏み込んで参加をしました。少子化問題、空き地の活用方法などについての高校生との対話、電子スタンプラリーの実施により景品として地元の特産品の配布、出展ブースにおけるキャッシュレス端末の無償提供などを行いました。
  • どの企業にとっても人財の確保、人財の育成が課題だと思いますが、当社では人的資本施策を強く推し進めています。奨学金返済サポート制度を導入し、貸付金利はゼロで、自由返済型を取り入れ、少しでも楽に返済できることを目指しています。また従業員向株式報酬制度を導入しました。これはRS信託方式ですが、全社員向けに導入し、株価を意識した経営をすることで企業価値向上を目的としています。
  • さらに将来の人財育成のための活動を行っています。まず小学生向けには47都道府県の新聞社主催の「全国選抜小学生プログラミング大会」に協賛しています。昨年受賞した小学校3年生を当社に招待し、社員の前でプレゼンテーションやプログラミングを披露してもらいました。高校生向けには開発プログラミングを行うイベントの「アプリ甲子園2024」に協賛しています。
  • 大学生向けには、地方大学の生協と提携し、学食割引券をアプリで配布しています。当社の名前が表示されますが、少しでも大学生の負担を減らすことができればと取り組んでいます。
  • 中学生向けには千代田区内の中学2年生を招待し、3日間の職場体験を実施しています。今年はたまたま内定式と重なったため、内定式のお手伝いをしてもらいました。その際の動画や写真をデジタルタイムカプセルとして、その子どもたちが実際に就職活動をする頃にその時の様子をお伝えしようと考えています。

 

2.アイティフォーの強みは?

  • 当社の強みは顧客基盤とユーザー会です。全国47都道府県のうち、44都道府県の金融機関と取引があります。取引のある地方自治体は29都道府県、地方百貨店は19都道府県で、地方に根付いたビジネス展開を目指しています。また百貨店のみ、銀行のみ、コールセンターのみをそれぞれ集めたユーザー会というものを開催し、そこでの課題や悩みなどを取り入れて、システムに反映していき、この繰り返しにより取引が長く続くことが強みとなっています。
  • 銀行でも百貨店でも同様ですが、システムをパッケージで共通化することにより、価格を抑えることができ、拡販をしやすくしています。またユーザー会を通してバージョンアップ、リニューアルをすることで、末永く使用できる方法を取っています。
  • BPOや保守、クラウドサービスなどの定額方式の比率を高め、一過性で終わらない安定的な利益の確保の仕組みにも力を入れています。

 

3.アイティフォーの業績はどうなの?

  • 本年度上期の売上高は96億円でした。年間の業績予想は220億円ですが、上期における売上高、各利益は業績見通しを全て達成しています。通期の業績予想の変更はありません。この下期の活動をしっかりと進めていきます。
  • 過去7年間の業績ですが、売上高、営業利益ともに7期連続で過去最高を更新しています。特に売上高については、2016年は100億円ほどでしたが、ここ最近は一気に加速し、昨年は200億円を初めて突破しました。それに合わせ営業利益、純利益も順調に伸びています。
  • ROE、ROICについても、ROEが15.4%、ROICは15%と比較的高い水準で推移しています。また潜在株式調整後の1株当たりの当期純利益についても、昨年度100円を突破することができました。

 

4.アイティフォーは今後のびるの?

  • 「HIGH FIVE 2033」として10年度の姿を役員・社員一同で描いて、そこからバックキャスト方式で今年から始まった中期経営計画を策定し、推進しています。
  • 「事業を通じて、人々の豊かな時間を創出」という言葉を掲げています。システムを導入することで人が要らなくなり、コストが安くなりますが、当然時間が空きます。この時間をいかに最大限創出するかが非常に大きなポイントだと考えています。この空いた時間で次に何をやるか、どの方向に行くかなど新しいことを考えるところに使ってほしいという思いで、システムとサービスを提供しています。
  • 10年後、売上高700億円、営業利益126億円を目指しています。700億円というのは非常に大きな数字ですので、既存ビジネスである6つの分野の事業に加え、新規ビジネスをどんどん取り入れていく考えで動いています。新規ビジネスに掲げているものは、新聞等でよく話題になる社会課題に関するもので、既存の6つの事業に関連するところばかりです。そのためこのような領域に進出することで、全体の売り上げ増進を図る考えです。
  • 顧客深耕、顧客基盤の拡大を目指します。金融機関向けのシステムであるフィナンシャルシステムは現在99ある第1地方銀行、第2地方銀行の75%に導入しています。残りは25%しかないと思われがちですが、別のシステムを入れることで計算をすると、私どもが主力で持っているプロダクトだけでも約60%が導入できていないため、まだ成長余力があると考えています。
  • ただ今後金融機関の統廃合が進み、現在ある99行は2〜3年後には90行ぐらいになるのではないかと考えています。しかしその90行に新しいプロダクトを投入することで新しいマーケットが生まれると考え、さまざまな施策で対応してまいります。
  • また、金融機関以外のカード会社、クレジットカード会社、信販などの実績は少く、当社のシステムを導入する余地があり、無限大の可能性があると考えています。このような領域にも今後取り組んでいきます。
  • 当社のシステムが導入されている金融機関に当社の他の事業、例えばコールセンター、サイバーセキュリティーなど、その金融機関に必要なシステムを導入する、またフィナンシャルシステムが導入されない金融機関にもキャッシュレス決済端末を導入するなど、6つの事業をうまく組み合わせることで顧客のニーズに応えていこうと考えています。
  • 営業体制の強化も行っています。従来は東京本社からそれぞれの事業部の担当者が地方へ出張し営業活動を行っていましたが、これは非効率のため、今年度からその地域に特化して全てのプロダクトを扱うというアカウントセールス体制を敷いています。その地域の課題、悩みを吸い上げ、その課題に応じたプロダクトを提供するべく営業を強化しています。
  • 既存のプロダクトを横展開していくという例で、例えば無人のショーケースです。ショーケースにクレジットカードや電子マネーをかざし、扉が開き商品を取り出します。そして扉を閉めるとカメラと重量センサーで買った物を判別し、代金がカードから引き落とされるというシステムです。今後24時間営業は減っていくと考えられるコンビニエンスストアや、空港、高速道路、スーパー、ホテルなどで人手不足の時間帯に営業が可能となるわけです。生鮮食品であれば、フードロス解消にもつながりますし、多言語対応によって、人がいないから、言葉が通じないからなどによる機会損失も回避できるため、今後このような横展開に取り組んでいく考えです。
  • Digital Safeという新プロダクトを開発し、今年3月熊本県庁と共に実証実験を行いました。各自治体が配った紙に預金などの個人の情報を記載して自治体が預かるというエンディングノートがありますが、紙に記載するということは、紛失や人に見られるというリスクがあります。それをデジタルにして、スマホの画面から簡単に入力できる仕組みを作りました。
  • その中身には金融資産だけでなく、さまざまなパスワードや災害に遭遇した際に伝えたい人に伝えられる情報などを入れることができます。情報をしっかり守るということにも注力しています。

 

5.アイティフォーの株主還元は?

  • 当社は3月期決算です。2020年4月1日の株価は548円でしたが、今年4月1日の株価は1,376円でした。昨日の株価は1,400円を超えており、順調に伸びています。株価、企業価値向上を目指し、株主還元をしっかり行っていく所存です。
  • 時価総額は2017年は183億円でしたが、今年の9月現在では372億円と伸びており、昨日の終値から換算するところでは今現在400億円を超えるところまできております。これもしっかり上げていく取り組みを行っています。
  • 今日のような説明会などをあまり積極的に行っておらず、株主さまとの対話も非常に少なかったという反省点を踏まえ、IR活動を強化しています。その結果この3月期の株主数は1万1,000人を超えてきています。
  • 2024年3月時点での現金及び現金同等物の期末残高は115億円という状況です。
  • 現在は現金、預金、有価証券を含め同等物が約140億円あります。売り上げが200億円規模の企業で140億円は内部留保が多過ぎるというアドバイスを頂いており、その点を踏まえ現在の中期経営計画の最終年度におけるネットキャッシュの目標を設定しました。
  • この3年間で株主還元、事業投資などを積極的に行い、キャッシュフロー、キャッシュイン、キャッシュアウトを含め2026年末には80〜90億円にまで圧縮しようと取り組んでいます。
  • 株主還元は、従来は配当性向のみで進めており、以前は30%、この数年は50%以上となっていましたが、昨年から総還元性向に切り替えています。上場以来減配したことはなく、今期は通期で50円の配当予想を立てています。また昨年までは配当は期末のみの1回でしたが、今年から中間配当、期末配当の2回となります。
  • また業績見通しから換算するところでは総還元性向は目標の70%を大幅に超え、恐らく85%を超えるのではないかと考えています。
  • 当社はわれわれの努力次第でまだまだ成長の余地がある会社だと考えています。当社の製品は私たちの身近な生活の中で使われていますので、このシステムを使って良かったと言っていただけるよう今後の成長を目指し努力していきたいと考えています。

 

6.質疑応答

Q1. システム開発・販売とリカーリングやBPOとにおけるシナジー、相乗効果はどういったところにありますか。

A1. 当社の事業はシステム開発と業務を請け負うBPOという業務の2本の柱で成り立っています。その2つの業務を行うには理由があります。例えば市役所の窓口に請負業務で当社の社員が従事します。その際にこのように変えたら便利になる、この方法なら早く終わるなど、現場の業務の課題が浮き彫りになることがあります。それを当社のシステムの担当者が吸い上げ、システム開発することで効率化を進めることができます。そのようにどちらも必要で、双方からヒントをもらって開発し、回していくという大きな相乗効果が出ているのです。

 

Q2. 貴社が展開するシステム開発の市場規模や市場成長性について教えてください。

A2. 当社が行っている6つの事業は、人間が生きていく上での生活に必要なもの、いわゆる生活必需品ばかりです。当社は情報通信業に属していますが、サービス業に近い形だと思っています。この上半期、金利上昇により各金融機関の利益は非常に伸びています。反面、中小企業は円高、原材料費の高騰などで苦労していると思います。当社では債権管理システムを有していますが、これからはそのシステムに対するニーズが高まっていくのではと考えています。

       景気がいい、悪い、インフレ、デフレなどさまざまなケースが発生しますが、当社はそれぞれの局面に柔軟に対応できるシステムを提供できます。

       金融機関の例では、景気が良くなるとお金を借りる人が増えるため、ローンを組むための審査を行う審査システムの販売が伸びます。逆に景気が悪くなると返済期間の延長を希望する人が増え、延滞管理システムの需要が増えることになります。景気の良い時、悪い時それぞれの成長、制御に合わせたシステムを幅広く提供できますので、当社のシステムは常に需要があるものと思っています。そのような意味で、6つの事業を中心に社会生活の向上と共に当社も成長していけると考えています。

 

Q3. 今後の成長戦略におけるM&Aの活用についてはどのようなお考えですか。

A3. 当社は創業から52年が経過しておりますが、大きな筆頭株主もおらず、ずっと独自性を貫いてきました。さらに他社との協業もほぼしておりません。そのため現在の数字で止まっていたと考えています。今回方向転換を行い、M&A、そしてコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)に積極的に取り組んでいます。

       M&Aについては、経験に乏しく不安があること、また軌道に乗るには結構な時間が必要なことを考慮し、足元ではCVCという方法で事業会社への投資を行い、シナジーを求める形を考えています。

       例えばドローンを専門に開発しているベンチャー企業とのCVCを考えています。今年の1月に能登半島で地震が起きました。被災地では何も手が付けられない、罹災証明もすぐには出ないという状況がありました。その被災地をドローンで撮影し、それを公共システムで提供している当社のシステムに投入し、いち早く被災証明を出すことで住民への支援ができます。そのように当社のシステムが有効に活用される分野が多岐にわたり残っていると考えています。

       先ほどの無人の自販機についても、今は常温タイプのものしかありませんが、来年からは温められる自販機、イメージとしては中に電子レンジが入っているような無人自販機も考えています。昔から麺類にお湯が自動で入って作ることができるものがありましたが、自販機で販売している冷凍食品がその場で温められて食べられるというものです。

       先日熊本空港に行った際、朝早く到着したためにどのお店も開いていなくて、食事を取ることができないという経験をしました。そのような場合に、すぐに温かいものが食べられる、しかも無人で、労働資源がなくても提供できる、そのようなものを開発している会社がありますので、そこに当社の得意とするキャッシュレスを組み込むことができればさらに用途が広がると思うのです。CVCによりさまざまな事業会社と提携し、資本投資を行い、当社のビジネス拡大に取り組む所存です。

 

Q4. アイティフォーという会社名の由来や社名に込めた思いについて教えてください。

A4. 1972年の創業当時、本社の所在地が千代田区であったことから、社名を千代田情報機器株式会社としていました。この社名ではプリンターやコピー機のような事務機の会社のイメージがあるという意見があり、2000年の上場のタイミングで現在のアイティフォーという社名に変更しました。当時は既にシステムの開発も十分にやっていましたし、ITという言葉が社会に浸透してきた時期でもありました。フォーというのは「4」ではなく、「何々のために」という意味です。例えば「福岡県のためにITを提供しよう」というような意味合いです。

       今年の10月1日に当社のロゴも変更しました。昨年の「ツール・ド・九州」のスポンサー発表会の際、当社の社名が大手航空会社2社の間に入ったのですが、色味も薄く、全く目立たなかったのです。少しでも目立ちたい、また強く濃くなっていこうという意味も込め、今回ロゴを変更しました。

 

以上

 

 

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