日本たばこ産業株式会社(2914)
開催日:2024年11月24日(日)
説明者:IR広報部長 住本 和仁 氏
1.JTグループの概要
・ JT(日本たばこ産業株式会社)グループは、たばこ事業を中心に130以上の国と地域で製品を販売するグローバル企業です。中核のたばこ事業に加えて、医薬事業と加工食品事業を展開し、JTならではのブランドを届けています。1985年に前身の日本専売公社から民営化されて以降、長期的な会社の成長を目指し国際化と多角化を進めてきました。
・ 国際化では、当初は国内製造品を海外市場に輸出するモデルからスタートしました。しかし、このビジネスモデルで海外展開するには膨大な時間がかかる状況でした。次の段階としてM&Aを活用した地理的拡大を行いました。特に大きなポイントとなったのは、1999年のRJRインターナショナル(RJRI)の米国外事業の買収と2007年の英国のギャラハー社(Gallaher Group)の買収です。ここで飛躍的に事業規模を拡大しました。
・ 現在はたばこ事業の本社機能をスイス・ジュネーブに統合しています。グローバルな事業運営体制のもとで、グローバル資源の最大活用、意思決定スピードの向上等により、お客様への価値提供を強化する体制を構築しています。
・ 当社グループは民営化以降、たばこ単品事業からの脱却を目指し事業を多角化しました。その後、企業価値の向上に向けて飲料事業の撤退をはじめとした事業ポートフォリオの組み替えを実施しました。中核事業に経営資源を集中させる選択と集中を推進した結果、JTはたばこ事業、医薬事業、加工食品事業を展開する今日の形となりました。
・ 当社の事業の変容は、たばこの販売数量の構成比の変化に表れています。国内の販売数量が減少する一方、1999年と2007年の大型買収を契機に海外での販売数量が大幅に伸長しました。民営化当初は国内35ヶ所にたばこ製造工場がありましたが、現在は3工場のみです。事業規模に見合った適正な運営体制へと見直しました。状況に応じて進化を続けグローバル化を推進した結果、JTグループの製品は130以上の国と地域で販売され、グローバルたばこメーカーとしては世界第3位に位置しています。紙巻たばこを中心に世界の主要な市場で強固なシェアを獲得しています。
・ 当社独自の研究開発やM&Aを通じて当社が手がける製品のカテゴリーも広がりを見せています。これまではCombustibles(コンバスティブル)と呼ばれる紙巻たばこをはじめとした燃焼性のたばこ製品を中心に展開をしてきました。近年はRRP(Reduced-Risk Products)と呼ばれる、喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品にも注力しています。RRPには、デバイス内のヒーターでたばこ葉を加熱するHTS(Heated Tobacco Sticks)製品や、液体を加熱して発生する蒸気をたばこカプセルに通過させて、たばこ蒸気を愉しむインフューズド(Infused Tobacco Capsules)製品などが含まれます。製品カテゴリーを広げることで、多様なニーズに合わせた選択肢を提供し、お客様満足の向上と共存社会の実現に貢献できると考えています。
2.経営理念・JT Group Purpose
・ JT グループの経営理念は、「4Sモデル」の追求です。「お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4者の満足度を高めていく」考え方です。「4Sモデル」の追求を通じて中長期にわたる持続的な利益成長の実現を目指しています。それが企業価値の継続的な向上へとつながり、4者にとって共通の利益を生むと確信しています。
・ JT Group Purpose「心の豊かさを、もっと。」は、持続可能であるために目指す方向を示すものとして策定しました。策定にあたり、JTグループが未来の社会でどのような存在でありたいか、また存在であることを求められるのか、JTグループはどういう貢献ができるのかを重点的に検討しました。そして、製品やサービスを通じて心の豊かさを感じる瞬間に常に寄り添い、共にその瞬間を作り上げることがJTグループの目指す最大の価値だと判断しました。
・ JTグループが提供する価値とは、多くの人々が「今日はよい一日だったな」と感じられる心豊かな社会、未来づくりへの貢献だと考えています。これはJTグループの事業活動に内在し続けてきたもので、前身の日本専売公社時代(1968年)に策定された長期経営計画においても「人の心に豊かなよろこびを提供する」という記載があります。民営化、多角化、グローバル化を経て、今日まで心の豊かさについて問い続けてきました。今後も心の豊かさを社会から任せていただき、貢献できるようにJTグループ自身が絶えず進化していくこと、変わり続ける社会や人々の価値観に合わせて価値提供の手段を柔軟に変更していくことが必要だと考えています。
3.D-LABの取組み
・ D-LAB は、JT Group Purposeの具現化に向けて設置されたコーポレートR&D(研究開発)組織です。ここでは「心の豊かさ」を中心概念とした研究や未来の事業シーズ(種)の探索・創出を実施しています。「心の豊かさ」につながるものごとは幅広く、香りや食のように五感に訴えるものや、呼吸のようにウェルネスに関係するものなど、活動の対象領域は多岐にわたります。
・ D-LABの活動では、長期視点で社会の「心の豊かさ」を育むことに貢献するとともに、JTグループの利益成長への貢献も目指しています。活動は大きく「心の豊かさ」という価値の多角的研究、未来の事業シーズ(種)探索、未来の事業シーズ(種)創出に分かれます。トライアル&エラーを繰り返しながら、現在100件程度のプロジェクトを進めています。
・ 2024年9月に一般販売を開始しました、呼吸するクッション「fufuly(フフリー)」、深い呼吸の習慣化サポートデバイス「ston s(ストンエス)」を体験できる「呼吸する休憩所」と、花王株式会社の「オフィスめぐりずむ」が共同実験を行いました。当社が参画する宇宙と地上の双方の暮らしを良くする事業共創プラットフォーム「THINK SPACE LIFE」プログラムから生まれた口腔ケアタブレット「Chupica(チュピカ)」や、クラフト温泉成分配合温感ボディシート「湯るまる」の発売などが活動の成果です。
・ 多様で変化していくお客様や社会の心の豊かさに寄り添いながら、現在のJTグループの姿に限定せず、発展的なあらゆる企業活動を通じて心の豊かさという提供価値を実現したいと考えています。今後も長期的な視点で活動を継続していきます。
4.事業の概要
・ 今次経営計画では、中長期にわたる持続的な利益成長を引き続き追求していきます。具体的には、全社為替一定の調整後営業利益で年平均1桁台半ばから後半の成長の実現に向け注力していきます。
・ たばこ事業の事業環境は、世界的なたばこ需要の減少、より低価格な製品への乗り換えに加え、地政学リスクの顕在化、規制・税制の進展、競争の激化、および為替変動リスク等、依然として厳しい状況が見込まれています。こうした環境のなか、燃焼性のたばこ製品で売上高の成長に向けたマーケティング投資や着実な価格戦略を実行しつつ、サプライチェーンの改善によるコスト効率化等を通じ収益性の向上を目指します。
・ RRP領域では、燃焼性のたばこ製品から創出される利益を今後最も成長が見込まれるHTSへ優先的に再投資します。インフューズド等は探索カテゴリーと位置づけ、将来的な市場ポテンシャルを見据えた選択的投資を実施します。これらを支える重要な組織力強化としてお客様中心主義の徹底、RRPにおける技術革新、サステナビリティの推進等を図っていきます。
・ 医薬事業、加工食品事業は、たばこ事業と収益性や投資期間等、事業特性が異なります。当社グループの中長期にわたる持続的な利益成長を、これら両事業が補完して成長に貢献していきます。
・ たばこ事業はJTグループの利益成長の中核かつ牽引役という役割に変更はありません。今後の見通しは不透明ですが、この環境下でも引き続きたばこ事業を中核に利益成長を目指します。市場シェアの獲得とともに主要市場における価格戦略で売上高の成長を牽引します。燃焼性のたばこ製品の価格戦略は、今後3年間も、利益成長の牽引役になると想定しています。売上収益でも継続的なコスト削減、基幹ブランドに集中したブランド構成の強化、市場ごとの役割の明確化、それに伴う投資の最適化による収益性向上を通じて改善を図りたいと考えています。
・ RRPは、高温加熱型の加熱式たばこ製品・HTSを中心に市場規模の拡大が見込まれ、将来の事業成長の柱とすべく注力します。RRPのなかでも特にHTSへ優先的な投資を実施してPloom Xのグローバル展開を加速化させ、PloomブランドのHTSカテゴリー内シェアを拡大します。各市場におけるお客様の声を研究開発やマーケティング等に活用することで継続的な製品改善するとともに、組織力を一層強化します。
・ Ploom Xは、2024年10月から新たにヨルダン、フィリピン、11月からは韓国で発売が開始されます。11月末時点で24市場まで拡大しています。国内での継続的な販売数量増加に加えて、展開市場数の増加および継続的なマーケティング施策により、日本以外の市場における販売数量も着実に増加しています。RRPの関連売上収益も、販売数量の増加により前年同期比約22%の増加となりました。2026年末までには2023年対比で約2.5倍という中期展望の実現を目指しており、これに向けて現在着実に進んでいると考えています。
・ 国内外においてPloomのHTSカテゴリー内シェア伸張が継続しています。特に日本では四半期平均のカテゴリー内シェアが直近で11.8%に達しています。お客様から喫(きつ)味(み)について他の製品を上回る高評価をいただいており、グッドデザイン賞を加熱式たばこデバイスで初めて獲得するなど、製品の競争力を裏打ちする結果が出ています。また、販売開始済みの市場を合算したグローバルベースでのHTSカテゴリー内シェアは、9月時点で9%に達しています。2028年の10%台半ばのカテゴリー内シェア獲得に向け順調に進捗しています。
・ M&Aによる地理的拡大は、本年度で米国Vector Group Ltd.(VGR)社の買収が完了します。これにより当社は、金額ベースで世界最大の市場規模で、収益性が最も高い市場の一つである米国において、約90億本の販売数量を追加的に獲得しました。当社の米国における市場シェアは2.4%から8.2%へと大幅に拡大し、米国の紙巻たばこ上位10ブランドのうち2つのブランドを保有することになります。同時に販売網の拡大にも寄与し、米国市場における当社の競争力を高められると考えています。本買収は米国市場でのJTグループのプレゼンス拡大を企図した投資であり、経営計画に示した燃焼性のたばこ製品における収益性の継続的な改善戦略に沿ったものです。
・ また、安定的なキャッシュフローの創出および中長期にわたる同市場からの利益貢献を通じ、RRPへの投資原資の確保や当社グループの財務基盤の強化を図ることができるものと考えています。今後も燃焼性のたばこ製品で創出される利益を、成長が見込まれるRRPへ優先的、継続的に再投資していきたいと考えています。
・ 当社の医薬事業はグループ内での相乗効果を最大化すべく、研究開発はJTが担い、国内販売は当社グループ会社の鳥居薬品株式会社が担う形で協業をしています。事業環境は、引き続き薬価引下げの大きな圧力が存在し厳しいものと認識しています。次世代戦略品の研究開発と各製品の価格最大化により、グループへの利益貢献を目指していきます。
・ 加工食品事業では、冷食・常温事業、調味料事業に注力し付加価値の高い商品の販売を強化するなど、収益性の向上に取り組んでいます。国内はライフスタイルの変化に伴う簡便化ニーズの高まり等により市場規模は拡大傾向にあります。海外は人口増加、所得水準の向上、日本食文化の世界的な普及により事業機会が増加しています。高付加価値な商品群への資源配分強化などを通じ、トップラインすなわち売上収益の成長を中心とした持続的な利益成長を目指します。
5.2024年度第3四半期決算・株主還元
・ 第3四半期累計実績は、売上収益、調整後営業利益は為替一定ベース、財務報告ベースともに増収増益となりました。全社利益管理指標である為替一定ベースの調整後営業利益は前年同期比2.6%の増加となっています。
・ たばこ事業の価格戦略効果が表れ、Ploomの地理的拡大に伴う投資強化やサプライチェーンコスト、人件費等の間接コストの増加を上回ったことに加え、加工食品事業の増益も全社の利益成長を後押ししました。調整後営業利益における為替影響は、たばこ事業で円安によるポジティブ影響がありましたが、一部新興国の通貨安、アメリカドル等のコスト関連通貨高を主因にネガティブに表れています。四半期利益は営業利益の増加に加え、法人税負担の減少が金融損益の悪化を相殺し前年同期と同水準となりました。
・ 全社の通期修正見込みは、Vector社の買収益を織り込んだベースで示しています。全社の売上収益および調整後営業利益は、為替一定および財務の報告ベースとともに上方修正しました。
・ 為替一定Core revenueは、Vector社の買収影響を含むたばこ事業ならびに医薬事業における上方修正により、前回の見込みよりも975億円上方修正します。その結果、前年度比で8.2%増加となる見込みです。為替一定ベースの調整後営業利益は、すべての事業において調整後営業利益を上方修正したことで、前回見込みよりプラス290億円となり、その結果前年度比6.3%の増加となる見込みです。
・ 為替影響を含む財務報告ベースの売上収益、調整後営業利益は、前回見込みよりそれぞれ545億円、360億円上方修正しました。営業利益は調整後営業利益の上方修正が調整項目におけるVector社の買収関連費用を上回り、前回見込みから280億円の上方修正としました。当期利益は、金融損益の悪化および法人税負担の増加、Vector社の買収に関連した一時的な費用を反映し、前回の見込みから80億円の下方修正としました。
・ 当社の経営資源配分の方針は、経営理念である「4Sモデル」に基づいています。中長期にわたる持続的な利益成長につながる事業投資を最優先し、そのうえで利益成長と株主還元とのバランスを重視しています。
・ 利益成長につながる事業投資では、たばこ事業への投資を最重要視しています。当社は強固な財務基盤を有しており、経済危機等に備えた堅牢性と機動的な事業投資を行う柔軟性を併せ持つことが重要だと考えています。事業投資を通じて持続的な利益成長を実現するため、堅牢性と柔軟性の2つを担保する財務方針を定めています。
・ 株主還元方針は、資源配分方針に掲げる事業投資の最優先、利益成長と還元のバランス等の考え方に基づいています。事業継続の観点からリーマン・ショックや新型コロナウイルス感染症など、事業環境の大きな変化にも耐えうる財務基盤を維持し続けることは優先度の高い課題と認識しています。こうした観点を踏まえ、配当水準は配当性向の75%を目安としています。配当性向に目安を持ちつつ、中長期での利益成長を実現することによって、1株当たり配当金を中心とした株主還元の向上を目指していきます。
・ 自己株式の取得は、その事業年度の財務状況に加え、中長期的な資金需要等を踏まえ、実施の是非や規模を考えることとしています。
・これら株主還元方針、第3四半期および通期見込みも踏まえて、2024年度の年間配当金は既にお支払いした中間配当97円に加え、期末配当97円の合計194円を想定しています。
・ 配当利回りは先月10月末の終値ベースで4.5%となり、同じ時期の東証プライム銘柄の平均2.1%と比較しても高い水準になっています。今後も株主の皆様への利益還元を重要な経営課題と位置づけ、企業価値の向上に取り組んでいきます。
6.サステナビリティ
・ 当社グループが持続的に成長していくためには、事業を通じて社会の持続的な発展に貢献することが必要不可欠です。当社グループではサステナビリティを経営の中核と考えており、サステナビリティに関する課題をグローバルレベルで解決するためにグループ全体で取組みを進めています。
・ JT Group Purposeの具体化を通じて持続可能な自然や社会づくりに貢献していくべく、サステナビリティ経営の根幹となるJT Group Materiality、つまりJTグループとして優先的に取り組む重要事項を改定し、5つの課題を特定しました。また、改定したマテリアリティを踏まえ、JTグループとして具体的な目標および取組みの検討を進め、今年度から全25項目からなるJT Group Sustainability Targetsを作成しています。
・ JT Group Materialityは自然や社会の持続性があってはじめて人の暮らしや企業の活動も持続的になるという考え方のもと、「4Sモデル」の追求を経営理念とするJT Group Purposeの実現に向け優先的に取り組む重要課題です。持続可能な自然や社会づくりに貢献していくために特定した5つの課題群を取締役会での議論も経て策定しました。5つとは、自然との共生、お客様の期待を超える価値創造、人財への投資と成長機会の提供、責任あるサプライチェーンマネジメント、良質なガバナンスです。これらのJT Group Materialityを踏まえ、全社および事業ごとのサステナビリティの取組み目標の見直しを今後実施していきます。なお、JT Group Materialityは、定期的なチェックを実施し、必要に応じアップデートを図っていきます。
・ JT Group Sustainability Targetsでは、マテリアリティとのつながりを重視し、これまでの取組みも踏襲しながら、具体的な目標および取組みを25項目のターゲットとして設定しました。例えば、自然の共生を推し進めるべく、生物多様性の保全も見据えてJTグループの事業の生態系への影響を包括的に把握していきます。人財への投資と成長機会の提供とのつながりには、人的資本の拡充をもととした多面的なターゲットを設定しました。各項目に基づく目標や取組みの詳細は当社ウェブサイトに掲載しています。パーパスを起点とした新サステナビリティ戦略に通定するのは、人の暮らしや社会、企業の活動です。あらゆる人の営みは生態系を紡いでいく一部であり、未来づくりを担う企業として、私たちは主体的に社会課題の解決に取り組んでいく覚悟です。
・ この新サステナビリティ戦略の策定運用は、取締役会が関与する体制をとっています。JT Group Sustainability Targetsも、その運用のなかで定期的に点検し進化させていきます。
・ サステナビリティの取組み例として温室効果ガス排出量の削減があります。JTグループは、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量の実削減に向けた取組みをより一層進め、2030年までにグループ事業におけるカーボンニュートラルを達成、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質的にゼロとするネットゼロを実現していきます。
・ 児童労働を含む人権モニタリングにも取組みます。JTグループでは、持続可能な生産活動の推進において、葉たばこ生産地の児童労働の問題が重要なリスクと考えられることから、2011年に国際労働機関やNGOと共同でARISE(Achieving Reduction of Child Labor in Support of Education)という児童労働撲滅プログラムを立ち上げました。この活動では、教育機会の提供や啓発活動に加え、インフラ整備などを通じ、耕作者やそのご家族、コミュニティ全体の暮らしを向上させる取組みを実施しています。
・ コミュニティインベストメントにも取組みます。地域社会への貢献の一環として「JTの森」という森林保全の取組みを行っています。これは森を一定期間借り受け、従業員も参画し元気な森を育てる活動で、現在全国9カ所で実施しています。
・ JTはたばこを吸う方と、吸わない方が共存できる社会を実現するための活動も行っています。周囲への配慮という観点で、たばこ葉を燃焼させないRRP製品の開発を行っているほか、マナー広告や「ひろえば街が好きになる運動」といったマナー向上の取組み、分煙コンサルティング活動等を通じた分煙環境整備の取組みを行っています。
7.質疑応答
Q1. 世界的にもたばこの需要は減っていくと思うのですが、今後も利益成長していくことは可能なのでしょうか。
A1. たばこ事業の需要が将来的に減っていく予測は、社内で算定しています。今考えるかぎりでは、市場予測として2035年までに紙巻きたばこだけでなく、RRPを含めて産業全体の総需要は年平均で1%程度減少すると見ています。一方で売上収益、利益面は、年平均3%程度の成長を続けると考えています。なぜ売上収益が伸びるかと申しますと、おそらくたばこ税は今後も増税が行われ、増税をもととして単価上昇効果、値上げをすることで販売数量の減少に伴った利益の減少を補うことになると考えています。2035年には、市場全体で7割以上が紙巻たばこ、収益面でもおそらく6割以上を紙巻たばこが占めると予想され、基本的には最も大きいカテゴリーだと考えています。ただ、そのなかでもRRP製品は、今後市場規模が大きく伸びると考えています。特にHTS製品が最も速いスピードで成長すると私たちは考えているため、現在はこのHTSへの投資を最優先課題として行っています。
Q2. カナダでのJTの子会社の訴訟のニュースがありましたが、配当などにも影響があるのでしょうか。
A2. 先般、カナダの子会社(JTI-Macdonald Corp.)のニュースがありました。JTだけではなくカナダでオペレーションを行うたばこメーカーに対する原告側との和解案に関する内容が報じられています。和解案の金額が大規模となるため、これが配当にどのように影響するかが気がかりであることはご推察いたします。この訴訟のニュースで、調停人から公表された再生計画案がありますが、原告側とたばこメーカーを含めた側で合意するには解決するべき課題がまだまだあると考えており、現時点では同意できないと考えています。全体の和解案、再生計画案それぞれの金額がいくらなのか、そのうち負担割合がどうなるのか、まだ詳細は決まっていません。そのため、現時点における財務影響をどのように把握・予測するかは非常に難しいとご理解いただければと思います。訴訟が進展することで徐々に再生計画案が固まり、すべての関係者が合意に至った場合には私たちも業績等に含めることになりますし、適時適切での公表も考えています。現段階において財務影響が不明であり、その影響がもし入った場合に金額規模や性質等を鑑みて、どのような形で配当性向に反映させるかは現在まだ確定していませんが、調整を進めて検討していくと、社内的に決定しています。こちらも決まり次第、ご報告をさせていただければと考えています。
Q3. 株主優待を毎年楽しみにしていましたが、廃止されたのは残念です。復活はないのでしょうか。
A3. 当社の株主優待制度が始まったのが2004年で、当時はパックご飯あるいはカップ麺といった当社グループ商品をご利用いただき、一層のご理解を得る目的で実行してきました。しかしながら、株主の皆様への公平な利益還元について慎重に検討を重ねて、配当による利益還元に集約することを決め、2023年を最後に優待制度自体を廃止しました。現時点で株主優待の再開予定はありません。一方、配当は株主還元方針である75%を目安とした配当性向を保ちつつ、中長期にわたる利益成長の結果により1株当たり配当金を着実に向上強化したいと考えています。
Q4. 為替影響に関して円安はJTにとってポジティブなのでしょうか、今の為替レートが続けばどれくらい利益が増えるのでしょうか。
A4. 為替影響につきましては、円安になるとJTにどのように影響が出るかと、非常に多くのご質問をいただいています。結論から申しますと、ポジティブに効く要素とネガティブに効く要素、両方があります。円安になると当然ポジティブな話となりますが、当社グループが事業を行っているのは、130以上の国と地域です。各国にそれぞれ通貨があり、各通貨と日本円の関係が当社グループの業績に影響を及ぼすと、ご理解ください。たばこを販売した売上の収益は基本的に、様々な通貨に対して円安が進めばポジティブな影響になります。ただ、USドルやスイスフラン、ユーロといったコストに関連する通貨では、同じコストでも円に替える際に膨らむ形となり、ネガティブな影響になります。そのため第3四半期末時点で発表した調整後営業利益に対して、結果的にはネガティブに影響しています。これからも各通貨と日本円、またUSドルのそれぞれが動いてくると思いますが、可能なかぎりコントロールをする方向で考えています。やむを得ずどうしても影響が出てしまう結果も含め、私たちとしては将来的にきちんとマネジメントしたいと考えています。
以上
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