テクマトリックス株式会社(3762)
開催日:2024年12月1日(日)
説明者:代表取締役社長 矢井 隆晴 氏
1.会社概要
・ テクマトリックス株式会社は1984年に設立し、現在41年目の会社です。従業員数は1,595名(2024年9月現在)です。拠点は東京に本社があり、大阪に西日本支店、名古屋に名古屋営業所、福岡に九州営業所があり、単体のオフィスを所有しています。
・ グループも含めた拠点として、ASEANではタイにコールセンターのソリューションビジネスの拠点があります。2024年10月に発表しましたが、マレーシアにあるサイバーセキュリティ専業事業者のFirmus Sdn.Bhd.のM&Aを行い、こちらも拠点となりました。
・ 当社の企業理念と行動指針についてですが、ITを通じた社会貢献、社会的な課題の解決に注力したいと考えています。行動指針は、お客様を手厚くサポートしていく顧客貢献と、当社は商社由来の企業ということもあり、新しいビジネスに挑戦することや新しい技術に挑戦し続けるため、常に学ぶ姿勢を忘れないことを大切にしています。
・ テクマトリックス(Techmatrix)という社名は、Technology(テクノロジー)と垂直市場のMatrix(マトリックス)に由来します。テクノロジーは特に業種に特化せず広く使われる言葉ですが、当社はサイバーセキュリティやストレージネットワーク、テストツールをテクノロジーとして提供しています。垂直市場では、当社は医療やコールセンター、教育、金融、製造業向けのビジネスを行っています。このような形でテクノロジーと垂直市場のマトリックスでビジネスをすることを意識してつけられた名前です。
・ 当社は、1984年に総合商社のニチメン株式会社(現在の双日株式会社)の営業子会社として、ニチメンデータシステム株式会社の名称で設立されました。1990年代半ばぐらいまでは、主に海外にある最先端のテクノロジーを見つけて日本国内に紹介・販売するビジネスが中心でした。1996年頃から、それに加えてコールセンターの自社開発パッケージを作ってCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)分野に参入しました。また、医用画像システムを自社開発して医療システム事業にも参入しました。
・ 2000年代には金融向けのリスク管理の領域にも進出しました。ソフトウェアの品質保証分野では、海外のテクノロジーを販売することを主力としたビジネスを展開しています。2010年代に医療分野で、自社の医用画像システムをクラウドで管理する「NOBORI(のぼり)」の販売を開始しています。2020年代に当社のビジネスの領域では一番新しいスクール・コミュニケーション・プラットフォーム+校務支援システム「ツムギノ(tsumugino)」のサービスを開始して、教育分野に参入しています。
2.当社グループの事業領域
・ 当社グループは、情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業、医療システム事業の3つを主力にビジネスを展開しています。
・ 情報基盤事業は、ネットワークセキュリティ、主にサイバーセキュリティの領域において、新しい製品を海外の市場からもってきて日本国内で販売を行い、それに加えて保守運用も提供する事業です。
・ 医療システム事業では、自社開発の医用画像システムを主にクラウドで提供しています。
・ アプリケーションサービス事業のなかには、4つの事業があります。CRMはコンタクトセンターやコールセンターに向けたシステム、FAQなども提供しています。
・ ソフトウェア品質保証の領域では、コンピューター上のプログラムをテストするだけではなく、最近は車などもソフトウェアで制御されていますので、それらを含むソフトウェアの品質を向上させるためのソリューションテストツールを販売しています。
・ ビジネスソリューション分野は、インターネットでサービスをしているお客様向けの開発を行っています。最近では公共分野や独立行政法人に関わる開発・運用も併せて、金融領域でもリスク管理のソリューションに特化して提供しています。
・ EdTech(教育)分野では「ツムギノ」という自社開発ソリューションを提供しています。
- 当社は親会社から子会社に仕事を出すというより、事業領域を親会社や子会社で分担しながら市場をカバーする形でビジネスをしています。情報基盤事業、アプリケーションサービス事業、医療システム事業において連結子会社と持分法適用会社があります。
・ 当社はMissionとして、社会的なインパクトの大きい領域で社会課題を解決することを目指しています。そのための強みとして目利き力と業務ノウハウがあります。
・ 社会課題の解決では、サイバーセキュリティ分野や医療、教育といった社会インパクトの高い領域に潜在する課題をITによって解決することを目指しています。最先端のテクノロジーを見つけだす部分、また解決すべき社会課題を発見する部分も目利き力だと捉えています。
・ もう一つの強みは業務ノウハウです。見つけた課題を解決するためのノウハウです。当社は医療分野でビジネスをしていますが、例えばあるお客様のニーズを聞いて、その課題を解決するアプリケーションを一から作ったとしてもお客様がもつ知識の範疇にあるものしかできません。それに対して、当社は医用画像で3,000社ほどのお客様を相手にしており、そこから様々なニーズも含めたものをパッケージにして提供しています。お客様がもつ知識にとらわれず、さらに専門性の高い当社の業務ノウハウをソリューションパッケージとして提供することで、社会課題の解決に貢献しています。
・ テクマトリックスの3つの事業の1つ目は情報基盤事業です。サイバーセキュリティにおいて、現在、サイバー攻撃も複雑化・高度化しています。重要な情報にアクセスを行い、情報を人質にして身代金を要求するランサムウェアのような新手の攻撃が始まり、次々と続く状況になっています。昔のようにアンチウィルスを入れておけばすべてを守れる時代ではなく、守る側にも対策が求められます。
・ そうしたなかで、当社はディストリビューターの立場でビジネスをしています。日本のIT人口比率にも依存することですが、少し前の統計でITエンジニアの比率がエンドユーザー側ではなく、提供者側であるメーカーなどで75%を占める結果が出ています。エンドユーザーはITのリソースをたくさんもっているわけではなく、必然的にSIerやリセラーに頼らざるを得ない状況です。SIerやリセラーはエンドユーザーのニーズを満たすためにあらゆるテクノロジーや製品を扱いますので、数百の製品に触れる必要があります。しかし、個々のテクノロジーに対してリソースを割いて深く理解することは困難です。そこをディストリビューターとしてメーカーと一緒に業務に携わる立ち位置です。エンドユーザーから製品に対するお問い合わせも受け、SIerやリセラーを支援することも、当社のビジネスのなかでは大きな部分です。
・ メーカーと組んで日本市場を理解していただき、日本で展開することも行っています。海外の主にセキュリティ関連で北米や一部イスラエルなどのテクノロジーを見出して日本市場に展開して、導入や保守運用の支援において物を流すことだけにはとどまらない付加価値も含めて提供しています。セキュリティ製品の統合監視サービスである「TechMatrix Premium Support」では、製品の導入だけではアラートの運用が難しいこともあるため、そうしたものを支援するセキュリティ監視サービスを提供しています。
・ 情報基盤事業の一例として「SASE(サッシー):Secure Access Service Edge」というサービスがあります。今まで会社で働いていれば、そこにセキュリティ製品があって守られていたものが、リモートワークでは家から直接インターネットに出てくる形となり、そこを狙われます。これは会社と同じセキュリティ環境をクラウドサービスで提供し、どこで働いていてもセキュリティが担保された形で業務ができるソリューションです。コロナ禍以降かなり広まっており、当社の業績を支えています。
・ サイバーセキュリティの領域では、マレーシアのFirmus Sdn.Bhd.社に出資を行い、株式を100%取得して2024年11月に完全子会社化しています。当社のサイバーセキュリティ事業は、海外のテクノロジーを見出して展開することにプラスしてサービスを提供しています。Firmus社も同様に、サイバーセキュリティのソリューションを提供するサービスでビジネスをしていますが、彼らはサービスに強いため、お互いのナレッジをシェアすることで、ビジネスをより大きくできることからM&Aを行いました。
・ 事業領域の2つ目はアプリケーションサービス事業です。従来、コールセンターのパッケージを使おうとすると、ハードウェアを用意しそこにソフトウェアをインストールして使う先行投資が必要となる課題がありました。今は多くの企業、提供者側でクラウドサービスを提供するケースが多いです。そのため、実際に利用するユーザー数において期間に応じて課金するサブスクリプションのビジネスが広まっています。それはソフトウェアの領域だけではなく、サイバーセキュリティも課金体系になってきており、サブスクリプション化が進んでいます。
・ 当社はCRM分野でコールセンターやコンタクトセンター向けのソリューションを提供しています。例えば、エンドユーザーであるコンシューマーからメーカーの方が問い合わせをいただいて回答する際に過去の問い合わせ履歴を利用します。FAQと言いますが、よくある質問と答えを用意しておいて回答するケースが多いと思います。それによって対応をより迅速に進めて顧客満足度を上げていきます。「FastHelp⁵」は問い合わせに対して答えるシステムで、「FastAnswer²」はFAQにあたるサービスです。FastSeriesという自社開発のソリューションを提供しています。こちらの領域でも2024年1月にコンタクトセンター向けのソリューションを有するモビルス株式会社に出資し、当社のもつコールセンターの領域のソリューションを広げています。このモビルス社の「FastVoice」、「FastNavigation」などのソリューションをOEMで提供して、当社のコンタクトセンターのソリューションを広げています。
・ CRMの分野では、2021年頃からASEAN地域へ海外展開をしています。2021年7月と2022年10月に、当社のFastSeriesと補完的なソリューションをもつタイのWisesight社やChocoCard社に出資して資本業務提携を結び、彼らのソリューションの補完としてFastSeriesを販売していただいています。そして2023年4月、タイに現地法人のTechMatrix AsiaCo., Ltd.を設立しました。当社もタイだけではなく直接ASEAN地域にCRMのソリューションの展開を進めており、数多くのお客様にご利用いただいています。
・ ソフトウェア品質保証の領域についてです。ソフトウェアはコンピューターのうえで開発されて動くだけではありません。物の中にも入っていますので、そうしたものの品質を担保することが重要になります。当社は海外メーカーがもつ先端のテストツールなどを見つけて国内展開を行っています。この事業ではアメリカだけでなく、ヨーロッパやオーストラリアなど、様々な国の最先端のテクノロジーをもってきて日本国内で販売しています。現状は車載の領域で実績を上げています。
・ ビジネスソリューション分野では金融機関向けのリスク管理システムを提供しています。金融商品には様々な種類があり、それぞれがリスクを含んでいるためにリアルタイムで把握するのは困難です。また、リスクの把握が大事ですので、この分野で当社は自社のソリューションを展開しています。
・ 教育分野では、スクール・コミュニケーション・プラットフォーム+校務支援の「ツムギノ」というソリューションを提供しています。新しい学びとして、子どもも自主的に探求型で学ぶことが重要になっています。そうしたものに対応する新しい校務支援です。クラウドで提供することで新しい形の校務支援、コミュニケーションプラットフォームとして実績が上がっています。実際に先進的なところから導入いただき、スタート時から私立の先進校を中心に導入されています。今年度に入って公立校にも徐々に導入されつつあります。
・ 事業領域の3つ目は、医療システム事業です。当社では医療システム事業のなかでも医用画像に注力しています。もともと、テクマトリックスには医療事業部があり、スピンアウトさせる形で株式会社NOBORIを設立しました。そして競合していたPSP株式会社と株式会社NOBORIが2022年4月に合併、PSP株式会社の社名を残して事業統合しました。両社の合併によって製品・サービス・機能を統合し、より機能を増やして品質を上げていきます。また、医用画像のなかでも新しい領域に挑戦するために、リソースを集約して新たな分野への投資を加速させています。
・ PACS(医療用画像システム)市場におけるマーケットシェアは、稼働施設数ベースで第2位の22%です。一方で、クラウドPACS市場では、かなり多くのシェアを取っています。テクマトリックスの医療事業は比較的早くクラウド市場に入りました。クラウドではどうしても計画期間に対する売上となるため、当初は売上が下がることがありました。しかし、全社で他の事業を含めたビジネスを進めて売上を積み上げてきた経緯もあり、他社も入りにくい状況になっていると思います。
・ クラウドサービス「NOBORI」で、お客様である病院・クリニックのデータをお預かりします。お客様先にはNOBORI-CUBEという箱を設置することで、すぐに使える形で提供しています。実際の保存データは3億を超える検査数、患者数も延べ人数5,100万人で順調に実績を積み上げています。併せて、この医療のなかではPHR(Personal Health Record)というサービスを新たに立ち上げることを進めています。
・ 医用画像は病院に属している形です。本来は個人の画像なのですが、そうしたものが病院にあると患者様としても都合が悪い部分もあります。そのような画像も含めて医療を個人に返していくことに賛同いただける病院・クリニックと一緒に事業を進めているところです。「NOBORI」周辺のAI事業において、エムスリー株式会社と業務提携してエムスリーAI株式会社を設立しました。「NOBORI」の画像にAIを使って診断支援をすることも始めています。また、PSP株式会社のグループ会社の合同会社医知悟では、遠隔画像診断を支援するプラットフォームを提供しています。株式会社A-Lineでは、医療機関での被爆線量管理の義務化を見越して、「MINCADI」というソリューションを展開しています。
3.業績推移と計画
・ 当社は現在22期連続増収を達成しています。ビジネスのサブスクリプション化が進み、その更新を繰り返しながら新規を取る形で右肩上がりになっていることが大きな要因です。
・ 2024年3月期の業績は売上収益が533億円、営業利益が58億50百万円で、前々期比14.7%程度伸びています。各事業の売上収益の構成比率や営業利益の比率においては、情報基盤事業が全体の3分の2を占めています。情報基盤事業はクラウド型のサイバーセキュリティの需要が引き続き堅調で、収益を押し上げています。
・ アプリケーション・サービス事業の収益は、全体の割合としてはまだ低いですが、前期3億17百万円の営業利益となり、前々期比プラスになっています。サブスクリプション化を進め、軌道に乗ってきたビジネスがあるため収益として上がるようになってきています。
・ 医療システム事業は、引き続き医用画像が堅調です。旧PSP株式会社とテクマトリックスの医療との統合で、製品統合などの開発投資を進めています。PHRのような新規事業への投資は前向きな投資として捉えており、先につながるビジネスだと考えています。
・ ストック比率では、テクマトリックス単体および旧PSPなど、一部拾えていないところもありますが、情報基盤事業が前期で82%とかなり大きくなっています。アプリケーションサービス事業が65%、医療システム事業が50%近辺でストック比率が高いです。引き続きストック比率を上げて安定的な経営を目指したいと考えています。
・ 連結財政状態計算書(バランスシート)は特筆すべきことはありませんが、その他流動資産と、その他流動負債が上がる形になっています。これはクラウド型のサイバーセキュリティのソリューションにおいて前渡金と前受金が増える形になっているため、バランスシートとしては膨らんでいますが、健全な成長だと考えています。
・ 2024年10月末に発表した2025年3月期の中間決算については、売上収益、営業利益ともかなり高い成長をしています。一部、一過性でハードウェアの大きいビジネスがあり、その売上も入っていますが、それを除いても前期から大きく成長しています。
・ 2024〜2026年の3年間の新中期経営計画では、「Creating Customer Value in the New Era」をスローガンとしています。「Creating Customer Value」とは、顧客価値の創造です。業務ノウハウや目利き力の話にも触れましたが、それが当社の顧客価値の源泉(DNA)だと考えています。そこを大事にしてお客様を手厚く支援すること、逃げずに最後まで対応することは、企業文化として信条、心ざしに根差した大切な部分だと考えています。顧客価値は必ずしもお客様に対応している営業や技術だけではなく、人の採用なども含む全体のことです。事業を支えるインフラの部分も関与して、これらが三位一体となって顧客価値を創造していくことで、結果として社員一人ひとりが成長できる環境を作っていきたいと考えています。
・ 残念ながら日本の人口は伸び続ける状況ではなく、AIやデータの利活用等の新しいテクノロジーが出てくると思います。企業もただ儲ければよいという世の中ではありませんが、このような時代のなかでも成長し続けたいと考えています。実現したいことは、特に海外市場における事業の拡大です。そして、データを活用したビジネスを目指していきます。
・ データの利活用では、AI、生成AIという言葉が最近よく出てきますが、当社は、医療であれば5,000万人以上の患者のデータをもっています。なおかつ業務ノウハウがありますので、どこにどのようにAIを利用すれば自動化できて省力化に結びつくか、より良い結果が得られるかを理解しています。自分たちの業務ノウハウのうえにAIを掛け合わせてより高い顧客価値を提供していくことを考えています。
・ 数値目標は、2025年3月期の第2四半期で売上収益が10%以上計画中に増えましたので上方修正しています。通期の計画も営業利益は期初予想の65億円を70億円に修正しています。そのため、当初の中期計画2年目の数字において営業利益が同じになっており、ここは次年度の計画のタイミングで3年目も含めて修正を予定しています。
4.人事戦略、SDGs・環境への取り組み
・ 人事戦略においては、「競争力の源泉は“人材”」と思っています。人事戦略は経営戦略そのものだと考えています。そのため採用にはかなり力を入れています。もちろん採用だけではなく、入社した方に活躍していただくことが重要だと思っています。階層型研修、働きやすい環境、併せて納得できる人事評価制度や処遇制度を進めています。また、女性の活躍推進も目標値を定めて進めています。
・ 当社は社会課題を解決するソリューションを提供するビジネスを展開しています。そのため、ビジネスそのものを進めていくことがSDGsへの取り組みだと考えています。また、環境への取り組みに関しては、サステナビリティ委員会のもとで進めています。
・ 気候変動に関しては、リスクと機会を特定してその影響度合いも出しています。これから具体的な行動計画に落としていくところですが、CO₂排出量も目標値を決めて進めています。
5.株主還元、株主優待
・ 配当は9期連続の増配です。配当性向は、2019年3月期から30%を超える形で推移しています。配当性向30%以上を基本方針として、2024年4月に改めて宣言させていただきました。
- 当社は株主優待制度を導入しています。500株以上の当社株式を保有する株主様を対象に実施しています。
6.質疑応答
Q1. 御社の競合企業はどこですか? また、その競合企業に対してどのように対応していくのか具体的に教えてください。
A1. 当社の事業部門は、情報基盤、アプリケーションサービス、医療システムです。さらに各事業にアプリケーションサービスのコールセンターやソフトウェア品質保証など4部門があり、各領域にそれぞれの競合企業があります。一概にここが競合だと言い切ることは難しいですが、各事業で競合を意識して提供するものを変えていきます。例えば、CRMの事業で当社はコールセンター向けのソリューションを提供していますが、一番の競合はSalesforce,Inc.です。Salesforce,Inc.はいわゆるSFA(Sales Force Automation)の領域からコールセンター向けに入ってきて、そこで競合している形です。会社の規模やソリューションのラインナップは向こうが多いですが、当社は自社開発で日本のお客様に対応しており、コールセンターの領域では積み上げたノウハウを含むソリューションを提供しています。お客様が必要とする機能に対して積極的に対応しており、自社の製品は業務ノウハウを貯めて、それを解決していくものを提供できることが強みだと考えています。
Q2. 為替の影響について教えてください。円高に進むほど御社としては利益増になるかと思うのですが、1ドル150円前後は御社の今期の数字にどのように影響するのでしょうか。
A2. サイバーセキュリティ、ソフトウェア品質保証の領域は、海外の新しいテクノロジーを見つけて日本国内に販売するビジネスであり、そこで為替が影響してきます。円高はメリットとなりますが、逆に円安のことをお話ししたほうがわかりやすいかと思います。円安になると値段が高くなるため、当社が損をして利益が減っているように思われますが、円安が激しく進んでいるので、お客様に提供する価格にも一部転嫁しています。見積もりを提示する際にも、その時の為替を見ながら価格をつけているため、円安になってもそれほど持ち出しがない形にしています。逆に円高になるとその反対で少し得をしますが、それだけ価格としてお客様への還元が必要となりますので、円高や円安に比較的左右されないビジネスにしているところです。ただし、急激な円高もしくは円安になるケースもあると思います。その場合に一時的には、円安になると利益が減ったり、円高になると利益が増えたりことはありますが、お客様へ提供する価格に影響を反映してビジネスをしているとご理解いただければと思います。
Q3.IT技術者の不足が叫ばれております。御社の人材確保方策について教えてください。
A3. 採用が一番重要だと考えています。当社は新卒採用、中途採用のどちらも行っています。昨年度は中途採用で60人ほど採用しています。中途も人材は取り合いです。採用活動をするエージェントへ要望を出しても、そこでも取り合いになります。それらの活動とは別に、社員からの紹介で採用するリファラル採用も積極的に進めています。採用の部分だけではなく、その後に働き続けていただくリテンションも非常に重要だと考えています。そうした方が育っていく機会を作るために階層別の研修などでしっかりとお金をかけて、現在は新しい人事制度として最短で入社8年で課長までなれる制度を実施しています。人が頑張れる制度を作り、採用・育成・働きやすい環境で、人材確保を進めています。
Q4. 新社長として、収益力拡大・強化のために特に注力されている重点分野および施策について教えてください。
A4. 中期経営計画のなかでもお話しさせていただきましたが、価値を提供して対価をいただくことがベースだと考えています。私自身は2024年4月に社長を拝命しました。その際にいろいろ考えたなかで、私自身がこうしたい、こうなりたいと思っていることを申し上げます。新しいことへの挑戦や新たなビジネスを作ること、新しい顧客価値の提供を大切にしたいと考えており、それもビジネスに生かしたいと思っています。顧客価値を提供して収益を上げて、その結果でまた新しい価値に投資していくサイクルを作りたいと考えています。ビジネスそのものを大きく変えることはそれほど必要ないと思っています。現状、ビジネスとしてはサブスクリプションで積み上がる形になってきています。それを進めたうえで、中期経営計画にあるようなプラスの価値となるAIやデータの利活用で顧客価値を上げていく、そうした仕組みを作りたいと考えています。
Q5. 御社の女性採用率が31%とありますが、管理職率はどれくらいでしょうか。
A5. 管理職の比率はまだまだ低いです。10%に満たない程度ですので、世の中の全体の平均からも低いほうだと思います。IT業界は比較的女性が少ないため、そのなかではそれほど悪い数字ではないと考えています。ですが、そこも含めて会社として取り組んでいくテーマだと考えています。当社としては、女性管理職の比率をターゲットに置いて、実際に比率を上げる施策や活動を進めています。現在は、その目標値に対してどういったマイルストーンで進めていくかを検討しているところです。
Q6. ネットワークセキュリティ分野の今後の成長性は、今後も継続するとお考えでしょうか。また、クラウドセキュリティの次のトレンドは何を想定されていますでしょうか。
A6. ビジネスとしてネットワークセキュリティ、サイバーセキュリティの事業もサブスクリプション型になっていますので、それを積み上げれば引き続き成長できると考えています。今展開しているソリューションが市場で飽和している状況でもないため、まだまだ伸ばしていけると考えています。クラウド型のセキュリティのこの先は、おそらくAIがサイバーセキュリティにも絡んでくると考えています。サーバー攻撃が増えてくると、アラートの量もそれだけ増えるため、それぞれの企業ですべて対応しようにも、人数が不足してしまいます。そうした状況に対してAIを用いることで解決して、本当に大事な部分だけを人が見る形にしないと現場が回らないので、AIを活用することが次のトレンドになると考えています。
以上
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
大和インベスター・リレーションズ(以下、「当社」といいます。)はこの資料の正確性、完全性を保証するものではありません。
ここに記載された意見等は当社が開催する個人投資家向け会社説明会の開催時点における当該会社側の判断を示すに過ぎず、今後予告なく変更されることがあります。
当社は、ここに記載された意見等に関して、お客様の銘柄の選択・投資に対して何らの責任を負うものではありません。
この資料は投資勧誘を意図するものではありません。
当社の承諾なくこの資料の複製または転載を行わないようお願いいたします。