E・Jホールディングス株式会社(2153)
開催日:2017年11月19日(東京都千代田区)
場 所:大和コンファレンスホール
説明者:代表取締役社長 小谷 裕司 氏
 
1.会社概要
・ E・Jホールディングス株式会社は、岡山県岡山市に本社を構えています。ホールディングスなので、グループの傘下会社の業務執行の管理・統括やグループ全体の経営を統括しています。2007年6月に再上場しました。東証2部の証券コード2153です。連結従業員数が1,226名。総資産は234億5,700万円。
・ E・Jグループの事業内容は、社会インフラの企画・構想・調査・設計・施工監理・維持管理を中心に、事業マネジメントや産業創出・地域再生までの幅広い事業を支援しています。社会インフラの課題解決型のコンサルタントを目指しています。
・ E・Jグループの概要は、エイトコンサルタントの前身である八雲測量社が島根県松江市で創業。エイトコンサルタントの社名は、八雲の「八」から生まれています。2005年にエイトコンサルタント(東証2部上場)と日本技術開発(ジャスダック上場)が資本・業務提携し、さらに両社の共同株式移転により、2007年6月にE・Jホールディングスが持株会社として設立。東証2部に再上場しました。
・ 「E・J」とは、エイトコンサルタントのエイトの「E」と、日本技術開発=ジャパン・エンジニアリング・コンサルタントの「J」によるものですが、EとJの間にある「・」は、両社が統合するにあたり、単なる足し算ではシナジー効果は生まれない。掛け算的なシナジー効果を生み出そうと意図しました。また経営理念では、「地球環境にやさしい優れた技術と判断力」で社会に貢献していくことを目指しています。「・」は地球をイメージし、エンジニアリングの「E」と判断力(=ジャッジメント)の「J」で補っていくことを込めて「E・J」としています。
・ 現在の主力はコンサルタント領域です。海外でも展開しています。また完成したものを管理するインフラマネジメント領域や事業を作り出す事業開発領域を行っています。主要な子会社は、「近代設計」「日本インフラマネジメント」「エイト日本技術開発」で、その他に地域に3社、E・Jホールディングスを含め7社で連携を取りながら事業を進めています。
・ 社会インフラの概要としては、港湾施設や河川、道路、鉄道、ダム等で、それらの企画・構想から設計、管理まで行う企業です。
・ 建設コンサルタント事業の流れを見ると、国民・県民・市民の納税を元に、国や都道府県などの行政、公益事業者から発注を受け、建設コンサルタントが企画・構想や設計等を行います。そして実際の建設工事や修繕工事はゼネコンやメーカーが行います。
・ 当グループは北海道から沖縄まで全国に拠点があり、海外もタイのバンコクに駐在員事務所があります。地域別のシェアでは関東地方と中国地方が多く、全国各地で事業を展開しています。
・ 当社グループの強みは、地震や洪水等の自然災害や完成したものに対する「防災・保全」、ゴミ処理やエネルギー利用等の「環境」、行政に対する技術サポート等の「行政支援」の3分野にあります。当社はこれらの3つのコア・コンピタンスを元に事業を展開しています。

 

2.事業の紹介 3つのコア・コンピタンス @防災・保全
・ 2011年から2017年まで世界各地で起きた大災害を見ると、20ヵ所くらい上がります。地図で見ると主に日本に集中して起きています。1985年から2015年までの統計を元に年間被災額を算出すると、世界中で年間860億ドルであり、日本では140億ドル(≒1兆4,000億円)です。これらをどのように減災するかが、当社の仕事です。
・ 直近では2016年4月の熊本地震がありました。阿蘇大橋の斜面崩壊による流出では、緊急迂回路を造る必要があります。そのため当社では現在、トンネルの設計や施工管理を進めています。災害発生当初は現地調査をし、ルート選定等の検討を行いました。地すべり箇所の観測も行いました。
・ 地震の時に電柱が崩壊すると、道が塞がれる。緊急車両が通れなくなるということがあります。そのため東京都でも小池知事が無電柱化の促進に取り組んでいます。国土交通省では全国56箇所で電線共同溝・無電柱化事業を行っていますが、そのうち11箇所を当社グループが受注しています。占有率は約20%です。残り45箇所は23社が行っています。したがって当社1社での占有率の高さがわかります。
・ 2011(平成23)年台風12号の災害で紀伊半島は大きな被害を受けました。各地で地すべりが起きましたが、砂防堰堤の計画や設計にも取り組んでいます。
・ 海外でも洪水対策・防災事業などを東ティモール等で行っています。
・ 全国の道路橋、トンネル、河川管理施設、下水道管渠、港湾岸壁は、どんどん老朽化が進んでいます。下水道で言えば、平成25年には建設後50年以上経過したものが2%でしたが、その20年後の平成45年には24%になります。全体で見ると20年後には60%近くが老朽化したものになります。それらをいかに延命するか、あるいは安く補強するか。そのために当社は実際に調査をしながら、修繕の企画や計画に取り組んでいます。

 

2.事業の紹介 3つのコア・コンピタンス A行政支援
・ 東京の勝鬨橋、清洲橋は国指定重要文化財ですが、当社はこれらの長寿命化に取り組んでいます。
・ ニーズの多様化・高度化や自然災害の急増、既存施設の運営管理の必要性、インフラ老朽化対策の急増、それらに対する地方自治体職員の技術者不足により、行政支援の必要性が高まっています。当社はこれらの課題に対するノウハウがあり、これを活かしてさまざまな事業に取り組んでいます。
・ 気仙沼は東日本大震災により大きな被害を受けましたが、現在当社は市役所の近くに事務所を置き、行政のバックアップをしています。市街地復興計画の計画、設計、管理を市役所に代わって進めています。
・ 東京外郭環状道路建設等の全国各地の大型工事に対して、管理監督補助という形で施工管理や人材派遣等の支援も行っています。
・ また岡山県矢掛町では、地域施設の指定管理者となり、フルーツ農園の管理運営を行っています。規格サイズに合わなかったり、キズがついたフルーツは6次産業化し、ジャムなど新商品を開発し、販売しています。新商品開発は当社だけでなく、地域のいろいろな企業が参加、協力し生まれています。
現在、施設の運営管理も重要な仕事になっています。地域の子どもたちへの食育にも取り組んでいます。

 

2.事業の紹介 3つのコア・コンピタンス B環境
・ 現在、「急激な温暖化」「エネルギー資源、水、食料問題」「廃棄物物質の利用と廃棄処分」の三大重要環境問題があります。
・ 当社は、「大阪ふれあいの水辺における環境調査および整備検討」として、淀川の調査や施設の企画に取り組んでいます。
・ ゴミ処理問題では、「稚内市(仮称)生ごみ中間処理施設」として、生ごみを肥料・燃料として再利用するための施設の設計監理を担当しています。
・ 海外では中央アジアのタジキスタンで、給水施設の設計、施工管理を行いました。

 

3.中期経営計画
・ 中期経営計画は、約10年前、エイトコンサルタントと日本技術開発の統合からスタートしました。2007年度から2013年度の第1次/第2次中期計画ではグループ作りに主眼が置かれました。2014年度から2016年度の第3次中期計画ではブランド構築。E・Jというブランドの確立に努めました。現在は2020年度までの第4次中期計画が進行中で、磐石な経営基盤構築に取り組んでいます。
・ 第4次中期計画《グローカルチャレンジ2020》の基本方針は、「主力事業の深化とブランド化」「新事業領域の創出」「グローバル展開の推進」「環境の変化に即応する経営基盤整備の推進」の4つです。
「主力事業の深化とブランド化」は、国内の建設コンサルタント事業の進化と浸透です。「新事業領域の創出」は、地方自治体を支援するなかで、各地で事業を創出することが求められています。「グローバル展開の推進」は、国内で培った技術を海外でも展開します。「環境の変化に即応する経営基盤整備の推進」では、どのような経営環境になっても、しっかりとした経営基盤を作りこんでいくことです。
これら4つのテーマに取り組み、我が国第一級の社会インフラの課題解決のコンサルタントを目指していきます。
・ 成長に向けたシナリオとしては、中核となる国内建設コンサルタント領域をしっかりと強くしていく→海外コンサルタント領域を広げていく→インフラマネジメント領域の拡大→新規事業を作る→そして、地域の暮らしをコーディネートするプロデューサーとして、当社は社会貢献していこうと動いています。
・ 国内建設コンサルタント領域では、国内トップ5を目指します。海外コンサルタント領域では、売上高の10%の確保を目標としています。東南アジアとアフリカを中心に進めていきます。
・ インフラマネジメント領域では、発注者支援や行政支援で売上高の20%の確保を目指しています。新規事業では、地方自治体が頭を悩めているさまざま問題や産業の創出などの知恵袋になっていきたいと思います。
・ 2016年度は売上で230億円、当期純利益はマイナスですが、これは一過性のものです。2017年度の予想は売上高250億円、当期純利益10億円で、2020年度は売上高300億円、当期純利益14億円を目標としています。ROEも現在は8%を切っていますが、8%以上を目指します。

 

4.業績の見通し
・ 受注内容は官公庁が中心です。2017年5月期の総受注高は264億円でした。これは大型の補正予算の関係もあり、大きく伸びました。今年はそれを抜きにしても254億円の受注がある見込みです。
・ 今期の売上高は250億円を目指しています。経常利益は14億5,000万円、当期純利益は10億円を目標としています。
昨年は訴訟損失引当金で14億円の特別損失計上となりマイナスになりましたが、今期はV字回復する状況です。
・ 自己資本比率は64%程度。有利子負債は7億5,000万円。ROEは6.5%程度ですが、これを8%くらいに引き上げたいと思います。

 

5.株主還元・株価推移
・ 配当方針は、安定配当を継続し、株主の皆様に還元していきたいと考えています。昨年は当期純利益がマイナスになりましたが、前年並みの配当を継続しました。来期は増配を予想しています。
・ この10月に新たな株主優待制度を導入しました。株主の皆様からの日頃のご支援に感謝し、当社への投資魅力の向上を図っています。当社としては初の優待制度導入です。
11月30日現在、株主名簿に記載された100株以上を保有する株主様に対して優待を実施。状況により今後も内容を検討していきます。
・ 株価推移は10月31日時点で1,400円。直近では1,360円くらいだったと思います。非常に割安な状況になっています。
当社は新聞の証券欄において、東証2部のサービス分野の一番最初に名前が挙がっています。国内株式は上昇傾向にあり、当社株式も上がってきています。
・ 当社が手がけた物件は土木学会で数多く受賞しています。新名神高速道路の朝明川橋、広島県の太田川大橋、沖縄宮古島の伊良部大橋、タジキスタンの給水塔などです。
・ CSRでは、公益財団法人の八雲環境科学振興財団があります。若手研究者や子どもたちの理科教育への助成・支援を行っています。また市民向けの防災シンポジウムも開いています。
・ その他最新情報はホームページをご参照いただければと思います。

 

6.質疑応答
Q1. 競合他社と比べた貴社の差別化のポイントは何でしょうか。
A1. 当社は社会インフラの企画・構想から運営、維持管理まで行っています。しかし大半のコンサルタントはごく一部が得意というところが中心です。例えば、港湾が得意であるとか、道路であるとか、河川とか。当社グループはすべてに対応可能というところが一つの特徴です。
また、どちらかというと、企画・構想や設計がコンサルタントとしての大きな仕事とされていますが、当社グループは施工管理も運営管理も対応できます。地質の測量や調査にも対応。さらに施工に際しては、補償問題も生じますが、この分野にも対応し、すべてに対してワンストップソリューションが可能です。これが当社の大きな強みです。

Q2. 自然災害が発生した際、どのような流れで貴社の事業につながるのですか。災害があった自治体から貴社に直接依頼があるのでしょうか。
A2. コンサルタント協会や測量協会など、業種ごとの協会があります。そこに発注者から支援要請があり、協会では対応可能な会社をリストアップし、発注者に提出。そこから発注者が選択します。緊急要請の場合、直接連絡が入ることもあります。

Q3. 海外プロジェクトでは技術者の安全確保も重要です。中国では当局の不明確な理由による拘束もあります。海外での安全対策はどのようにしていますか。
A3. 海外に赴任しているスタッフからは毎日報告を受けています。アフリカでは今、大統領の拘束等で危険な状況が発生しており、全員帰国するように手配しています。日々、赴任者の状況を管理し、適時適切な安全管理をしています。

Q4. 2017年5月期の訴訟損失引当金は、どのような理由によるものですか。具体的に教えてください。
A4. 10数年前の九州の廃棄物処理施設の適切な運用と多額の補強費用に関して、コンサルタントに責任有りと訴訟を受けました。一審で当社の責任が求められ、現在控訴中です。当社は発注者と協議をしながら進めており、一方的に当社に責任を押し付けられるのは心外です。この件に関する訴訟損失と長期に渡っているため利息も発生。訴訟としては11億円くらいですが、4〜5億円の金利が付き、合わせて15億円くらいの費用がかかっています。

Q5. 公共施設の老朽化等に関して、どのようにして国や都道府県、市町村の予算を確保するのですか。本店・本社を東京に置いたほうが貴社にとってよいのではないですか。
A5. これから老朽化対応は非常に膨大な案件が発生します。当社の使命は単に同じものを作ればいいということではなく、必要なものを必要な形で残すことにあります。要らないものは廃棄しなければならない。その判断も必要です。そのためには民間資金もPFI/PPPなどで提供する必要もあります。当社の事業開発領域では、国や県の予算だけでなく、さまざまな資金を投入する仕組みも構築しています。
東京への本社移転ですが、実際に災害が起きた時は、近くから乗り込むのが一番です。東日本大震災では関東から東北に向かいましたが、支援物資は関東ではすぐに底をつきました。そこで中国地方から仕入れたものを大量に持ち込んだことが、役に立ちました。熊本地震ではこちらからすぐに現地に向かえました。このようなスピードが必要です。当社は東西両拠点で構えているので、どこに災害が起きてもすぐに対応可能です。この強みがあると考えています。

Q6. 現在、防災に関する意識が高まっていますが、貴社にプラスになる事項があれば教えてください。
A6. 大災害はないほうがいいです。皆さんが困っているなかで、収益につながるからといって喜ぶようなことはあってはならないと思います。しかし自然災害は毎年発生しています。今年も九州北部で豪雨災害がありました。去年も北海道や東北の災害がありました。各地で災害が起きれば、当社に連絡が入ります。それが業績に結びつくというのは確かにあります。現在、さまざまな災害の復興支援に関わっています。

以 上

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