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オルバヘルスケアホールディングス株式会社(2689)

開催日:2024年3月2日(土)

場 所:シティプラザ大阪 2階 『旬の間』(大阪府大阪市中央区)

説明者:代表取締役社長  前島 洋平 氏

 

1.はじめに

  • 自己紹介として、私は元々内科医であり、腎臓内科を専門にしていました。岡山大学医学部を修了し、大学院で医学博士を取得した後、米国ハーバード大学医学部の附属病院に研究留学しました。その後日本に戻り、助手講師を経て、2011年から岡山大学の慢性腎臓病および心血管病を研究する講座の教授を務めていました。
  • その後、事業承継の関係から2014年に当社に取締役として就任し、その翌年から現職の代表取締役社長に就任しています。
  • なお、医学部では経営を学ぶ機会がなかったことから、経営大学院にてMBAも取得しています。医師および教育者という側面を持ちながら、経営を行っている状況です。

 

2.企業理念

  • 当社では、「ビジネスを通じて、医学・医療・介護の発展に貢献し、国民の健康長寿に寄与する」という企業理念を掲げています。新型コロナウイルス感染症の状況においても、この企業理念の下で地域の医療インフラとして貢献し、医療・介護を止めないというミッションを皆で共有して活動してきました。
  • 当社は2021年に社名を「カワニシホールディングス」から「オルバヘルスケアホールディングス」に変更しており、その際に少し認知度が下がったことから、広報プロジェクトによる認知度向上に努めています。
  • 2023年10月には、岡山・香川エリアで放送されたRNC西日本放送の番組『ルック 〜地域発・輝くビジネス〜』で当社が紹介され、当社の沿革やビジネスモデル、社内教育制度なども取り上げられました。
  • また、CM放映も2023年1月から岡山・香川エリアを中心に、テレビとYouTubeで開始しています。これらのプロジェクトによって、岡山県内における認知度は25%まで向上したという効果がありました。
  • その他の広報の取り組みについては、岡山県内の上場企業4社が集まった合同企画として、KSB瀬戸内海放送で『おかやま上場企業トップフォーラム』という番組が2023年12月に放送されました。各社の代表取締役が地方上場企業の魅力を伝える内容となっています。
  • これらの活動を通じてグループの認知度や知名度を向上させ、採用活動などへの効果、および社員のエンゲージメントの向上につなげていきたいと考えています。

 

3.医療機器販売業 業界説明

  • 当社がビジネスを展開する医療機器販売業の国内市場規模は、安定的に成長しています。政府の医療費抑制政策もありますが、およそ年間2〜3%成長している状況です。
  • 2022年度は、新型コロナウイルス感染症の影響から徐々に回復し、手術数の増加や新しい医療機器製品の導入などによって市場規模も拡大し、2023年度は3兆7,740億円の予測となっています。
  • 医療機器販売商社については、大きく3つの業界特性があります。まず1つ目の特性として、各地域に小規模な医療機器販売商社が多数存在しています。これは、戦後の医療保険制度確立の際に、医療機器販売商社も都道府県単位で展開してきた歴史によります。また、緊急手術対応や機器使用時の説明などを、医療機関の近くでサポートする必要があるという背景もあります。
  • 2つ目の特性として、自力で新規地域に進出することが難しいという点です。各地の販売商社が地元密着で医療機関をサポートしており、医療機関は取引のある地場の販売商社に信頼感を持っています。そのため、知名度が低い販売商社が他の地域から進出しても、シェアを得るまで時間がかかり、その点が参入障壁となっています。
  • 3つ目の特性としては、業界再編の流れが挙げられます。当社を含め、幾つかの医療機器販売商社を抱えたグループ企業がM&Aなどで規模を拡大しています。
  • 主要な広域医療機器販売商社の本店所在地域を見ると、地域ごとに展開されています。全国では合計1,000社以上が存在しており、今後M&Aなどによる業界再編が進む可能性があると考えています。
  • 当社グループでは引き続き地域医療に密着し、高齢化社会にも対応しながら医療・介護に貢献していくとともに、M&Aなども視野に入れてさらなる成長を目指します。

 

4.事業の説明・競争優位性の源泉

  • オルバグループでは、医療器材事業、SPD事業、介護用品事業という3つの事業を展開しています。CM放映は、医療器材事業、およびSPD事業と介護用品事業の2本に分けて制作しています。
  • 医療器材事業は、株式会社カワニシ、サンセイ医機株式会社、日光医科器械株式会社、株式会社カワニシバークメドの4社が担っています。医材流通の専門事業であるSPD事業は、株式会社ホスネット・ジャパンが担当しています。介護用品事業に関しては、株式会社ライフケアが担っています。
  • 当社グループは主に中四国、近畿、東北、東京で展開しています。事業所は全国に56拠点あり、地域医療に密着して顧客との関係性を築いています。
  • また、カワニシバークメドは九州・中部地方を含めた5拠点に展開し、そこから全国に向けてクリニック向けの自動精算機を販売しています。
  • まず、当社の主力事業である医療器材事業についてです。オルバグループは医療機器販売商社として、医療機器メーカーと医療現場をつなぐ役割を果たしています。
  • 約1,000社余りある医療機器メーカーから医療機器や医療材料を仕入れ、約2,000施設の医療機関に対して、医療機器の販売、在庫保有による安定供給、緊急手術時の迅速な手配などを行っています。また、手術における最適な医療機器の選別支援や、故障機器の修理なども請け負っています。
  • さらに、当社グループの営業担当者は、各メーカーの製品や手術方法といった知識を豊富に有しています。医師や看護師に対して、医療機器の適正な使用に関する説明支援なども行っており、医療現場の課題解決に貢献しています。
  • 医療機器メーカーが製品の開発改良に注力し、医療機関が本来の目的である最適な医療の提供に注力できるよう、われわれ医療機器販売商社がその間に入って、日々の医療現場をサポートしています。
  • 当社が扱う医療機器および医療器材は多品種・少量使用であり、手術や患者に合わせて準備しています。例えば、手術時に必要となる超音波メス、ガーゼ、針や糸、生体情報モニター、麻酔器、手術台、ランプ、無影灯をはじめ、医療者が身に着けるマスクや手袋、ゴーグル、手術用のガウンなどを取り扱っています。
  • 加えて、体内に留置する人工心臓弁や、血管に留置するステント、人工膝関節、画像診断用のCT、超音波エコー、レントゲン撮影装置なども取り扱います。医療機器のアイテム数は85万種類以上になりますが、当社グループでは全ての診療領域における医療機器と医療器材を取り扱っています。
  • また、医療機器は日進月歩で開発改良が進んでいます。例えば、不整脈の治療で用いるペースメーカーは、以前は皮下に大きな本体を埋め込み、そこからリード線が心臓まで留置されていました。しかし、現在は約1センチの大きさで、血管からカテーテルを使って心臓の中に入れることができるようになっています。
  • 「FreeStyleリブレ」は、持続的な血糖値のモニタリング装置で、糖尿病の患者が使用します。円盤状のセンサーを腕などに取り付けると、指先を針で刺して血を出さなくても自動的に血糖が分かり、非常に利便性が高くなっています。
  • 内視鏡手術支援ロボットでは「da Vinci」が非常に有名です。医者が座って操作すると、患者の上にあるロボットアームが自動的に動いて手術するという、非常に便利な機器となっています。
  • 「nodoca」は、インフルエンザをAIで診断する機器です。患者の熱の情報と喉の画像から自動的に診断するため、患者は鼻腔による診断を行わずに済み、この機器も非常に利便性が高くなっています。このような新しい機器が次々と登場しています。
  • 次に、SPD事業についてです。SPDとは、供給の「Supply」、加工の「Processing」、流通の「Distribution」の頭文字をとった言葉であり、医療機関の物品管理を総合的にサポートしています。
  • 具体的には、医療機関の物品配送、適正な在庫管理、購買価格の検証を行い、医療機関の活動の効率化を支援しています。さらに最近では、診療報酬管理の支援や手術室業務の合理化支援なども行っています。
  • 次に、介護用品事業についてです。この事業では、自宅での介護を総合的にサポートしています。具体的には、介護用の電動ベッドや車いすなどのレンタル、歩行補助器や補聴器などの販売に加えて、自宅への手すり設置といったバリアフリー化による住宅改修も行っています。また、社内にケアマネージャーが在籍しているため、ケアプランの作成支援なども行っています。
  • 当社グループの競争優位性の源泉として、第一に人材力が挙げられます。業界内でもいち早く社内教育の重要性を認識し、30年の歴史を持つ社内教育制度「OLBA Academy」を実施しています。また、新入社員から幹部社員まで、各ステージに合わせた最適な学びの機会を設定し、医療の専門知識に加えてマネジメント力の強化にも注力しています。
  • 顧客のニーズを聞き、課題解決に貢献する商品を提供するには、医療・介護に関する深い理解と製品知識が必要になります。当社グループの社員が培ってきた医療・介護分野の専門性は顧客からも高い信頼を得ており、競合との差別化につながっています。
  • 競争優位性の第二の源泉はDXツールです。当社では、全社員にDXリテラシー教育を実施しています。経済産業省が公表している「DXリテラシー標準」に準拠した知識力、思考力、マインドセットを学ぶeラーニング講座を導入しており、全社員のDXリテラシーの底上げを図っています。
  • また当社グループでは、流通している約45万件の医療器材のデータを網羅した独自の電子カタログを作成し、社内で運用しています。製品の検索も容易で、顧客が求める医療機器等の情報をタイムリーかつ確実に提供することができ、若手社員の商品知識を補完するとともに、ベテラン社員の営業活動も後押しています。
  • さらにDXツールを活用すべく、営業支援のSFAツールや、顧客管理システムのCRMなどの機能も随時追加しています。

 

5.業績概要・株主還元

  • 業績概要について、2023年6月期の連結業績は、連結売上高が1,104億7,200万円、営業利益が21億5,100万円、経常利益が21億5,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益は14億1,400万円となっています。通期決算では、売上高、営業利益、経常利益とも過去最高となりました。1株当たりの当期純利益は234.9円となっています。
  • 当期純利益の減少要因としては、前期に特別利益が発生したこと、前期において法人税負担の減少による利益増があったことが挙げられ、前期利益増の反動減によるものです。
  • 2022年6月期と比較した2023年6月期の営業利益の増減を見ると、医療器材事業における主な増益要因として、医療機関内で新型コロナウイルス感染症対策が進んで手術件数が増加し、それに伴って消耗品の売り上げが伸びたことで利益が増加しています。その一方で、病院への設備備品の販売において前年ほどの特需案件がなかったことが減益要因になっています。なお、SPD事業と介護用品事業においては、販管費の伸びを上回る粗利の増加を達成しました。連結では営業利益が増加しています。
  • 2024年6月期の第2四半期の連結業績については、連結売上高が574億6,600万円、営業利益および経常利益が7億4,600万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が4億8,600万円であり、中間決算としては売上高が過去最高となります。1株当たり四半期純利益は81.01円となっています。
  • なお、営業利益は前期比で減少しています。この要因については、人的資本への投資として当期首に給与ベースアップを実施したこと、組織体制強化のため人員を補強したこと、DX推進のためのシステム投資を増加したことが挙げられます。
  • 次に、新型コロナウイルス感染症や、世界的なインフレおよび円安による当社事業への影響について説明します。
  • 業績に大きな影響を与える手術件数に関しては、ワクチン接種率の向上や病院での感染対策、そして5類感染症等への変更などにより、おおむねコロナ禍以前の水準まで回復しています。
  • 2023年12月時点では、コロナの収束に伴い、検査関連製品、マスク、手袋といった感染対策製品の需要が減少傾向にありました。ただ、これらの感染対策製品の需要は今後もコロナやインフルエンザの感染状況に左右されるため、引き続き状況を注視していきます。
  • また、世界的なインフレや円安の影響によって、海外製品が多い医療機器の仕入れ価格は上昇傾向にあります。しかし当社では、営業活動の拡大や仕入れ改善等の対策を実施し、販売価格への転嫁も行っているため、一定の利益水準を確保できています。
  • 2024年6月期の通期の連結業績予想として、連結売上高は1,183億8,600万円、営業利益は22億円、経常利益は22億900万円、親会社株主に帰属する当期純利益は14億5,100万円を見込んでいます。売上高、営業利益、経常利益とも過去最高となる見通しです。
  • 営業利益増の主要な要因として、医療器材事業の消耗品販売が堅調に増加する見込みです。設備備品販売についても、2023年6月期から増加して利益増となる予想です。将来の成長に向けての人的投資やシステム投資に伴い、販売管理費が大きく増加しますが、医療器材事業全体としては営業利益の増加を予想しています。
  • なお、SPD事業は減益の見込みとなっています。介護用品事業は、引き続き介護用品のレンタル増による粗利益の増加に伴い、営業利益が増加する予想です。従って、連結では営業利益の増益を見込んでいます。
  • 直近4年間の連結売上高を見ると、新型コロナウイルス感染症の影響等もありましたが、業績は毎期順調に増加しています。2023年6月期の売上高は1,104億円で、過去最高となりました。今期も1,183億円を予想しており、過去最高の売上高と4期連続での増収を見込んでいます。
  • 直近4年間の連結営業利益の推移を見ると、2020年6月期が減少していますが、これは輸入販売事業において貸倒引当を計上した影響によります。2023年6月期には21億5,100万円となり、営業利益として過去最高となりました。今期も、医療器材事業での利益増などによって22億円を予想しており、4期連続での増益および過去最高益を見込んでいます。
  • 次に、配当の基本方針についてです。当社は2023年10月31日に配当の基本方針を変更しました。従来は、基本方針の第一を「安定配当の継続」としていましたが、今回、株主還元の一層の充実を念頭に「増配または維持」を目指すことに変更しました。今後も株主の皆さまへの利益還元の充実と、当社の企業価値の向上を図っていきます。
  • 上場企業の全業種における株主資本配当率(DOE)の平均は2%台と言われていますが、当社のDOEは前期末で4.3%となっています。また、配当利回りも前期末は3.9%であり、DOEおよび配当利回りは比較的高水準となっています。
  • 直近10年間の配当実績を見ると、2023年6月期まで4期連続で増配を実施しており、今期についても現時点で70円の配当を予定しています。
  • 当社では、売上高と営業利益を重要な経営指標として捉えています。昨今重視されているROEについては、当社はそれほど多くの純資産があるわけではないため、ROEの分子である当期純利益を向上させることで収益性の改善を図り、ROEと企業価値の向上につなげたいと考えています。
  • 最近では東証から、PBRが1倍以下の会社に対して改善の取り組みが要請されています。PBRは、PERとROEを乗算したものと解釈されますが、将来の成長性への期待を醸成していく必要があります。当社のPBRはおおむね1倍を超えていますが、今後も収益性の改善、新規事業の推進、適切なIR活動を行い、PBRをさらに高めていきたいと考えています。
  • 当社グループの資本コスト、および資本収益性の現状分析についてです。当社の株主資本コストは6%前後と推定しています。当社のROEは、一過性の特殊要因によって下がる年もありましたが、おおむね12%を超える水準で推移しており、継続的に資本コストを上回る資本収益性を達成しています。その結果、ROEから株主資本コストを差し引いたエクイティスプレッドは、約6〜7%で推移しています。
  • 今後も中期経営計画に基づき、成長と発展に向けた投資を継続しながら、収益性の向上に努めていきます。
  • 配当の基本方針の変更と併せて、株主優待の内容も2023年10月に変更しました。当社株式を1年以上保有する株主の皆さまには、保有年数と所有株式数に応じてQUOカードを謹呈しています。

 

6.中期経営計画の概要

  • 中期経営計画では、社員憲章の共有による一体感と事業への共感を醸成しながら、「OLBA-DX」を積極的に推進します。そして、現業強化と生産性の向上を図るとともに、SDGsやESG経営を推進します。さらに新規事業にも挑戦し、次の100年に向けた基盤作りを進めていきます。
  • 2023年6月期を初年度とする中期経営計画では、新型コロナウイルス感染症による医療機関への影響が徐々に減り、手術症例数が回復傾向にあることを踏まえて、2025年6月期の連結売上高1,200億円、連結営業利益25億円を目標としていました。その初年度である2023年6月期前期では、連結売上高および連結営業利益のいずれも予算を達成し、堅調に推移しています。
  • しかし、当社は変化する事業環境に適応していくため、従来の中期経営計画を見直し、新たに2024年6月期を初年度とする中期経営計画を策定しました。新中計では、給与ベースアップ等の人的資本への投資を大幅に増やし、DX投資を従来よりも拡大しています。2026年6月期の目標は連結売上高1,270億円、営業利益26億円としています。
  • 「OLBA-DX」の取り組みとして、当社では2021年7月にDX推進室を設置しました。これによって、デジタル技術を駆使するヘルスケア業界のリーディングカンパニーとなり、ステークホルダーに新たな価値を提供することを目標としています。
  • DX推進室では、グループ各社の業務改革を先導しています。経費精算システムの導入が完了し、現在はWebオーダーアプリの新規開発や、物流統合システムの稼動拠点の増加を進めています。また、名刺管理システム等を活用したCRMの構築や、RPA活用拡大による定型業務の効率化、ノーコードツールの活用によるシステムの民主化、DX人材の育成なども推進しています。
  • また、当社ではDXによる物流改革として、物流統合システム「Li-Flo」の導入を進めています。「Li-Flo」によって、在庫管理の強化、使用期限管理等による医療機器の品質管理の強化、整形外科手術機器などの貸し出し業務の効率化を目指しています。
  • 2022年9月にカワニシの拠点で「Li-Flo」が本稼働して以降、活動拠点を増加させており、バーコード読み取り等による倉庫内の商品ピッキング作業の効率化や、棚卸時間の削減といった導入効果が既に得られています。今後はグループ全体への導入拡大を目指しています。
  • 次に、カワニシバークメドが手掛ける新規事業として、医療クリニック向けの自動精算機「テマサック」を紹介します。会計業務の省力化に勤めるクリニックや医院を中心に、自動精算機へのニーズが高まっており、「テマサック」はこの上半期で100台の導入が進んでいます。2023年12月末時点では、全国で累計373台が稼働しています。
  • 「テマサック」のプロモーションとしてYouTube動画も制作しており、その第3弾では、当社の自動精算機を増設したクリニックのお客さまの声を紹介しています。
  • 「テマサック」は、2024年7月に予定されている新紙幣への対応も完了しており、精算機の買い替え需要にも対応していく予定です。
  • 次に、業務提携の推進についてです。当社は次の100年に向けて、ディーブイエックス株式会社と業務提携契約を締結したことを2023年3月に公表しました。ディーブイエックスは東京に本社を置く医療機器製造販売商社であり、東証スタンダード市場に上場しています。循環器の不整脈領域を主力に、関東を中心に全国に事業を展開しており、売上高は2023年3月期実績で474億円となっています。
  • ディーブイエックスとの業務提携によって、購買や物流の合理化によるコスト低減、販売連携による売上拡大や収益性の改善、共同でのDX推進などを推進していく予定です。この業務提携によって、当社としては関東などの大都市圏への展開も目指しています。
  • さらに、海外医療機器を扱うスタートアップとの連携事業も行っています。2023年5月には、Nozomi MedAllianceへの出資を実施しました。Nozomi MedAllianceは、海外の新規医療機器の日本での承認取得実績を持つメンバー等が作った会社であり、米国のTHERANOVA社と連携しています。
  • THERANOVA社は、アメリカにおける海外医療機器の事業化実績を保有しており、海外で開発された医療機器に関する豊富な知見を有しています。Nozomi MedAllianceとの戦略的パートナーシップを通じて、日本の医療機器市場への参入を希望する海外企業に早期にアクセスし、国内企業の医療機器開発シーズの事業創出を推進することができます。これによって、当社グループの主力事業である医療器材事業の基盤強化が進むと考えています。
  • また、2023年1月にはタイにて合弁会社タイオルバヘルスケアを設立し、海外事業を開始しました。日本の技術やアイディアを用いて、タイ現地での医療機器生産とメンテナンス体制の構築を図りたいと考えています。
  • タイに進出した理由としては、タイがASEANの経済的および地理的なハブとなっていること、日本と同様に急速な高齢化が今後見込まれること、そしてタイ政府が医療産業の育成に注力していることが挙げられます。
  • 当社は医療機器の分野で日本とタイの橋渡しを行い、医療介護を取り巻くさまざまな課題を解決したいと考えています。その最初の取り組み事例として、タイにおける正規販売代理店契約を株式会社タカゾノと締結しました。病院の薬局に設置する全自動錠剤包装機の販売に向けて準備を進めています。
  • これらの取り組みを拡大してタイ国内のビジネス基盤を形成し、将来的にはASEAN各国への展開も視野に事業拡大を図っていきます。
  • 当社は、医療機器販売業として「医工連携」にも参画しています。当社の社員が臨床現場で伺った医療機器開発ニーズに対して、医療機器製造販売企業、ものづくり企業、地域産業支援機関と連携しています。当社はさまざまなコンサルティング機能を果たし、公的資金も活用しながら新規医療機器開発に貢献します。
  • 最近では、日本医療研究開発機構(AMED)の研究事業である「HealthTechHub中四国」にも参画しています。
  • 次に、当社のSDGsおよびESGに関する取り組みについてです。SDGsは、国連が制定する「2030年までに達成すべき17の目標」ですが、当社では6つの重点目標を掲げて活動を進めています。
  • ESGについては、社員憲章に掲げる「ステークホルダーに誠実かつ継続的に価値を提供し、持続的な経営を追求する」ことに基づき、ESGに関する基本方針を定めており、その更新版を2024年1月に開示しました。
  • 環境の分野においては、既に温室効果ガス排出量やエネルギー使用量を集計して把握しており、環境負荷低減への取り組みを実施しています。
  • 社会の分野においては、人的資本への投資や働き方改革に取り組んでいます。2023年7月には3〜4%程度の定期昇給およびベースアップを実施しました。また、男性の育児休業取得者もグループ各社で徐々に増加傾向となっています。さらに、私自身が元々内科医であることから健康経営も積極的に推進しており、2023年の健康経営優良法人に認定されています。
  • ガバナンスにおいては、経営の透明性・効率化・健全性を確保しながら、当社グループの企業価値の実現を図っていきます。
  • 当社では、企業理念と社員憲章を浸透させる取り組みを行っており、年に10回発刊している当社の社内報にて4コマ漫画を掲載しています。グループ全社から作成メンバーを立候補で募り、営業活動の場面になぞらえながら、社員憲章に基づいた正しい行動を示しています。作成メンバーから出された案は、当社グループの元漫画家の社員が4コマ漫画に仕上げています。
  • 行動に迷ったときは各個人が社員憲章を軸に判断し、生き生きと働くことができる未来を目指して、グループ全体で社員憲章の啓蒙浸透活動を続けています。今後も、会社としての取り組みと自発的な社員の取り組みによって、企業理念の浸透活動を継続していきたいと思います。

 

7.質疑応答

Q1. 御社が長期的に目指す方向性について教えてください。

A1. 当社では中期経営計画に加えて、10年先を見越した長期的ビジョンも作成しています。ビジョンでは3つの目標を掲げています。まず1つ目は、医療機器販売業の業界で国内最高の医療機器商社になることです。同業の企業は約1,000社ありますが、その中で最高となるには、販売力や、仕入れ先に対する交渉力を強化しなければなりません。それには一定程度の企業規模が必要だと考えているため、今後の業界内でのアライアンスやM&Aなども検討しながら、企業規模の拡大を図りたいと思っています。また、DXの活用や物流の効率化によって生産性の向上も図っていきます。 2つ目は、海外事業の拡大です。現在はタイの事業を進めていますが、今後は人口増加が見込まれるASEANでの海外事業の拡大を目指していきます。 3つ目は、「医工連携」や新規の医療機器開発企業への投資によって、新規医療機器の国内導入および販売を進めたいと考えています。販売業者としての立ち位置から、よりメーカーに近い機能を所持することで、収益の拡大を目指します。 これらの長期的な方向性を踏まえた上で、まずは現在取り組んでいる中期経営計画を達成しながら、企業価値の向上を目指したいと考えています。

 

Q2. 人的資本への投資要求が強まっていますが、御社の取り組みを教えてください。

A2. 現在、人的資本への投資が非常に注目されており、当社も非常に重要だと認識しています。当社ではベースアップも実施しており、働き方改革を掲げて、フレックスタイムの導入、在宅勤務、副業などの制度も開始しています。 また、働きやすい職場環境の整備と組織風土の改善を目指して、「さん付け運動」によるフラットな雰囲気づくりにも取り組んでいます。実は、社長である私自身も社員から「前島さん」と呼ばれています。その他、男性の育児休業取得なども実施しています。 さらに、当社では社員教育を重視しており、新入社員、中間管理職、経営幹部向けといった階層別の研修教育や、eラーニングによるDXリテラシー教育等を行っています。今後は、全社員を対象とした「エンゲージメント調査」の実施によって、社員の意識や職場の課題を把握し、より働きやすい環境の整備を進める予定です。健康経営にもさらに取り組んでいきます。 詳細な内容については、ホームページ等にて当社のESGに関する基本的な考え方を公表しているため、ぜひご覧いただければと思います。

 

Q3. 昨年に公表された、配当の基本方針の変更について詳しく教えてください。

A3. 2023年10月に配当方針の変更に関するお知らせを公表しました。これまで当社は安定的な配当を維持・継続することを基本方針としていましたが、実績として4期連続で増配していること、および直近10年間でも7回増配していることを踏まえて、株主還元の一層の充実を図ることを念頭に置き、長期にわたって配当金額の増加または維持を目指すことを明確に示すため、配当方針を「安定配当」から「増配または維持」に変更しています。また、株主還元の一つとして、株主優待制度も継続して行っています。今後も株主の皆さまへの利益還元の充実と、当社の企業価値の向上をさらに図っていきたいと考えています。

 

Q4. タイでの事業展開における今後の戦略と成長性について教えてください。

A4. 当社では2023年1月からタイに合弁会社タイオルバヘルスケアを立ち上げており、現地の国立研究機関や有力病院と連携しながら事業を進めています。当社は、医療機器の分野で日本とタイの橋渡しとなり、日本の技術をタイに持っていくだけでなく、その技術を現地向けに改良して、現地で生産して届ける事業を展開していきたいと考えています。 その最初の事例として、処方箋から全自動で錠剤を用意する機械の販売に取り組んでいます。それ以外にも、第2、第3の事業として、がんに対する医療機器や、整形外科に対する医療機器も検討しています。これらの取り組みを拡大して、タイ国内でビジネス基盤を形成し、将来的には周辺のASEAN各国に展開していく構想を描いています。

 

 

以上

 

 

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