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株式会社三社電機製作所(6882)

開催日:2023年12月23日(土)

場 所:グラントウキョウノースタワー 18階 『大和コンファレンスホール』(東京都千代田区)

説明者:代表取締役社長  𠮷村 元 氏

 

1.当社の紹介

  • 大阪市東淀川区に本社があります。本社から1kmほどに新大阪駅があります。事業内容は、半導体、特にパワー半導体と呼ばれる分野や、電源機器のメーカーです。売上高は昨年度の実績で280億8,800万円、営業利益が16億2,900万円です。従業員は連結で1,436人、このうち約500人が中国の製造子会社等にいます。
  • 今年で創業90周年を迎えます。1933年(昭和8年)に創業しました。ご年配の方はお分かりになると思いますが、それまでは無声映画でしたが、有声映画が出始めたのがこの頃でした。創業者が「これからは映画の時代だろう」と、映写機用電源の製造販売を始めたのが祖業です。今でも姿を変えて事業を続けています。今、映画はデジタルシネマの時代ですが、デジタルシネマの分野でも私どもの電源が広く使われています。
  • 社名は、「三」人の「社」会人で創業したことに由来します。3人のうち1人は事業を運営する人、1人は資本を出した人、1人は技術を担当する人でした。「SanRex」というブランド名は、「Sansha」の「San」と、「Rectifier」の「Rex」から成っています。Rectifierは専門的な用語で、一方向にだけ電流を流す半導体や大きな電源などの整流器のことです。Rexには王様という意味もあり、SanRexでこの分野で世界トップになろうという意味を込めています。
  • 沿革について、創業から1970年は「創業から現在に続く技術基礎の確立」した時期です。当社は電源機器の製造販売から始まりましたが、その心臓部分となるパワー半導体を他社から買っているようではいけないと、パワー半導体の開発に進出しました。それが1963年でした。1982年から1988年は「拠点拡大、パワー半導体の開発特化」した時期です。1982年に現在電源の主力工場となっている滋賀工場、1985年に半導体の工場である岡山工場を竣工し、充実させてきました。1993年から2002年は「さらなるグローバル化へ体制整備」した時期で、1994年に中国でメインの電源製造工場となる三社電機広東有限公司を設立しました。その後、1997年に大阪証券取引所市場第二部(東証スタンダード)への上場を果たしました。2015年から2020年の「新たな時代に向かって」の時期には、2015年に次世代半導体と呼ばれるSiC(シリコンカーバイド)の半導体のパワーモジュールをパナソニックと共同開発しました。直近では、活用が広がっている蓄電池の評価用電源の開発をスタートさせています。
  • 国内事業拠点は、滋賀県守山市にある電源の滋賀工場や、岡山県県北の奈義町にある半導体の岡山工場など、生産拠点が4つあります。営業拠点は7拠点で、東京、名古屋、大阪の東名阪と、九州の福岡、北陸にあります。
  • 海外事業拠点は、製造拠点としても、市場の大きさの面でも重要と考え、中国に何カ所か拠点を置いています。中国以外では、ソウル支店、台北支店、アジアパシフィックエリアの営業を統括するシンガポール拠点があります。欧米はアメリカのニューヨーク州に、半導体に特化した販売拠点がヨーロッパのヘルシンキにあります。
  • 当社の強みは、パワー半導体と電源機器の融合、高効率電力変換技術、一貫生産とアフターケアまでのワンストップサービスの3つです。電力変換に特化して技術を磨いてきました。この分野では知識、経験とも豊富だと自負しています。官民の多くのお客様からお引き立ていただいています。パワー半導体と電源機器の両方を取り扱っており、どちらのお客様に対しても、かゆいところに手が届くサポートを提供できます。これが特に申し上げておきたい特徴です。

 

2.事業の紹介

  • 半導体事業は、昨年度の売上高が81億円で、全体の31%、営業利益は5億円で、全体の37%を占めます。営業利益率は6.1%です。商品には、主力商品であるパワーモジュール、その小型版のディスクリート、その両方の心臓部分となる半導体チップがあり、このチップのみの販売も一部では行っています。私どもの強みは、高耐圧で高効率な性能の高い分野のパワー半導体に特に力を入れていることです。また、高信頼性を実現するパッケージ技術も大きな強みです。サイリスタ・ダイオードと呼ばれるパワーモジュールの分野で、世界シェアで3位となっています。
  • パワー半導体が使われるのは、製造用ロボット(ロボットの中の制御用半導体)、業務用エアコン、太陽光発電、溶接機、電鉄用補助電源、白物家電などです。太陽光発電は、太陽電池の出口で電流が逆流するのを防止するために逆流防止ダイオードを入れるのですが、ほぼ100%のシェアを取っています。
  • 電源機器事業は、昨年度の売上高が199億円で全体の69%、営業利益は11億円で全体の63%を占めます。営業利益率は5.5%です。電源機器事業は広範囲にさまざまな種類の製品を取り扱っています。一般産業用電源、表面処理用電源、インバーター、小型組込電源などのセグメントがあります。特に強いのが表面処理用電源で、メッキや車のボディーの電着塗装などにも使われています。表面処理用電源はいろいろな分野で幅広く使われています。私どもの特徴は、電源機器も半導体と同様に、高性能で高精度の製品であることです。安価に作るよりも、難しい課題を頂戴して、技術部門が取り組むというスタイルで頑張っています。表面処理用電源では国内シェアトップで、約6割を取っています。
  • 当グループの電源機器は、蓄電池評価用電源、銅箔生成用電源、オゾン殺菌用電源、プラズマ灰溶融電源、表面処理用電源、溶接機用電源などがあります。銅箔生成用電源とは、電気自動車等に使われているリチウム電池の電極に銅箔が使われますが、その銅箔を生成するための大型の電源です。プラズマ灰溶融電源は、ゴミを溶かして固めるための大型の電源です。表面処理用電源は自動車の電着塗装からプリント基板のメッキ、微小な電子部品の電極のメッキまで、広範囲に使っていただいています。スマートフォンのアルミのボディーがきれいに処理できるのも、表面処理用電源を使っていただいているためです。
  • 7年ほど前に、福島にある経産省の産業技術総合研究所に非常に大きな電源を導入しました。太陽光などのパワーコンディショナーあるいは蓄電池を充放電する電源を評価するための一回り大きい電源です。納めた電源は全体で320トンあり、新幹線の車両で7両分となる大きな電源システムでした。
  • 当グループの電源機器には他にも、燃料電池・蓄電池パワーコンディショナー、無停電電源装置、光源用・調光用電源、電気炉などの電力を調整するための電力調整器、小型組込電源などもあります。無停電電源装置では、全国のETC全てに取り付けてある、停電時にサポートする補助用電源も取り扱っています。小型組込電源は、ATMや医療機械の中の小型電源などです。私どもが数年前に事業を受け継いだ子会社があります。現在は株式会社諏訪三社電機として、長野県茅野市に本社があり、ここが主に小型組込電源を製造しています。

 

3.中長期の成長戦略

  • 中長期の成長戦略について。今年度は90周年を迎え、これを機に、「パワーエレクトロニクスと創造力で、社会を前進させる。」というパーパスを4月に制定しました。われわれが得意にしている、そして大事にしている「パワーエレクトロニクス」と「創造力」という2つのワードを明確に示して、社会を前進させるという大きな使命を前面に押し出してやろうと、社内でディスカッションをして、決定しました。
  • 中長期のありたい姿として、「Global Power Solution Partner」というビジョンを掲げています。パワーやエネルギーのソリューションに関しては、グローバルで唯一無二のお客様のパートナーでありたいと思っています。
  • 中期経営計画は、本年度が3年目の最終年度になります。これまで3カ年計画を進めてきました。6つのマテリアリティ(重要課題)を設定し、3カ年計画を立てて、実行するというスタイルで取り組んできました。
  • パワー半導体の市場動向について、パワーデバイスの市場規模は勢いよく伸びていくだろうと予測されています。その中でも次世代の半導体といわれるSiCは、勢いよく伸びるだろうといわれています。
  • パワー半導体の市場動向から、パワー半導体事業の成長戦略を「製販技で高収益化を追求」と設定し、中計で推進してきました。基本的にはSiCに代表される次世代の新製品に力を入れていこうとしています。一方で、岡山工場の自動化設備導入などの投資もこの中期で注力してきました。
  • 電源機器の市場動向について、再生可能エネルギーや新エネルギーで蓄電システムと水電解用電源の需要が拡大するだろうと見ています。蓄電システムとは、太陽光等で発電したものをためておいて有効に使う仕組みです。水電解用電源とは、余った電力を長時間保存しておくため、水(H2O)を水素と酸素に電気分解して、水素にしてためておくのですが、その水電解装置に安定した電流を供給します。昨今、水素や燃料電池は大きく注目されていますが、この分野でも大きな伸びが予測されています。
  • 電源機器の市場動向から、電源機器事業の成長戦略を「付加価値を訴求し、高収益化へ」としました。水素や新エネルギー、脱炭素社会に向けた環境分野にさらに力を入れていきます。
  • 中期経営計画のこれまでの進捗(しんちょく)から、売上高、営業利益、ROE(自己資本利益率)は3期とも計画を超える見通しとなっています。
  • 私どもが重要視している指標の1つに、海外売上高比率があります。現在、全体では海外が34.0%、国内が66.0%という比率です。半導体は、昨年度に中国で少し落ち込みがあり56.3%となりました。通常年であれば約6割となりますが、少し切っている状況です。電源機器は24.9%となっています。
  • 「脱炭素社会の実現」への取り組みについて、「つくる」とは、石油エネルギーでないものからエネルギーをつくっていこうというものです。そして、それを「ためる」。今後はこの辺りが非常に大事になってきます。この分野では、しっかりと電源でやっていくとともに、当然私どものパワー半導体も使われますし、パワー半導体そのものは効率良くエネルギーを使うために非常に有効な商品ですので、伸ばしていきたいと考えています。
  • 「脱炭素社会の実現」への取り組み事例を紹介します。お客様が長崎県壱岐市です。普通の電気配線からの電源だけではなくて、太陽光発電もしています。太陽光が使える時は太陽光のエネルギーで賄うという、ごく普通の使われ方です。太陽光の出力がさらに増えた時に、水を電気分解して水素を作って、ためておきます。水素を作る時に酸素もできますが、壱岐市では陸上でのフグ養殖に力を入れており、出来上がった酸素を全部そちらで使うことで、無駄のない有効なエネルギー活用をされています。このシステムの中に、当社の商品を幾つか導入していただきました。
  • サステナビリティの取り組みについて、2050年のカーボンニュートラルに向けて、第1段階として2030年に2013年度比で46%CO2削減するという政府目標がありますが、私どももこれに向かって進めているところです。
  • つい先日ですが、私どもの半導体の岡山工場が、「2023年度省エネ大賞」を初めていただきました。約10年前から、エネルギーの有効利用、脱炭素に向けての活動を進めています。例えば、工場全体でエネルギーマネジメントシステムを導入、照明を全てLEDにする、空調システムを高効率化してヒートポンプを使った省エネ型にするなどです。先日、油類は一切使わない工場、脱化石燃料化を実現することができました。これらの取り組みが認められたのだと思っています。
  • 私どもは技術志向型の会社で、人材が非常に重要になってきています。人材戦略についても、しっかりと3カ年の計画を定め、今後も人材育成を進めていきたいと考えています。

 

4.2024年3月期 通期業績予想と株主還元

  • 第2四半期の実績は、売上高が昨年度129億円で、今年度は138億円と昨年度比で+9億、+7%となりました。営業利益も順調に推移し、11億2,700万円で、昨年の3億700万円と比較して、+8億1,900万円、+266%と4倍ほどとなりました。
  • 通期の業績予想は、売上高は昨年度の実績280億円に対して、310億円となる見込みです。+29億円で、増減率は+10%となります。営業利益は、昨年度16億2,900万に対して、25億円の見通しで、営業利益率は8.1%を見込んでいます。昨年度比で+8億7,000万円になります。これは2023年11月に上方修正した数字です。
  • 私どもは配当性向を連結純利益の30%をめどに、安定的な配当の継続を基本として、残りはしっかりと投資に回す方針です。5月に発表済みですが、年間40円、期末配当は30円の予定です。これは90周年の記念配当5円を含んでいます。配当利回りは約3%となっています。
  • 株価の推移と各種指標はスライド資料のとおりです。

 

5.まとめ

  • 私どもは特に技術的な課題が難しいほど、燃える集団です。これをずっと繰り返してきたおかげで、官民両方にファンがおられて、難しい課題が出てくると、早い段階で声がかかるという、いい循環ができています。引き続き、この挑戦にしっかり応えていきます。現在、次期中期計画を検討中で、来年4月から新しい中計が始まります。また、90周年を超えて、100周年に向かう10年という一つの区切りの年でもあります。新たな気持ちで進んでいこうと考えています。しっかりと成長を図り、株主の皆さまの期待に応えていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

 

6.質疑応答

Q1. 研究開発費はどのくらいで、何に使っていらっしゃいますか。過去から伸びていますか。

A1. 研究開発費は、今年度は17億円の計画です。売上比率では6%弱です。中期計画3カ年で順調に投資金額を増やしています。例えば、前回の中期計画の同時期では約9億という10億に届かない数字でしたが、その頃から比較してもかなり伸びています。 使い道は、半導体では新製品開発、その中でもSiCのウエートが高いです。それから、電源機器では水素や電池の評価系の研究開発です。特に蓄電池は、10年先を見通すと、今の蓄電池の比ではないほど多く出回る社会になるのではないかと考えています。蓄電池評価を中心にしっかり伸ばしていきたいと思っています。

 

Q2. 海外展開について教えてください。

A2. 私どもはそれほど大きな会社ではありません。拠点を有効に使っていこうと、「どのエリアで、どういうものを、どこに売ろうか」という、エリア別の戦略を考えて進めています。例えばアジアはこれから電源にさらに力を入れていこうと思っています。中国は大市場のため、電源、半導体ともにオールラウンドで取り組みます。アメリカも電源と半導体の両方を展開しますが、アメリカでは特に溶接機の電源にルート的にも強みがあります。溶接機の電源に力を入れていきます。ヨーロッパはSiCの半導体に大きく期待しています。ヨーロッパとアメリカは、新しいもの、特にこのようなパワー半導体の分野での研究意欲が非常に強く、大学や企業の研究機関から声が掛かり、一緒に検討しているテーマもあります。この先、実際のビジネスに結び付けることを狙っていきたいと思っています。

 

Q3. 株主還元策についていま一度教えてください。

A3. 当社は配当を基本としています。その中でも連結純利益の30%をめどに、業績が悪い時もこの数字をめどに配当を継続したいと考えています。手段として自社株買い等もありますが、今の時点では皆さんにご報告できるものは特にありません。

 

Q4. 1933年に創業して以来90年、さまざまな試練を乗り越えて継続できた一番の理由をどのようにお考えでしょうか。将来的にはどのような会社でありたいと思われますか。

A4. 俗な表現になりますが、お客様からいただいた課題にとにかく真摯(しんし)に応えてきた、その繰り返しの90年であったかなと思います。それが当社のファンでいていただける理由だと思います。今もこれを繰り返さなければ、次の世代への財産は残せません。お客様からの難しい課題への挑戦は、引き続き続けていきたいと思っています。 さらに加えますと、私が社内でみんなにしきりに言っているのは、「お客様から課題をもらっているうちはありがたいです。しかし、本当はその課題をお客様との話の中で、自分たちで見つけて、先回りをして提案していくようになろうや」ということです。いずれにしても、考え方は、ビジョンに掲げたように、「Global Power Solution Partner」として、唯一無二の存在であり続けていきたいと思っています。100周年に向かって、さらに進んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

以上

 

 

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