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オルバヘルスケアホールディングス株式会社(2689)

開催日:2023年11月25日(土)

場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)

説明者:代表取締役社長  前島 洋平 氏

 

1.自己紹介

・ 社長の私はもともと内科医で、専門は腎臓内科です。岡山大学医学部を卒業し、大学院で医学博士を取得した後、ハーバード大学医学部附属病院に研究留学しました。その後に岡山大学病院に戻り、助手、講師を経て、2011年から慢性腎臓病、心血管疾患の講座の教授を務めました。2014年には、事業承継目的で当社の取締役に就任、2015年から代表取締役社長を務めています。

経営大学院を修了し、経営学修士を取得しています。医師、教育者、経営者としての3つの側面を持ち、経営にあたっています。

 

2.企業理念

・ 当社の企業理念(パーパス)は、「ビジネスを通じて、医学・医療・介護の発展に貢献し、国民の健康長寿に寄与する」です。新型コロナウイルス感染症拡大の状況下においても、私どもはこの企業理念のもと、「地域の医療インフラとして貢献」「医療・介護を止めない」というミッションを社員全員で共有し、日々活動を続けてきました。

・ 広報プロジェクトについて。先月10月22日に岡山・香川エリアを対象とするRNC西日本放送の「ルック」で当社が紹介されました。RNC西日本放送のYouTubeチャンネルでもご覧いただけます。

2023年1月より、岡山・香川エリアを中心にCMの放映を開始しました。2021年1月の商号変更によりリセットされた認知度も、CM放映により岡山県内では25%まで上昇。これらの広報プロジェクトを通じ、グループの認知度・知名度をアップし、採用活動への効果を期待したいと考えています。

 

3.医療機器販売業の業界説明

・ 医療機器の国内市場規模は、政府の医療費抑制政策はあるものの、安定的に成長しています。2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響からも徐々に回復。手術数の増加、新規製品の導入などにより拡大し、2023年度は3兆7,740億円の予測となっています。年間2〜3%成長している市場です。

・ 医療機器販売商社の業界特性については3つのポイントがあります。1つ目は「各地域に小規模な医療機器販売商社が多数存在」していることです。戦後の医療保険制度確立の際、医療機器販売商社が都道府県単位で展開してきたという歴史があります。また、緊急手術の対応や機器使用時の説明など、医療機関の近くでのサポートが必要なためです。2つ目は「自力での新規地域進出の難しさ」が挙げられます。各地の販売商社が地元密着で医療機関をサポートしており、医療機関は現在取引のある地場の販売商社に対して高い信頼感を持っています。そのため、知名度の低い販売商社が他の地域に進出しても、ある程度のシェアを得るには長い時間を要するという、業界ならではの高い参入障壁があります。3つ目として「業界再編の流れ」があります。当社を含め、幾つかの医療機器販売商社を抱えたグループ企業が、M&A等で規模を拡大しています。

・ 医療機器販売商社は地域ごとに展開しており、全国単位では合計1,000社以上が存在します。今後M&A等により業界再編が進む可能性があります。当社グループでは引き続き地域医療に密着し、高齢化社会にも対応しつつ、医療・介護に貢献するとともに、M&A等も視野に入れながら、さらなる成長を目指します。

 

4.事業の説明

・ 当社グループは3つの事業を展開しています。「医療器材事業」は株式会社カワニシ、サンセイ医機株式会社、日光医科器械株式会社、株式会社カワニシバークメドの4社が担っています。医材流通の専門的事業である「SPD事業」は、株式会社ホスネット・ジャパンが担当しています。「介護用品事業」は、株式会社ライフケアが担っています。

・ 当社グループは中四国、近畿、東北、東京で事業を展開。事業所は全国に53拠点あります。地域医療に密着し、顧客との関係性を築いています。

・ 私たちオルバグループは、医療機器販売商社として、医療機器メーカーと医療現場をつなぐ役割を果たしています。約1,000社の医療機器メーカーから医療機器や医療材料を仕入れ、約2,000施設の医療機関に販売や在庫保有による安定供給、緊急手術時の迅速な手配などを行っています。また、手術における最適な医療機器の選別支援や、故障した機器の修理なども請け負っています。さらに、当社グループの営業担当者は各メーカーの製品知識や手術方法の知識も豊富であり、医療機器の適正な使用について医師や看護師等に説明や支援を行い、医療現場の課題解決に貢献しています。

医療機器メーカーは製品の開発・改良に注力し、医療機関は本来の目的である最適な医療の提供に注力できるよう、私たち医療機器販売商社が間に入って日々の医療現場をサポートしています。

・ 私どもが取り扱う医療機器・器材は、多品種、少量使用という特性があり、手術や患者に合わせて準備する必要があります。例えば、手術室で使われる超音波メス、ガーゼ、針や糸、血圧や心電図がわかる生体情報モニタ、麻酔器、手術台、無影灯や、医療者が身に着けるマスクや手袋、ゴーグル、手術用ガウンなども取り扱っています。また、人工心臓弁や血管内に留置する筒状のステント、人工膝関節、画像診断用のCT(コンピュータ断層撮影)やエコー(超音波装置)、レントゲン撮影装置なども取り扱っています。医療機器等のアイテム数は85万種類以上にもなりますが、当社グループでは全ての診療領域の医療機器、医療器材を取り扱っています。

・ 医療機器は日進月歩で開発・改良が進み、どんどん新製品が出ています。例えば、心臓ペースメーカーは以前であれば皮膚の下に大きな本体を埋め込み、リード線が心臓の中に留置される様式でしたが、現在では本体は1cm程度の大きさで、血管からカテーテルを使い心臓内に留置することが可能になりました。また、糖尿病患者が使うFree Style リブレは、センサーを上腕に当てて血糖値が測定できる。これまでは患者さんが指先を針で刺して血糖値を測定していましたが、非常に簡便になりました。

内視鏡手術支援ロボットでは、アメリカのインテュイティヴ・サージカル社が販売している「da Vinci(ダヴィンチ)」が有名です。医師が手術室の操作ボックスの前に座り、内視鏡画像を見ながら操作し、アームが精密な手術を行います。整形手術支援ロボットでは、「VELYS(ベリーズ)」があり、整形外科の手術でもロボットが使われています。手術をより精密にしたり、長期的に使用する人工関節を長持ちさせる効果があります。

・ SPD事業は株式会社ホスネット・ジャパンが事業展開しています。「SPD」とは、「Supply(供給)」、「Processing(加工)」、「Distribution(流通)」の頭文字を取った言葉で、医療機関の物品管理を総合的にサポートします。具体的には、医療機関内での物品の配送、適正在庫の管理や購買価格の検証を行い、医療機関の活動の効率化を支援します。さらに、手術室業務の合理化や診療報酬管理の支援なども行っています。

・ 介護用品事業は株式会社ライフケアが事業を行い、自宅で行う介護を総合的にサポートしています。具体的には介護用の電動ベッドや車椅子などのレンタルや歩行補助器や補聴器等の販売など。また、自宅に手すりを設置するなどのバリアフリー化の住宅改修も行っています。社内にはケアマネジャーが在籍し、ケアプランを作成したり、支援しています。

 

5.競争優位性の源泉

・ 当社グループの競争優位性の源泉として、2つのポイントがあります。1つ目は「人材力」です。業界内でもいち早く社内教育の重要性を認識し、30年の歴史を持つ社内教育制度「OLBA Academy(オルバ・アカデミー)」を開設。新入社員から幹部社員まで、それぞれのステージに合わせて最適な学びの機会を作っています。また、医療の専門知識に加え、マネジメント力の強化にも力を入れています。

顧客のニーズを伺い、課題解決に貢献する商品を見いだすには、医療・介護に関する深い理解、製品知識が必要です。当社グループの社員が培ってきた医療・介護分野の専門性は、顧客から高い信頼を得ています。

・ 2つ目に、当社独自のDX(デジタルトランスフォーメーション)ツールが挙げられます。当社では現在、全社員にDXリテラシー教育を実施。経済産業省が公表しているDXリテラシー標準に準拠した知識力や思考力、マインドセットを学ぶe-ラーニング講座を導入し、全社員のDXリテラシーの底上げを図っています。

  当社グループでは、通常流通している医療器材約45万件のデータを網羅した独自の電子カタログを作成し、社内で運用しています。製品の検索も容易で、顧客が求める医療器材等の情報をタイムリーかつ確実に提供することができるため、若手社員の商品知識を補完し、ベテラン社員の営業活動を後押ししています。さらにDXツールを活用すべく、SFA(営業支援)ツールや、CRM(顧客管理システム)など、機能を随時追加しています。

 

6.業績概要

・ 2023年6月期の連結業績は、売上高が1,104億7,200万円、営業利益が21億5,100万円、経常利益が21億5,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益が14億1,400万円でした。通期決算では、売上高および営業利益、経常利益ともに過去最高となっています。1株当たり当期純利益は234.90円でした。

当期純利益の前期比との減少要因は、前期に特別利益が発生したこと、前期に法人税負担の減少による利益の増加があったことなどの前期の利益増の反動減によるものです。

・ 新型コロナウイルス感染症、世界的なインフレ、円安による事業への影響について。業績に大きな影響を与える手術件数に関しては、新型コロナワクチン接種率の向上や病院での感染対策、5類感染症への変更などにより、おおむねコロナ前の水準まで回復。新型コロナウイルスの検査関連製品は、2023年6月期も安定した需要がありました。

世界的なインフレや円安の影響により、海外製品が多い医療機器の仕入れ価格が上昇傾向にあります。しかし、当社では営業活動の拡大や仕入れ改善等の対策を実施。販売価格への転嫁も進んでおり、一定の利益水準を確保しています。

・ 2022年6月期の営業利益と比較した2023年6月期の主な増益要因は、医療器材事業で、医療機関内で新型コロナウイルス感染対策が進み、手術件数が増加。消耗品の売上が伸びたことによる利益の増加があります。一方、減益要因は、病院への設備備品の販売に、前年ほどの特需案件がなかったことです。

SPD事業や介護用品事業でも、販管費の伸びを上回る粗利の増加を達成し、連結では営業利益が増加しています。

 

7.2024年6月期の業績予想および株主還元

・ 2024年6月期の通期連結業績予想は、連結売上高が1,183億8,600万円、営業利益が22億円、経常利益が22億900万円、親会社株主に帰属する当期純利益が14億5,100万円の見通しです。売上高、営業利益、経常利益とも過去最高を見込んでいます。

・ 営業利益増減の主な要因として、医療器材事業の消耗品販売は堅調に増加の見込みで、利益増。設備備品販売は、2023年6月期よりも増加し利益増となる予想です。一方、将来の成長に向けた人的投資やシステム投資による販売管理費の増加を見込んでいます。医療器材事業全体としては、営業利益は増加と予想しています。

SPD事業は当期は減益の見込みです。介護用品事業は、引き続き介護用品のレンタル増による粗利増により、営業利益も増加する予想です。

よって、連結での営業利益は増益を見込んでいます。

・ 直近4年間の連結売上高について、半期と通期での実績推移と2024年6月期の予想をみると、新型コロナウイルス感染症のさまざまな影響もありましたが、業績は毎期順調に推移しており、2023年6月期は売上高1,100億円と過去最高となりました。2024年6月期は1,183億円と予想しており、過去最高の売上高ならびに4期連続の増収を見込んでいます。

・ 直近5年間の営業利益については、2020年6月期の減少要因は、輸入販売事業の貸倒引当金繰入額を計上したことによるものです。2023年6月期は21億5,100万円と営業利益としては過去最高となりました。2024年6月期では、医療器材事業での利益増により、営業利益22億円と4期連続の増益と過去最高益を見込んでいます。

・ 資本コストと資本収益性の現状分析について。当社の株主資本コストは、約6%前後。一方、当社のROEは、一過性の特殊要因で大きく下がった年度もありましたが、それ以外はおおむね12%を超える水準で、継続的に資本コストを上回る資本収益性を達成しています。その結果、ROEから株主資本コストを引いたエクイティスプレッドは、約6〜7%で推移。今後も中期経営計画に基づき、成長・発展のための投資を継続。収益性の向上に努めていきます。

・ 当社は2023年10月31日に配当の基本方針を変更。従来、基本方針の第一に「安定的な配当の継続」を掲げていましたが、今回、株主還元の一層の充実を念頭に、「増配または維持を目指す」に変更しました。今後も株主の皆様への利益還元の充実と、当社の企業価値の向上を図ります。

なお、これまでの実績として、2023年6月期まで4期連続の増配を実施。2024年6月期については、現時点では70円配当を予想しています。

・ 配当の基本方針と合わせ、2023年10月31日に優待内容も変更しました。1年以上当社の株式を保有いただいた株主の皆様には、保有年数と所有株式数に応じた額面のQUOカードを謹呈しています。

 

8.中期経営計画の概要

・ 昨年公表した2023年6月期を初年度とする中期経営計画では、新型コロナウイルス感染症の医療機関への影響が徐々に減少し、手術症例数等が回復傾向にあることを踏まえ、2025年6月期の連結売上高1,200億円、連結営業利益25億円を目標としていました。中期経営計画の初年度である2023年6月期の連結売上高・連結営業利益は、いずれも予算を達成。堅調に推移しています。

一方で変化する事業環境に適用し、持続可能な経営を実現するためには、人的資本とDXへの投資が欠かせません。そこで従来の中期経営計画を見直し、2024年6月期を初年度とする中期経営計画を新たに策定。給与のベースアップ等の人的資本への投資を大幅に増やし、DX投資を従来よりもさらに拡大することを決定しました。その結果2026年6月期の目標を、連結売上高1,270億円、連結営業利益26億円としました。

・ OLBA-DX―DX推進室による改革について。2021年7月にDX推進室を社内に設置。デジタル技術を駆使するヘルスケア業界のリーディングカンパニーとなり、ステークホルダーに新たな価値を提供することを目標とし、DX推進室が先導してグループ各社の業務改革に着手しています。すでに経費精算システムの導入を完了し、現在、Webオーダーアプリの新規開発や、物流統合システムの稼働拠点の増加を予定しています。また、名刺管理システム等を活用したCRM構築や、RPA活用拡大による定型業務の効率化、ノーコードツール活用によるシステムの民主化、DX人材の育成を進めています。

・ アプリ・システム開発として、整形外科領域における自社Webオーダーアプリの開発があります。アプリ上で手術症例予定や手術の準備物の確認ができ、顧客の満足度向上ならびに社員の業務効率化が期待されます。広島県と岡山県でトライアル版の運用を開始予定です。

もう一つは、生成AI利用ガイドラインの策定です。業務でのChatGPTなどの生成AIの利活用に向けて、社内でガイドラインを策定。公開しました。生成AIの活用による業務効率化や変革を促すと共に、利用のリスクや注意事項を周知し、グループ全社でDXに取り組んでいます。

・ DX取り組み事例の3つめとして、物流統合システム「Li-Flo(リフロ)」の開発があります。在庫管理の強化、使用期限管理等の品質管理の強化、整形外科手術機器などの貸出業務の効率化を目指すもので、2022年9月より、事業会社である株式会社カワニシの広島県福山市の営業所で本稼働を開始。現在、順次、稼働拠点を増やしています。

バーコード読み取りによる商品ピッキングの効率化や、棚卸し時間の削減などの導入効果を得ています。今後はグループ全体への導入拡大を目指し、現在準備中です。

・ 新規事業のクリニック向けビジネスについて。株式会社カワニシバークメドがクリニック向けの自動精算機「テマサック」を提供。この商品名は「手間を割く」に由来します。

2023年6月期は156台の導入実績があり、2023年10月末時点の累計導入台数は全国で329台です。昨年は業界で初めて医療レセコンと連携するキャッシュレス専用の自動精算機「テマサックLight」の発売も開始しています。

外部の調査機関による顧客満足度調査でも、高い評価を得ています。YouTube広告の第二弾を作り、アニメ・漫画素材を作成。今年10月にはMEDICAL JAPAN東京にも出展し、積極的なプロモーション活動を行い、顧客層のさらなる拡大を図っています。

・ 当社は次の100年に向け、DVx(ディーブイエックス)株式会社と業務提携に関する基本合意を締結しました。DVx社は東京に本社がある医療機器製造・販売商社で、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。主に循環器の不整脈の領域で、関東を中心に全国に営業所を展開しており、売上高は2023年3月期の実績で474億円です。

この業務提携により、購買や物流の合理化によるコストの低減、販売連携による売り上げ拡大と収益率の改善、医工連携におけるニーズ・シーズの情報交換、情報システムの運用や共同利用によるDXを推進したいと考えています。また、業務提携による関東などの大都市圏への展開も目指しています。

・ 海外展開も始めました。2023年1月26日にタイにて合弁会社タイオルバヘルスケアを設立。タイへの進出理由は、ASEAN地域の経済的・地理的なハブとなっていること、今後、現在の日本のように急速な高齢化が見込まれること、そしてタイは非常に親日的であり、日本からも多くの企業が進出していること、同国政府が医療産業の育成に注力していることなどです。私どもは医療機器の分野で日本とタイの橋渡しをすることで、日本の技術やアイデアを用いて、タイ現地での医療機器生産、メンテナンス体制の構築を図ります。

・ 具体的な事業展開スキームについて。タイ国内での開発・生産から総販売元としての活動を目指しています。取り組み事例の一つとして、株式会社タカゾノとタイにおける正規販売代理店契約を締結。薬局で用いる全自動錠剤分包機の販売に向け、準備中です。

これらの取り組みを拡大し、タイ国内でビジネス基盤を形成。将来的にはASEAN各国への展開も視野に入れながら、事業拡大を図ります。

・ 海外医療機器を扱うスタートアップ企業としての連携について。今年5月にNozomi MedAllianceへの出資を実施しました。Nozomi 社は海外からの新規医療機器の承認取得の実績を保有するメンバー等により設立されたスタートアップ支援企業です。同社は米国のTHERANOVA社と連携。THERANOVA社は、米国等の海外医療機器の17のシーズの事業化と3億米ドル以上の民間資金調達実績があり、海外で開発された医療機器についての豊富な知見があります。当社は、Nozomi 社との戦略的パートナーシップを構築することで、日本の医療機器市場への参入を希望する海外企業への早い段階からのアクセスが可能になります。そして、国内企業の医療機器開発シーズのインキュベーションも推進し、当社グループの主力事業である医療器材事業の基盤強化に推進していきます。

・ 当社は医療機器販売商社として、医工連携にも参画。当社の社員が臨床現場で医師から医療機器開発ニーズを伺い、医療機器製造・販売業やものづくり企業、地域産業支援機関とも連携し、さまざまなコンサルティング機能を果たしています。公的資金も活用しながら、新規医療機器の開発に貢献。市場調査や開発ニーズ収集、ブラッシュアップ、販路開発支援などについては、地域産業支援機関等から有償で案件を受託しています。そして、医療機関への販路としても機能し、最適な医療の実現に貢献します。

医工連携の取り組みの一環として、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の研究事業として「Health Tech Hub中四国」に参画。私も特任フェローとして参加しており、広域的なインフラや地域資源を生かした、中四国地域の医療機器開発の連携ハブ拠点の運用を推進します。

・ 当社ではSDGsのうちの「3:すべての人に健康と福祉を」、「5:ジェンダー平等を実現しよう」、「8:働きがいも経済成長も」、「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」、「13:気候変動に具体的な対策を」、「17:パートナーシップで目標を達成しよう」の6つを目標としています。

・ 当社は社員憲章に掲げた考え方、「ステークホルダー(顧客、取引先、社員、地域社会、株主)の皆様に、誠実かつ継続的に価値を提供し、持続可能な経営を追求する」に基づき、ESGに関する基本的な考え方を定め、2022年11月に開示しました。環境(Environment)では、既にエネルギー使用量を集計・把握しており、環境負荷低減への取り組みを開始しています。社会(Society)では、「人材ならびに働き方の多様性を目指すとともに、社員が健康でいきいきと働き続けられるよう、働き方改革を推進」します。ガバナンス(Governance)では、「株主の負託に応え、社員、顧客、取引先、地域住民への責任を果たす」、「経営の透明性、効率性、健全性を確保」、「グループの持株会社として、グループの価値向上の実現を図る」という方針を策定しています。

 

9.質疑応答

Q1. 10月31日公表の配当の基本方針の変更について、もう少し詳しく教えてください。

A1. これまで「安定的な配当を維持継続する」ことを基本方針にしていました。実績としては、2023年6月期まで4期連続で増配。2023年6月期までの直近10年間でみると、7回増配しています。しかし「安定的な配当」という言葉が、配当の維持や減配を意味することもあります。増配のニュアンスが感じられません。そのため、やや消極的な表現ではないかと思われます。

そこでこのたび、株主還元の一層の充実を念頭に、安定配当を謳ったこれまでの基本方針から表現を変え、長期にわたり配当金額の増加または維持を目指すことをより明確にするために、「増配または維持を目指す」という基本方針に変更しました。この方針の元、株主の皆様にぜひ長期保有していただけるような銘柄にしていきたいと考えています。そして今後も、株主の皆様への利益還元の充実と当社の企業価値の向上を図りたいと考えています。

 

Q2. 最近、人的資本への投資要求が強まっていると思いますが、御社ではどのような対応をされていますか。

A2. 人的資本への投資は重要な課題だと認識しています。当社は2023年7月にグループ会社全社でベースアップを実施。定期昇給と合わせ、3〜4%程度の賃上げを実施しました。また、働き方改革にも取り組んでおり、フレックスタイム制や在宅勤務・テレワークを導入。副業制度も導入しています。

これらを通じて、働きやすい職場環境の整備と組織風土の改善に取り組んでいます。また、男性の育児休業取得も後押ししており、グループ各社の男性の育児休業の取得者数も増加傾向にあります。この取り組みを通じ、将来的に女性管理職数を増やしたいと考えています。また、当社の社員憲章には、「ダイバーシティを重視する」「多様な意見や価値観、働き方を認め合う」という項目があり、ダイバーシティも意識しています。

 

Q3. タイでの海外ビジネスについて、今後の戦略や成長性について教えてください。

A3.  1月26日にタイ王国でタイオルバヘルスケアという合弁会社を立ち上げ、当社はようやく海外進出を果たしました。タイ進出の理由は、タイがASEAN地域の経済的・地理的なハブ機能があることや、日本のような急速な高齢化が今後見込めること、タイ政府が医療産業育成に注力していることが挙げられます。実際にタイ政府は海外からタイへの投資を奨励しています。そしてタイで作られた医療機器は、ある程度の優遇政策もあります。

タイは一昔前の高度成長期の日本と似ており、現在、どんどん病院が建てられています。医療機器の分野で日本とタイの橋渡しをすることで、日本の技術やアイデアを用いて、タイ現地で困っているニーズの解決を図ります。そのための医療機器の生産やメンテナンス体制の構築は、タイの現地企業との連携で行うことも念頭に置いています。

事業展開スキームは、まずタイ国内で開発・生産する。領域としては、我々が得意な整形外科や循環器科を念頭に置いており、総販売元としての活動も目指します。

最初の取り組み事例として、株式会社タカゾノが生産する薬局で使われる全自動錠剤分包機の販売に向け、現在準備を進めています。タカゾノとはタイでの正規販売代理店契約を締結しています。

今後は、がんの放射線治療で副作用を減らすために使われる超小型陽子線がん治療装置の導入も進めていきたいと考えており、現在交渉中です。

これらの取り組みを拡大し、タイ国内でのビジネス基盤を形成。将来的には近隣のASEAN各国の展開も視野に入れ、事業拡大を図りたいと考えています。

 

Q4. 重視している経営指標はありますか。

A4. まず売上高、そして営業利益を重要な経営指標として考えています。最近では資本収益性のROEが重要視されていることは充分理解しています。当社のROEはおおむね12%前後の比較的高いレベルで推移。一般的にROEの目標とされる8%を上回っています。株主資本コストの6%も上回っています。ROEは利益を純資産額で割ったものですが、当社は分母の純資産額がそれほど多いわけではないため、ROEの分子である利益を向上させていくこと、すなわち収益性を改善することがROEの向上と企業価値の向上に繋がると考えています。

中期経営計画に基づき、DXに投資し、本業の評価や生産性の向上に取り組み、新規事業にも投資し、営業利益の向上を目指します、そして投資家の皆様のご期待に沿うよう、企業価値の向上に努めてまいります。

最近は東証からPBRが1倍を割っている会社には取り組み要請が図られています。それに対し、当社のPBRはおおむね1倍を超える状態が続いています。PBRはROE×PERで、PER(株価収益率)はこれからの成長に対する期待です。適切な株価の形成のためにも、本日のようなIR活動を通じて、投資家の皆様に当社の成長戦略を理解していただくことを続けていきたいと考えています。

以上

 

 

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