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テクマトリックス株式会社(3762)

開催日:2023年11月26日(日)

説明者:代表取締役社長  由利 孝 氏

 

1.会社概要

  • 社名のテクマトリックスは、テクノロジーとマトリックスを組み合わせた造語です。ITテクノロジーは、基盤のインフラストラクチャーとミドルウエア、アプリケーションが積み上がったもので、これを横軸とします。一方で、ビジネスを展開しているさまざまな事業領域を垂直市場と捉え、これを縦軸とします。縦軸と横軸が重なったところを一般的にマトリックスと呼びます。当社はそこでビジネスをしていこうという思いから、この社名にしました。
  • 会社設立は1984年、連結従業員数は約1,500名、国内とタイなどに拠点があります。
  • 当社は、総合商社のニチメン株式会社(現・双日株式会社)の営業部門から独立して設立した子会社で、「ニチメンデータシステム株式会社」としてスタートしました。当初は北米を中心とした最先端のITやデジタル技術を日本に紹介するという商社的な事業から始まり、現在もそれは中核事業となっています。1990年代からは、独自の技術で、コールセンター向けCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)や医療画像などソフトウエアパッケージの開発を始めました。現在ではクラウドで提供しています。
  • 2000年にニチメンからITX株式会社に資本移動しています。ITXは日商岩井の情報産業本部が独立した会社ですので、本体に先駆けて、ニチメンと日商岩井のIT分野企業がITXの傘下で合流したことになります。この時点でニチメンとの直接的な資本関係がなくなったため、現在の社名に変更しました。
  • 2001年に楽天株式会社から第三者割当増資を受け、当時で約15億円、約37%の資本参加を得て、資本業務提携を結びました。2005年にジャスダック証券取引所に上場、2010年に東京証券取引所市場第二部に上場、2013年に東京証券取引所市場第一部に指定替え、現在プライム市場に上場しています。2015年には楽天が保有していた株式を全て買い取り、現在は独立的な資本の会社となっています。
  • 2022年に医療システム事業を独立させ、競合のPSP株式会社を吸収合併し、新しくPSP株式会社をスタートしました。
  • 当社は「より良い未来を創造するITのプロフェッショナル集団」として、IT技術を活用し、社会的インパクトの高い領域に事業を展開するというミッションを掲げています。顧客や社会に貢献すること、常に学びながら新しい技術やビジネスへ挑戦し続けること、社員と会社が一丸となり常に成長を目指すことを行動指針としています。
  • 当社の事業は、情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業、医療システム事業の3つのセグメントで展開しています。医療システム事業はアプリケーション・サービス事業から独立する形で、現在は1つのセグメントとなっています。
  • 8社の連結子会社と、エムスリーAI株式会社という持分法適用会社の合弁会社があります。各セグメントではこれらの子会社も参画し、連結全体で事業を推進しています。

 

2.業績推移と計画

  • 2023年3月期は、売上収益が459億5,000万円、営業利益が50億9,800万円と前年比で増収増益となっています。増益率が25.8%、営業利益の成長が36.5%と、高い成長を実現できました。手元のキャッシュが約200億円と、健全な財務体質となっています。
  • 2023年3月期のセグメント別業績では、情報基盤事業が最も大きく、売上収益が293億円、営業利益が31億2,500万円、アプリケーション・サービス事業は売上収益が73億円、営業利益は約2,000万円の赤字となりました。現在、アプリケーション・サービス事業では、EdTechといわれている教育分野のDX化を推進する事業を立ち上げました。この事業への投資が影響して損益がマイナスになりましたが、戦略に沿って積極的に新事業を進めています。医療システム事業は、会社を買収・合併させた影響で、前年度と比較して規模が倍以上になっています。売上収益が93億4,400万円、営業利益が19億9,300万円と、利益貢献も大きくなっています。
  • 当社が経営を進めていく上で重視しているKPIに「ストック比率」があります。ストック比率は、サブスクリプションや保守契約、監視サービスの契約など、更新型の事業の比率です。継続的に契約が更新されていく事業を、安定性指標と成長していく上での重要な指標と見ています。各セグメントのストック比率は、情報基盤事業では77.4%、アプリケーション・サービス事業では62.4%、医療システム事業では49.1%です。約80%を目安に、継続的にストック比率を高めていきたいと考えています。
  • 医療システム事業は、Pacsと呼ばれる医用画像システムをクラウドで提供する事業とオンプレミスで提供する事業が約半分ずつとなっています。吸収した旧PSPの事業がオンプレミス事業で、その半分に当たります。今後、この事業もクラウド化を進めて、ストック比率を高めるとともに、クラウドに蓄積されたデータを活用したデータ事業の拡大を進めていきます。
  • 21期連続増収で、今期は過去最高の業績を更新しました。行動指針にもあるように、成長に強いコミットを持って事業を進めています。
  • 現在進行中の2024年3月期第2四半期までの連結業績は、売上収益が246億200万円、前期比で18.6%増、営業利益が22億8,100万円、前期比で19.1%増となっています。今期も着実に成長を実現できる状況にあります。
  • 現在、3カ年の中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」を実施中で、今期が最終年度になります。来年4月から新中計に取り組む予定です。本中計の最終目標である売上収益460億円に対して、2年目で459億5,000万円を達成しました。前倒しの成長が実現しています。営業利益も51億円の最終目標に対し、2年目で50億9,800万円と、こちらも1年前倒しで達成しています。今期は、さらなる目標として売上収益495億円、営業利益53億円を掲げて、現在進行中です。中間決算まで順調に進んでいるため、この目標も達成、超過できるように取り組んでいきたいと考えています。

 

3.当社グループの事業領域

  • 情報基盤事業では、日本の省庁や企業をサイバー攻撃から守るため、全業種対応のセキュリティー技術を提供しています。他にもコンタクトセンター向けのCRMや、金融機関、研究機関、医療機関、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)、教育機関、製造業に向けたサービスもあります。このようにB to B事業を展開しているため、一般消費者の皆さんからは見えにくいかもしれませんが、社会の極めて重要な課題に取り組んでいます。
  • 持続可能な社会の創造に向けて、基盤に当たるITプラットフォームではサイバーセキュリティーソリューション、官民のDXを支援するクラウド型業務アプリケーションなどを提供しています。
  • 当社が培ってきた強みは3つあります。1つ目は「先見性・目利き力」です。新しい社会ニーズに着目し、新しいテクノロジーをいち早く取り入れて展開していることが、他社との差別化要因になっていると考えます。2つ目は「専門性・技術力」です。IT技術は高い専門性を要求されますが、社会のあらゆる局面でデジタルやIT技術が使われるようになると、技術力はもちろん重要ですが、それに加えて事業領域の知見や専門性を持っていることも大切になります。これが重要な差別化要因となります。この業務の専門性の知見が当社の強みです。3つ目は「社会性・課題解決力」です。社会的な課題、社会的なインパクトの大きい領域に注目し、社会のより良い未来のためにデジタル技術を使います。その着眼点と、それを解決する能力が、当社の強みです。
  • 各事業について詳細に説明します。まずは、情報基盤事業です。
  • 情報セキュリティー対策やサイバーセキュリティー対策を事業の強みとしています。現在、標的型攻撃やフィッシング、ランサムウエアなどのサイバー攻撃が広がっています。これらから企業や政府を守るため、当社の技術を提供しています。アメリカを中心とした世界のトップクラスの技術を持った企業と直接契約して、ディストリビューターという立ち位置で、国内で事業展開をしています。当社が直接エンドユーザーに販売することもありますが、多くはシステムインテグレーターといわれるIT企業を通して販売しています。
  • さまざまな企業と取引を行っていますが、その中でもPalo Alto Networks(パロアルトネットワークス)の割合が大きくなっています。米国でセキュリティーを専業とする最大規模の企業で、急成長を続けています。他にもメールセキュリティーを扱うProofpoint(プルーフポイント)など、各領域で競争力のある技術を日本で展開しています。
  • これらのテクノロジーの提供に加えて、運用監視を引き受けるサービスも提供しています。TPS(TechMatrix Premium Support)は、当社が独自に提供するセキュリティーの統合監視サービスで、さまざまなテクノロジーから検出されるアラート等の情報を相関分析して、侵害や被害を監視します。
  • 昨今注目を集めているのがSASE(Secure Access Service Edg:サッシー)といわれるクラウド型のセキュリティー対策です。ネットワークアクセスとセキュリティー機能をクラウド上に展開し、仮想的にサイバーセキュリティーの防御壁を持つという技術です。成長度合いの大きい領域です。
  • 次にアプリケーション・サービス事業の説明をします。
  • インターネットを通してサービスを活用いただくクラウド型サービスを展開しています。当社が運用するデータセンターにあるクラウド上のサービスを、端末を用意するだけで利用企業は使うことができます。以前は、コンピューター資源は自分でハードウエアやソフトウエアを用意して使っていましたが、今はクラウドを通してインターネット経由でサービスとして使います。「所有」から「利用」へという大きな流れが生まれています。
  • CRM分野では、コールセンターでより的確な回答をし、履歴管理するシステムをクラウドサービスで提供しています。国内だけでなく、タイに拠点を置き、ASEANで事業を拡大しています。周辺領域のテクノロジーを持った現地企業のWisesight社やChocoCard社と資本・業務提携を行いました。当社のCRMシステムは、金融機関や自動車メーカーなどさまざまな業種で使われています。
  • ソフトウエア品質保証分野でもサービスを提供しています。現在、車や家電などの身近にある機器は、コンピューターチップが実装され、ソフトウエアで制御されています。そのため、ソフトウエアの不具合や脆弱(ぜいじゃく)性があると、大きな損害や危険につながります。医療機器や自動車の分野では、ソフトウエア品質を担保するための国際規格が整備され、その規格にのっとったテストを実施しなければ、市場に製品を提供できません。そこで、当社はソフトウエアの品質を高めるためのサービスを提供しています。
  • ビジネスソリューション分野では、金融機関向けに、金融機関が保有するさまざまな金融商品のポートフォリオのリスク管理を行うシステムを提供しています。
  • 新しく取り組んでいるのがEdTech(教育)分野です。現在、学校のデジタル化が急速に進んでいます。授業がデジタル化されたり、成績や出欠、健康状態などさまざまな情報をデジタルで管理したりするようになっています。これらの機能を提供するクラウド型サービスを「ツムギノ」というブランド名で展開しています。
  • 次に医療システム事業の説明をします。
  • 従来は1事業部で展開していましたが、2022年2月にPSP株式会社を買収し、医療システム事業を独立させた株式会社NOBORIと合併して、2022年4月から新生PSPがスタートしました。当社の連結子会社で、株式の50%以上を保有していますが、三井物産株式会社やエムスリー株式会社、大日本印刷株式会社からも支援を受けています。
  • 本事業の中核事業はPACS(Picture Archiving and Communication System:パックス)といわれている医療画像システムです。マーケットでは現在、富士フイルムメディカル株式会社に次いで2位のシェアを持っています。国内で約2,400施設に導入いただいています。このうちクラウド型のみに絞ると、約8割のシェアとなり、クラウドPACS市場では圧倒的なトップランナーです。
  • 「NOBORI」の画像システムは、NOBORI CUBEという小さなアプライアンス機器を施設に配置し、データは全てデータセンターで4重に管理されています。データの匿名化もされており、極めて安全な環境でデータを預かっています。
  • NOBORIが保有するデータ量は、今年3月末で2億8,000万件検査数を超え、現在では約3億検査数にまで増加しています。患者数にすると約4,400万人となり、日本国民3分の1ほどになります。
  • 直近、力を入れているのがPHRサービスです。医療機関が保有しているカルテの情報や、医用画像、処方箋、検査結果の情報等、さまざまな医療データを患者さんが自分のスマートフォンで見ることができます。患者さん本人だけでなく、家族も閲覧可能です。
  • エムスリー株式会社と業務提携し、AIを活用した医用画像診断を支援するサービスを提供しています。
  • 子会社である合同会社医知悟も医用画像を扱います。各施設に画像の専門医がいるわけではありません。他の病院や他の先生が遠隔地で診断する、画像診断支援プラットフォームを提供しています。月間約28万件の検査で本サービスを通して診断が行われています。シェアはNo.1で、国内の専門医2,000名以上が登録利用しています。
  • 法改正により医療被ばくの線量記録および線量管理が義務化されています。株式会社A-Lineでは、医療被ばく線量を管理するシステム「MINCADI」を提供しています。

 

4.人事戦略、SDGs・環境への取り組み

  • 競争力の源泉は人材です。現在、女性の採用比率も増加しており、直近は33.3%となっています。女性労働者比率は25.3%で、近い将来30%まで高めることができるのではないかと思います。
  • 人材を育成するためのさまざまな教育制度や、従業員がよりフレキシブルに働くことが可能になる勤務制度等の導入により、従業員のエンゲージメントを高めています。
  • 当社の事業は、SDGsのうちいくつかの領域で貢献できると考えています。
  • 昨年度、TCFD提言に基づく情報開示をしました。カーボンニュートラル達成に向けて、CO2排出量削減の努力を続けています。

 

5.株主還元、株主優待

  • 当社は増配を続けています。2023年3月期の配当は年間23円でした。2024年3月期は年間25円とする予定です。
  • 当社の株価と日経平均株価の推移を比較すると、常に日経平均株価よりも高いパフォーマンスで推移しています。
  • 当社はB to B事業の企業であり直接的に株主様に提供できる製品はありません。株主優待は、保有株数に応じて商品を選んでいただく形で実施しています。

 

6.質疑応答

Q1. IT技術者を確保することが今後の成長に向けて非常に重要だと思いますが、人材育成のための御社の取り組みを聞かせてください。

A1. IT・デジタル分野での人材獲得競争は厳しい状況があります。しかし、当社は事業の拡大に伴い年々社員の数を増やしてきています。退社する社員もいますが、それ以上に採用しています。人材が獲得できる理由の1つは、当社の事業の魅力だと考えています。良い待遇を提供しても、やっている仕事が世の中に役に立っていると実感できなければ、社員もモチベーションを高く保つことはできないと思います。当社が社会性を重視して事業を展開しているのは、そのためでもあります。 一方で、採用した人材を育てて、エンゲージメントを高めて、リテンションするために、さまざまな工夫が必要になります。人材育成について、技術研修は当然重要ですが、マネジメントやリーダーシップなどのヒューマンスキルの研修・育成システムも重要と考え、用意しています。現在リモートワークもフル活用しています。社員交流としてフェース・トゥ・フェースの直接対面も重要ですが、コロナ禍を機に働き方の柔軟さを高め、出社率は3割ほどで、7割が自宅からリモートで作業をしています。しかし、生産性は落ちていません。 女性活躍もこれから非常に重要なテーマです。特に子供がいる社員にとっては、通勤時間もストレスになりますし、自宅から近所の保育園に迎えに行けることもあり、柔軟な働き方は好評です。 このように人材に関わるさまざまな投資を通して、経営のレベル感を高めています。

 

Q2. 北米の先進的なソフトウエアの販売となると、為替の影響が気になりますが、現在の円安は影響ありますか。

A2. 円安になると仕入れ価格が上がるため、採算への影響は無視できない問題です。昨年の前半、急激に円安に動いた際は、顧客への価格転嫁が難しく、採算が取れなかったのですが、昨年の中盤以降は価格転嫁を行い、メーカーにも仕入れ価格の交渉をし、マージン率、粗利益率を意識したオペレーションを強化しました。その結果、採算性が改善し、営業利益の増加にもつながりました。価格転嫁は簡単なことではありませんが、当社は競争力のある製品を扱っているため、値上げをしても顧客に受け入れられています。 答えをまとめると、為替の影響はありますが、採算を維持する努力を続けており、一定程度マネージできている状況です。「円安イコール業績悪化」という単純な図式ではなく、経営努力によって円安でも利益率が確保できるようになっています。

 

Q3. PSP株式会社には三井物産、エムスリー、大日本印刷が出資しています。これら企業との連携はどのようなことが期待できますか。三井物産の海外病院事業で御社の医療システムが使われるなど、御社事業への貢献も考えられますか。

A3. 三井物産は海外で病院を買収するなどし、医療分野に力を入れているため、彼らにとってPSPは医療分野×IT、医療分野×デジタルの、戦略的な出資先だと思います。当社は彼らのグローバルネットワークを通じて、医療機関と関係ができることを期待しています。コロナ禍で海外展開は限定的でしたが、今後は積極的に進めていきたいと考えています。現在、PSPはタイに子会社を持っています。タイ国内での事業を、他の地域へも広げたいと思っています。 エムスリーとは、エムスリーAIという医療画像のAI診断事業を行う合弁会社をつくっています。 大日本印刷は、印刷からデジタル領域への事業を幅広く進めています。その中でもヘルスケアや医療は彼らが注目する分野であり、協業しながら、新しい事業を模索しているところです。 このように株主のリソースをフル活用して、PSPの事業を展開していきたいと考えています。

 

Q4. セキュリティー関係の企業は他にもあると思うのですが、御社が選ばれる理由は何でしょうか。

A4. 当社の強みとして「先見性・目利き力」があります。現在、北米を中心にセキュリティー関連のスタートアップがおよそ2,000社あるといわれています。その中でも技術力のある会社は、IPOしてパロアルトネットワークスのように大きくなる企業もありますし、買収されて大手企業に取り込まれることもあります。当社の取引先は、スタートアップを買収しながら新しい技術を取り入れて、製品のラインナップを増やしています。当社が力のある、成長性のある、技術力のある会社を見つけて取引をすることと、その企業が新しい技術をどんどん取り込んでいく相乗効果で、提供する技術は市場で高い競争力を持つことができます。これが選ばれる理由の1点目です。 サイバー攻撃から企業を守るために、さまざまな技術を導入することも重要ですが、100%防御することは困難です。そのため、侵害を受けた際に、迅速に対応して、被害を食い止める対策が必要になります。当社にはセキュリティーの専門家であるセキュリティーアナリストがいます。専門家集団を監視センターに集約して、顧客企業のセキュリティーを監視しています。製品の競争力に加え、それを運用できる技術力・専門性が選ばれる理由の2点目です。

 

Q5. 人材の流出対策、情報漏えい対策の取り組みを教えてください。

A5. 人材流動性のある業界ですので、社員が辞めて他の企業に移ることは一定程度起こりますが、企業にリテンションするために、先ほど説明した人材投資施策を行っています。 情報流出のリスクについては、人材が辞めることのみがリスクではなく、就業期間中にもリスクがあります。これは当社だけではなく、どの企業も同様だと思います。最も大きなリスクは、競争の源泉となるソフトウエアの著作権に関わるソースコードなどが社外に持ち出されることです。当社は情報セキュリティーの専門家として、顧客に提供している技術を、社内でも積極的に活用しています。特に社内から社外に流れる情報は常に監視をし、危険度が高い、通常とは異なる操作があった場合には、ただちに検出し、本人に確認します。サイバーセキュリティーの技術は、提供すると同時に、社内でも活用し、情報漏えいのリスクを管理します。その経験がまた顧客に還元できると考えています。

 

Q6. CRMのアジアでの展開は今後どのように進みそうですか。

A6. 現在のビジネス規模は極めて小さく、立ち上げ時期です。日本と同様に、現地での採用も競争が激しく、特にIT分野の人材確保は簡単ではありません。しかし、少しずつですが、人員を増やしつつ展開しています。 取り組んできたことの1つは、現地に進出している日本企業に当社のサービスを提供することです。ファーストステップとして取り組み、日系企業での採用が広がっています。しかし、ここから先に事業を拡大しようとした時には、どれだけ地場企業に採用されるかが勝負の分かれ道になると思います。そこで、当社は2021年にWisesight社、2022年にChocoCard社に出資しました。この2社は、CRMの隣接領域で事業を行っているスタートアップです。 若い企業で上場はまだですが、急成長を遂げており、近い将来、タイ市場でIPOをする企業に成長すると考えています。彼らと当社のテクノロジーを連携して、2社を通して当社ソリューションを販売してもらっています。これが軌道に乗ってくると、現地企業にも広がるだろうと思います。タイのみならず、インドネシアやフィリピンなどでも既に実績があります。今後もタイを中心にしながら、周辺諸国に展開していきたいと考えています。次の中計が来年4月から始まりますが、海外事業の拡大は大きなテーマになるだろうと考えています。

 

以上

 

 

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