参天製薬株式会社(4536)
開催日:2017年12月5日(火)
場 所:名古屋国際ホテル 名古屋市中区
説明者:コーポレート・コミュニケーショングループ
    IRチーム マネージャー 櫻井 基雄 氏

 

1. 会社概要と事業内容
・ 「天機に参与する」を基本理念としています。人間は天や自然から与えられたものを使って生活したり、あるいは事業を展開したりしています。当社は、天や自然の意図をきちんと理解して、それを最大限に活用することで世の中に貢献していくように努力しています。「天機に参与する」は、社名の「参天」の由来でもあります。
・ 企業が事業展開していく上で、お金や人などの経営資源は無限ではありません。限られた状況で当社の力を最大限に発揮して世の中に貢献できる道を、当社は長い歴史の中で考え続けてきました。その中で当社は目という特定の分野に持てる力を集中させるのが一番いいという結論に至り、現在では世界でも珍しい目に特化した企業としての道を歩んでいます。
・ 1890年(明治23年)に大阪の道修町で創業して、本年(2017年)で127年になります。1899年に大学目薬を発売しました。大学目薬は時代に合わせて中身の処方を変えていますが、日本で販売されている一番古い目薬です。1899年以降は目薬以外の薬も作っていましたが、1960年代に医療用点眼薬、つまり病院で使われる目薬の製造販売を始めたことを契機に、その後は目の病気に特化した事業を展開してきました。
・ 1990年代以降は海外への進出も始め、現在は中国、韓国、ASEANなどのアジア地域、ドイツ、イタリア、フランス、ロシア、北欧などのヨーロッパ地域にも事業を展開しています。当社の製品は世界60カ国以上で販売されています。近い将来にはアメリカの市場に参入すべく、2017年度より準備を始めています。
・ 当社は製薬企業の中でもスペシャリティファーマに分類されます。製薬企業は医療用の薬を中心に扱う会社と、一般用の薬を中心に扱う会社(OTCファーマ)に分けることができます。医療用の薬を中心とする企業の中で、全身の病気に関する薬を総合的に開発しているのがメガファーマです。当社のように特定の分野に特化して薬を開発しているのがスペシャリティファーマです。そのほか、他社で特許が切れた製品の製造・販売を中心に事業を展開しているジェネリックファーマがあります。
・ 参天製薬という社名で一番にイメージされるのが、サンテシリーズだと思います。サンテシリーズは、サンテFX、サンテ40、アンチエイジングに着目したサンテボーティエ、ブルーライトなどによる光ダメージに対応するサンテPC、眼疲労に有効な成分を最大濃度配合したサンテメディカル12など、目のさまざまな症状に効果のある製品を取りそろえています。一般用眼科薬、つまり薬局やドラッグストアで販売されている目薬の市場ではシェア第2位です。
・ 一般にはサンテシリーズの知名度が高いのですが、実は当社は病院で処方される目薬、医療用医薬品を主力事業としています。当社グループの売上高の90%以上を医療用眼科薬が占めています。サンテシリーズなどの一般用医薬品は6%に過ぎません。日本の医療用眼科薬市場で、当社はシェア1位を長らく独占しています。病院で処方される目薬の約半分は当社製品です。
・ 国内医療用眼科薬として当社が展開している製品は、40種類100製品以上あります。眼科薬における主要な疾患領域である、緑内障、角膜(ドライアイ)、網膜、抗菌、アレルギー、白内障をカバーすると同時に、眼科医が使う検査用の薬や麻酔などに使う目薬も手掛けています。国内医療用眼科薬市場における当社のシェアは45.5%です。目の主な疾患領域全てでナンバーワンの地位を占めています。花粉症では2015年度まで2位でしたが、2016年度は1位になっています。
・ 当社の海外売上比率は2017年3月末で27%、2017年9月末で29.6%です。2013年度末には16%でしたから、海外でも大きく成長していることが分かります。製品は世界60カ国以上の地域に向けて、日本(能登、滋賀)、中国(蘇州)、フィンランド(タンペレ)の工場で製造しています。石川県能登半島の工場は世界最大の目薬工場です。
・ 総従業員数は約3,700人です。日本と海外の比率は、国内約1,900名、海外約1,800名で半々です。

 

2. 眼科領域に特化することで獲得してきた強み
・ 当社は目の病気に特化して、目の病気で苦しんでいる患者とその生活の向上を目指して努力してきました。その中で生まれた当社の強みは4つあります。
・ 強みの1つ目は、各疾患領域における豊富な製品のラインナップです。当社製品の中で一番大きな売上高を持つアイリーアの年間売上高は約460億円です。アイリーアは加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫等に効果があります。アイリーアとアレルギーのアレジオンは日本国内のみの販売となっていますが、緑内障のタプロス、コソプト、ドライアイのヒアレイン、ジクアス、抗菌のクラビットはアジアやヨーロッパでも展開しています。主要な疾患領域においてそれぞれに大きな売上高を持つ製品を持ち、世界中で医療現場のニーズに応えています。
・ 強みの2つ目は、専門性と組織力を生かしたトップクラスの販売力です。日本国内で当社の営業部隊がお会いしたことのない眼科医はいません。日本全国の眼科医をカバーして営業活動を進めています。眼科医や患者の生の声をお聞きして、病気の早期発見につながる情報の提供や、より効果的な治療法の提案を行っています。また、一般の方々に病気を知っていただく疾患啓発活動を眼科医とともに行っています。このような活動を通じて眼科医と患者からの顧客満足度を向上させています。日本国内製薬企業の中でMR1人当たりの販売高は当社が1位です。
  アジアには医療水準が低い国がまだあります。そのような国では、眼科医の育成や研究活動支援にも力を入れています。日本以外の国においても眼科医との信頼関係を築きつつあり、製品を提供することだけでなく、治療そのものの改善にも貢献しています。
・ 強みの3つ目は開発力です。目薬はほかの錠剤と違い、薬の成分だけでなく、きれいな水を確保して、そのきれいな水に成分を安定的に溶かし込んで、それをボトルに詰めるという複雑な工程から成っています。当社は、それぞれの水、溶かす技術、ボトルなどに関して長年にわたる研究開発を続け、点眼薬そのものの発展や向上に貢献してきました。少しでも使いやすいボトルを目指してモデルチェンジを繰り返した結果、現在のディンプルボトルに至りました。ディンプルボトルは、あまり力を入れずに目薬を差すことができますし、転がりにくく、キャップの色もはっきりしているので間違えにくいという特徴を持っています。
  緑内障などの領域では複数の目薬を同時に差していただく必要があります。当社は、複数の成分を溶かし込んで一つの目薬にすることで患者の利便性を高めることにも注力しています。
  目薬を目の表面にとどめて効き目を持続させる技術(ノバソーブ技術)の開発も進めています。
  目の負担を軽くするために防腐剤を使用しない目薬を開発して、一回使い切りタイプも展開しています。防腐剤を使わないことによって、コンタクトレンズをお使いの方がレンズを外さずに目薬を差すことができます。特にヨーロッパの眼科医は目薬に防腐剤を使わない活動を積極的に展開しています。そのようなリクエストにいち早く応えたのが当社です。ヨーロッパの防腐剤フリー点眼薬の分野では当社が大きな先駆けになりました。
・ 目薬は、薬の領域の中では小さな分野です。日本の医療用医薬品市場で目薬が占める割合は3.5%程度です。ほかの会社が参入しようとしても、技術を開発するために多くのお金がかかりますから採算が取れません。当社の持つ技術は、昔から目に特化してきた会社だからこそ手に入れることができたものです。
・ 強みの4つ目は、世界の研究機関や企業との連携です。目に関することなら当社と一緒に研究しよう、当社に任せようということで、世界中の研究機関や企業から声がかかる機会が増えています。目に特化してきたことで手に入れた強みを、さらに強化できるビジネスチャンスが着実に当社に集まる仕組みができつつあります。それによって当社の研究開発は効率的に進められており、1つの製品が生まれるまでの時間を他社に比べ短縮することができています。

 

3. 成長戦略
・ 目というのは、年齢が進むにつれて確実に弱ってくる器官です。社会の高齢化に伴い、目の病気で苦しんでおられる患者数は確実に増えています。何らかの目の病によって視力に異常が発生している方の人数は、世界中で約2億8,500万人、世界人口の約4%です。その内、完全に失明されている方が3,900万人もいます。
・ 世界の眼科薬市場は、2013年は約2兆円でしたが、2020年には3兆円になると予測されています。この拡大傾向は今後も続いていくものと考えられます。地域別には、西欧、アメリカ、日本などの医療の先進国での成長は比較的穏やかになりますが、アジア、ロシア、東欧などでは毎年10%程度の市場の拡大が見込まれます。疾患領域別では、2013年は感染症が大きなウエートを占めていましたが、2020年に向けて緑内障や網膜領域の疾患の割合が大きくなることが予測され、より高度な医療が求められます。
・ 当社は2020年度までの長期経営ビジョンとして、「世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニーの実現」を掲げています。眼科医や患者が望んでいることを今まで以上に深く考えてそれに応えていくこと、当社の強みをさらに伸ばすことで競争力を高めていくこと、そしてビジネスの基盤を海外に広げていくことを目指します。
・ 2020年度までの長期経営ビジョンの実現に向けて、現在(2017年度)は、真ん中の第2ステップに当たります。アジアやヨーロッパでの事業基盤の整備と強化によって海外事業から収益が十分に上がるようになりました。売上高における海外比率は2017年9月末で29.6%、目標の30%達成に近づいています。また、今期からアメリカ市場への参入準備も開始しています。ですから、2020年に向けた第2ステップは順調に進んでいるものと考えています。2020年には全売上高の40%が海外から上がるように努力します。
・ 当社グループの連結決算は、売上高、利益ともに2013年度から2017年度(予想)までの年平均で約10%成長となっています。同期間の眼科薬市場の拡大率は年平均約6%といわれていますので、それを上回る率で成長しています。
・ 2017年度の業績は、売上高は初の2,000万円超えの2,180億円を予想しています。営業利益は前期比10%増の440億円を目指しています。
・ 主力の国内医療用医薬品事業では、薬価改定などの影響を受けにくい新薬を継続して上市していきます。また、新しい治療法等を提案することで市場そのものを広げていく努力を続けます。一般用医薬品事業は、中国をはじめとするアジアからの海外旅行客のお土産として評判になったことから急成長を遂げています。インバウンド需要を引き続き確実に取り込んでいくとともに、国内の需要にも目を向け継続的な成長につなげます。
・ アジアでの事業は、中国、韓国、ベトナムが中心です。中国には当社がカバーできていない地域がまだ広く存在します。今後は現在の中国沿岸部から内陸部へ営業地域を拡大していきます。中国やアジアでは、日本で既に効果が確かめられた薬を投入することで、研究開発費をかけずに新しい事業を展開ことができるというメリットがあります。そこからの収益も期待できます。
・ EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)では、2014年にアメリカのメルク社から買収した緑内障製品や、当社が開発して、ヨーロッパ初のドライアイ治療薬となったアイケルビス(Ikervis)を販売しています。EMEAにおける当社の知名度は低いのですが、販売体制を強化して参天ブランドと製品の知名度を高める努力を続けた結果、順調に売上と利益を上げることができるようになりました。アイケルビスのさらなる浸透と、ロシア、東欧地域への進出を本格化することで成長を図ります。
・ 研究開発については、将来の成長を支えるために開発パイプライン(新薬候補)を一層強化しています。2014年度以降の開発品は全てグローバル展開を前提にしています。

 

4. 株主還元について
・ 株価は短期的に見ると上がり下がりがありますが、2013年からの4年間で見ると約2.5倍に値上がりしています。2013年1月4日の株価を100とした場合、2017年11月24日の株価が1,710円ですから指数は253になります。同期間の東証医薬品指数は197、東京株価指数(TOPICS)は200ですから、約2.0倍です。当社は2.5倍ですので、長期的には市場を上回るパフォーマンスを上げています。
・ 株主還元は、安定的かつ継続的配当を第一に考え、配当性向40%を基本方針としています。2017年度は通期26円の配当を予定しています。

 

5. 質疑応答
Q1. 貴社の国内医療用眼科薬市場におけるシェアは45%まで上昇していますが、今後どこまでシェアを上げられますか。
A1. シェアについては今よりも上げることを目指して努力を続けます。市場自体を大きくする努力を続け、その中で地位を守っていきたいと考えています。
  目の病には自覚症状が少ないため、相当悪くなってから病院に行く人が多いです。そうなってしまうと治りにくくなります。当社には眼科医とのネットワークがありますので、社会への啓発活動をしやすい立場にあります。啓発活動を通して新しい患者に早めに眼科を受診していただくことを促し、その結果として市場を大きくして、当社の製品を提供していきたいと考えています。

 

Q2. 研究開発についての基本方針と研究開発における御社の強みについて教えてください。
A2. 研究開発の基本方針は、失明する人をなくすことです。非常に難しい分野ではありますが、緑内障、網膜という世界でも失明率の高い病気にお役に立てるようなパイプラインをそろえています。
  研究開発における強みは、事業における強みと同じく、目については熟知していることです。当社が世界でただ一つ、目に特化した事業であることは、世界中のベンチャー企業や研究機関に知られています。ですから、ベンチャー企業や研究機関だけで事業を進められない事態になったとき、当社に声をかけていただき、一緒に研究を進めていくことできています。

 

Q3. アメリカへの進出は、M&A、海外メーカーとの合併、自社努力で単独進出などの方法がありますが、どのような形を検討していますか。
A3. 当社はアメリカでの知名度がありませんので、地道に小さな領域から攻めていきたいと考えています。まずは、ぶどう膜炎の領域の開発品から参入する予定です。アメリカのぶどう膜炎の患者は5万人しかいませんから、ほかの製薬会社が薬を開発していません。まずはそこを足がかりにして、アメリカ市場に参入していきたいと考えています。
  M&Aについては慎重に考えています。当社が今までに展開してきた事業や社風に合わなければ、買収しても相乗効果が生まれない可能性があるからです。それよりも製品を買収して当社で売る、あるいは提携という可能性が高いと思います。それぞれのパイプライン、製品にふさわしい方法をその都度検討して展開していきます。

 

Q4. 中国はいろいろ難しいところがあると聞きますが、営業拡大は順調に進みそうですか。
A4. 当社が中国に本格的に事業展開を始めて10年ぐらいたちます。その中で中国の政府機関とも良好な関係を築いてきました。中国に進出した企業の中では成功を収めた企業のうちの1つとお褒めいただいているところです。約2年前に現地の中国人をトップに据えてからは、事情に通じていることもあって営業がとても順調に進んでいます。また、中国の政府機関との合弁事業の準備も進めていますので、今までより多くの製品を中国全土に展開することができるようになると思っています。

 

Q5. 海外の有力製薬会社の商品を代理販売する計画はありますか。
A5. いい機会があればぜひ検討します。今一番大きな売上高を持つアイリーアは、海外の製品を日本で発売しているものです。アイリーアはバイエル薬品が世界で展開していますが、日本だけは眼科における当社の強みを評価していただき、当社が売ったらどうかと声かけていただいたものです。「目のことなら参天」と考えていただいている企業もたくさんありますので、今後も声がかかるかと思います。そのチャンスを逃さないようにしていきます。

 

Q6. 研究開発費の総予算に占める割合を教えてください。海外同業者と比べてどうですか。
A6. 研究開発費は売上高の12%程度を目安にしています。それを超えるとROEに悪影響が出ます。当社は目に特化していますから研究開発を統一的に進めることができます。製薬企業の平均的な研究開発費の約7割に抑えることができています。

 

Q7. 為替が業績に与える影響を教えてください。
A7. 今の事業構造である以上、どんなに為替が動いても年間1億円に満たない、2,000〜3,000万円の影響があるかないかというところです。今後アメリカ市場でのビジネスがうまく乗ってくると、もう少し影響を受けると思います。当面、為替の影響は受けないと考えています。

 

Q8. 1つの開発品が上市に至るまで、どのぐらいの期間がかかりますか。
A8. それぞれのパイプラインによって違いますが、平均で10年とお考えいただければと思います。

 

以上

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