株式会社ウチヤマホールディングス(6059)
開催日:2017年12月9日
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長 内山 文治 氏
 専務取締役   生嶋 伸一 氏

 

1. 会社概要(内山社長)
 私の好きな言葉に「高齢者一人には、図書館一つ分の知恵がある」というアフリカのことわざがあります。また、「高齢者を大事にしない国は滅びる」という格言もあります。
 第二次世界大戦に敗れ、焼け野原になった日本を支えてきたのが、高齢者の方々です。我々の人生の大先輩にあたる方々が安心して楽しく老後を暮らせる場所を提供するのが当社の役目だと考えています。
 マザー・テレサは「この世の最大の不幸は、貧しさや病ではありません。誰からも必要とされていない、と感じることです」「愛情の反対は憎しみではなく無関心」「私たちは、この世で大きなことはできません。小さなことを大きな愛をもって行うだけです」と言われています。どれも素晴らしい言葉です。
 当社の介護施設「さわやか倶楽部」では、入居者様が周りの人々から必要とされていることを感じていただくために、「生きがいづくり」に取り組んでいます。まだまだ成長の途中ですが、介護のあるべき姿を考えながら、入居者様に喜んでいただけるサービスを提供していきたいと思っており、「生きがいづくり」がとても大事だと考えています。
 当社の本社は福岡県北九州市にあります。創業家となる内山家は親子2代、米穀店を経営していました。1971年に不動産の販売・管理を目的として、内山ビル株式会社を設立したのが、当社の始まりです。その後の変遷を経て、現在は介護を中心とした会社になっています。2012年4月に大阪証券取引所ジャスダックに株式上場し、2014年9月に東京証券取引所第一部に指定替えになりました。現在、従業員数は、正社員が1,978名、パート・アルバイトは2,330名で合計4,308名です(2017年9月末現在)。事業内容としては、介護、カラオケ、不動産。別府に2ヵ所、温泉ホテルを持っています。
 当社グループの経営理念と哲学は、“慈愛の心”“尊厳を守る”“お客様第一主義”です。また、「幼青老の共生」をモットーにしています。幼年・青年・老年が共に楽しく過ごせる社会を作っていきたいと考えています。そのためには、日本一の接遇とオペレーションを目指しています。Give and Giveの精神をもってホスピタリティに基づいた素晴らしいサービスに取り組んでいます。
 当社グループはホスピタリティの実践に向け、5つの“り”を大切にしています。目配り、気配り、心配り、言葉配り、思いやり。これが介護や人生においても大事だと思います。
 こうした当社の考え方は、全社員が常時携帯する社員手帳「ウチヤマグループ 理念と哲学」を通じて共有されています。
 当社では、社会貢献活動にも力を入れています。地震や集中豪雨被災者の施設での受入の他、チャイルドスポンサーシップの提供やラオスでの小学校寄附など、世界の恵まれない子どもたちへの支援活動も積極的に行っています。2016年の熊本地震に際しては、被災された高齢者の方々38名を当社施設に無償で受け入れました。今年7月の九州北部豪雨や秋田豪雨でも、当社グループの介護施設で被災された方の無料受入を行い、9名の方に入居いただきました。ホームレスへの炊き出しもしています。年に一度は著名人による特別講演会も主催しています。今年は櫻井よしこ先生で、来場者が会場に入りきれないくらい人気がありました。過去には渡部昇一氏、金美齢氏、茂木健一郎氏などにお願いし、2012年には総理大臣に就任される直前に安倍晋三氏にも講師になっていただきました。
 ウチヤマグループは、持株会社である当社の下、連結子会社の株式会社さわやか倶楽部、株式会社ボナー、Bonheure(Thailand)Co.,Ltd、KANTEKIYA(THAILAND)CO.,LTD.の5社が連携し、介護事業、カラオケ事業、飲食事業、不動産事業、その他(ホテル)事業を展開しています。介護事業は老人ホームが主体。不動産は貸しビル業が主体。飲食では居酒屋を運営しています。
 事業別の売上高の推移では、順調に成長しており、2017年3月期の売上は253億1,800万円です。

 

2. 各事業の状況(内山社長)
 介護事業では、全国に施設ができつつあります。福岡の18ヵ所をはじめ、北海道の「さわやか室蘭館」と「さわやか東神楽館」、岡山の「愛の家せとうち館」は、行政からの誘致で開設しました。行政の推薦施設ということで、あっという間に満室になり、今も順番待ちの状態で超人気の施設です。
 今後の介護事業の展開は、@特定施設の積極展開、Aグループホームの展開、B障がい者のための放課後等デイサービスの展開、CM&Aの推進です。2019年3月期(2018年4月)以降もすでに4ヵ所の開設が予定されおり、入居も順調に進んでいます。
 開設事例として、2017年6月に「さわやかシーサイドくきのうみ」を北九州市若松区に開設しました。ウチヤマグループとして初めて事業所内に保育園を併設しました。働く女性から人気があり、運営も順調です。子どもたちも笑顔で元気よく遊んでいます。介護付有料老人ホームが80床、ショートステイ10床、保育園の定員は10名です。
 当社の利益率が高いのは、業界トップクラスの高オペレーション(運営)効率があるからです。看護・介護職員一人当たりの利用者数は2.5〜2.7人で、特定施設事業者平均の2.2人よりも高く、職員のレベルの高さを示しています。入居率も平均を上回っており、現在は94〜95%あります。その理由としては、働きやすい施設構造となっています。当社の施設は、職員がオペレーションしやすいよう、合理的な運営を考えて低層構造にしています。
 満足度の高いホスピタリティを実現するために施設職員の教育も重視し、年間500時間の研修・勉強会を行っており、優秀な人材による満足度の高いホスピタリティを実現しています。
 入居・退居がしやすいよう施設への入居一時金が不要です。
 このようなことから入居者様や家族の口コミによるさわやかブランドの浸透を実現しています。
 当社では、全施設で入居者様の「生きがいづくり」に力を入れています。そのために、入居者様・お客様が主役であることを徹底しています。社会や周りの人々から“必要とされている”ことを感じていただくために、入居者様が積極的に施設運営やイベントに参加するスタイルを追求。施設見学者のご案内は入居者自らが行い、自室も紹介するので、見学者は安心します。お誕生日会や笑顔コンテスト、盆栽教室などのイベントも活発に行われています。
 介護事業における新規事業として、2015年11月より障がい児通所支援事業放課後デイサービス「さわやか愛の家」を展開しています。日本の人口の約7.5%が障がいをもった子どもだそうです。こういった子どもたちの放課後や長期休暇中の居場所や療育の場です。ご家族に代わり一時的にケアを代替することで、家族の日々の疲れなどをリフレッシュしていただくレスパイトケアを実現し、大変喜ばれています。2017年12月9日現在、13ヵ所で開設しており、年間10ヵ所開設を目標としています。子どもたちや家族の笑顔が伝わり、やりがいを感じています。
 当社では、公共財団法人北九州産業学術推進機構および九州歯科大学、九州大学、九州工業大学と産学官で連携し、IT関係等の研究活動も行っています。
 カラオケ事業では、ドミナント化による地域一番店戦略を取っています。平成29年9月末現在カラオケ店舗数は94店舗です。東京にも新橋等に出店しています。シニア層向けには「さわやかゴールドメンバーカード」という割引サービスを実施しており、非常に好評です。
 飲食事業では、地域の特性・立地条件・顧客層に応じた様々なブランドを東京・福岡を中心に平成29年9月末現在21店舗を展開し、地元の方に喜ばれています。タイにも3ヵ所、居酒屋を出店しています。
 店舗では、「地産・地消・地役」を実現しています。その地域で採れたものは地域内で消費し、スタッフも地元の方を採用しています。そして地域のお役に立ち、地域活性化に貢献することで地域に根差した施設や店舗を目指しています。
 2017年5月には、サントリー酒類株式会社とのタイアップし、北九州市でハイボール専門店「ハイボールバー銀天街 1923」をオープンしました。ハイボールバーは新業態として東京にも展開していきたいと考えています。皆様にも喜んでいただける洒落た店です。

 

3. 2018年3月期の業績予想と株主還元策(内山社長)
 2018年3月期の連結業績予想は、売上高268億1,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益7億200万円、営業利益は11億2,000万円で前期の7億7,700万円よりも大幅に伸びました。
 2018年3月期の配当金は、1株当たり中間5円、期末5円で、年間合計10円を予定しています。株主優待制度は、毎期末(3月31日)に400株以上所有の株主様に、お米券5kg分(1kg券5枚)を贈呈しています。
 当社の長期的なビジョンとして、連結売上高1,000億円、連結営業利益100億円規模を目指しています。今後とも株主の皆様の温かいご支援をお願い申し上げます。

 

4. 介護事業の産学官連携「ITやロボット技術活用に向けて」(生嶋専務)
 産学官の連携として、「産」は当社です。「学」は地元の大学。九州工業大学、九州大学、九州歯科大学です。「官」は地元の北九州市です。三者が連携し、介護におけるより質の高いサービスを提供したいと考えています。
 まず、九州工業大学とのIoTによる介護従事者の行動認識実証実験について紹介します。IoTは、Internet of Thingsの略称で、インターネットにさまざまなモノが接続され、相互に通信し合う仕組みを指します。たとえばエアコンとインターネットをつなぐと、外出先から帰宅前にスマートフォンを使ってエアコンを入れておける。また、バスとインターネットにつながることで、バス停で待つ人が何分後にバスが来るかを知ることができます。
 当社の介護事業におけるIoT技術の活用として、介護職員がどんな業務をしているかを分析しました。まずスマートフォンで介護職員か自分が行った業務をワンタッチで入力します。また職員は胸に名札ほどの大きさのセンサーを装着し、業務中の加速度等のデータを取得します。さらに居室や共有部分にもセンサーを設置し、温度や照度、ベッド上の入居者様の情報を収集します。収集した情報はインターネットを通じて送信し、分析します。
 2017年1月12日から3月31日まで、当社の施設である北九州市若松区のさわやか海響館で実証実験を行いました。建物全体を使ったこのような実証実験は、介護施設としてはおそらく日本初だと思われます。この実証実験では、ご同意をいただいた入居者様の居室や、共有部分である事務室や健康管理室、食堂等にセンサーを設置しました。
 その結果、想定していたものではなく、意外な結果が現れました。当初、職員の業務は、食事や入浴、排泄等、介護に関するものが一番多くを占めると考えていました。しかし作業時間の割合を見ると、記録業務が12%で最も多いという結果が出ました。20名の職員が記録業務を半分の時間でできるようになれば、1日当たり9.6時間が捻出できます。その時間をもっと介護に充てられる、ということもわかりました。
 今回の実証実験では業務の効率化について、新たな視点が得られました。この視点はIT、IoT化による介護の効率化や介護の未来を垣間見せてくれるのではないかと考えています。
 介護人材は今後、ますます枯渇していくものと考えています。さまざまな情報と技術で、この問題に社会全体で取り組んでいかなければならないと、今回の実証実験を通じて実感しました。
 介護リーダーからは「事務作業を削減できれば、もっとお客様との時間を過ごせるのではないか」、介護職員からは「客観的なデータを見るまで、各フロアの作業量にこんなに違いがあるとは思わなかった。もっとフロア間で助け合えられれば、もっと効率のいい対応ができると思った」という声が寄せられています。
 業務効率に関しては、介護記録の音声入力、および入居者様の行動の把握につながる離床センサーの技術もあります。
 音声入力では、職員がタブレット端末に「36.8℃」と発することで、体温のデータであることをシステム的に認識し、介護記録として登録されます。「全量摂取」であれば、食事の記録として認識し、食事の記録として登録されます。
 離床センサーでは、入居者様が起床されると職員のスマートフォンに映像付きで通知されます。職員が居室にいなくても、映像確認で居室内の状況を知り、有効な対応ができます。また入居者様がベッドを離れると「離床通知」という画像がスマートフォンに映し出されます。寝起きでベッドを離れる時は、まだよく目が覚めていないので、リスクも高い時間帯です。職員もスマホを通じて、入居者様の様子に目を配ります。万が一、入居者様が転倒されると、これも「転倒通知」が職員のスマホに届きます。通知の他にも転倒前後の記録がサーバに保存されます。転倒した原因やケガの箇所を正確に把握することができます。入居者様のリスクマネジメントの実現につながります。

 

5. 介護事業の産学官連携「革新的イノベーションに向けて」(生嶋専務)
 九州大学とは、「ライフマップ」という、入居者様が本当に望んでいることを対話型で可視化する情報収集ツールを開発しています。人生設計の地図とも言うべきもので、入居者様と一緒に作っていきます。「今まで生きてきた人生はこうでした」「これからどんなことがやりたいのか」等々、入居者様が何を望んでいるのかを、この人生設計の地図を使って、一つひとつ具体的に書きながら、入居者様も介護側も、これからやりたいことを具体化させます。漠然としたものが形になる点で非常にいいツールだと考えています。
 これからもどんどんライフマップを活かして、入居者様が何を望まれているのか、何を生きがいとして施設の中で生活されたいのかを確認していきたいと思います。ライフマップは、2017年度グッドデザイン賞の最終選考の二次審査まで進んでいます。

 

6. 介護事業の産学官連携「口腔ケアのQOL向上に向けて」(生嶋専務)
 産学官連携に関する調印式では、公共財団北九州産業学術推進機構の國武前理事長、当社代表の内山、九州歯科大学の西原理事長が固い握手を交わしました。
 介護施設で口腔ケアが必要なのは、要介護者の死亡原因の第1位に肺炎、特に誤嚥性肺炎が上がるからです。日本人全体の死亡原因の第1位にがんが上がるのとは異なります。そこで当社でも肺炎や誤嚥性肺炎の予防に努めていく中で、九州歯科大学と連携することになりました。
 人間がモノを食べる時は、そのものを認識し、そして脳がこれから食べるということの指令を出します。それから口の中でしっかりと噛み砕いて、ノドから食道に送られます。脳が指令を出して、しっかり噛み砕くという段階までで誤嚥の8割が決まると言われています。したがって寝起きの直後、あまり脳が働いていないうちに食事をするのは危険です。しっかり噛み砕いていないのに飲み込むのも危険です。食べ物をしっかり認識して、しっかり噛むという段階で、口腔ケアの必要性が徐々にわかってきました。
 肺炎予防の必要な口腔ケアが介護の現場でしっかりとできているのか。九州歯科大学の歯科医師とともに当グループ施設のさわやか倶楽部5ヵ所を巡回したところ、入居者様の多くに磨き残しがありました。細菌の塊や食物残渣(食べ残り)が見つかり、適切な口腔環境が保たれていない状況でした。
 また、口腔ケアに関する知識不足と技術の未熟さが確認されました。その時点での当社の歯科衛生士は社内に4名、皆、勤務地は福岡県です。その一方で、全国のさわやか倶楽部に勤める介護職員は約2,300名です。口腔ケアの指導者が不足しており、改善方法を考えました。
 そこで当社は、教育プログラムを構築しています。社内資格ですが、口腔ケア認定士という資格を設け、これまで4回、認定試験を実施。311名が合格しています。2,300名の介護職員全員の合格をこれから目指していきます。合格した職員は「テキストや動画で勉強し、口腔ケアの知識を持つことで自信がついた」と語っています。また合格した職員の中には、受講者への講師を務める者もいます。
 こうした取り組みで日常の口腔ケアの質が高くなりました。当社に勤務する歯科衛生士から見ても、介護職で口腔内をここまで綺麗に保つ技術をもつのは、当社の介護職だけです。その結果、肺炎・誤嚥性肺炎での入院が年間18名から6名にまで激減した施設もあります。
 入居者様の一例では、健康な時は旅行や外食を楽しんでいましたが、心不全で入院。その際に誤嚥性肺炎も発症し、入退院を繰り返すようになり、食事も刻み食となりました。外食もままならなくなりましたが、介護職員か口腔ケアをしっかりと行い、食事の楽しみを取り戻したいと、この方に対応するようになりました。その結果、食事の際にむせることがなくなり、刻み食を卒業し、普通の食事が摂れるようになりました。現在は外食にも出かけられるようになりました。
 嬉しい想定外としては、職員が口腔ケア認定士の受験に向け、皆で勉強するようになると、入居者様も興味を持ってくださり、入居者様が自発的に歯磨きやうがいを励行するようになりました。
 3ヵ年計画で全職員の口腔ケア認定士取得を目指し、入居者様においては口腔内の健康を保ち、充実した楽しい人生を過ごしていただきたいと考えています。
 今後も産学官の連携をしっかり取りながら、より質の高い介護サービスを提供していきたいと考えています。

 

7. 質疑応答
Q1.「さわやか愛の家」を始められたきっかけをお聞かせださい。
A1.現在、日本の人口の約7.5%の子どもが障がい児です。子どもたちを助けたい、楽しい人生を過ごしてほしいという思いから始めました

 

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