株式会社カワニシホールディングス(2689)

開催日:2017年11月19日(日)

場 所:大阪新阪急ホテル 大阪市北区

説明者:代表取締役社長 前島 洋平 氏

 

1. 会社概要

・ 本社所在地は岡山県岡山市です。当社は1921(大正10)年に川西器械店として創業し、2017年で96年目を迎えます。2000年に東京証券取引所市場第2部に上場しました。従業員は1,200名弱です。創業以来今日まで地域医療の発展とともに成長してきました。

・ 連結売上高は概ね右肩上がりで推移しています。1980年頃と比較して30年間で約72倍になりました。2016年6月期は初めて売上高1,000億円を超えました。

・ グループ会社のうち、中核となる医療器材事業を担っているのは、中四国に展開する株式会社カワニシ、東北に展開するサンセイ医機株式会社、近畿に展開する日光医科器械株式会社の3社です。そのほかSPD(医材購買、物流管理)を担当する株式会社ホスネット・ジャパン、介護系ビジネスを担当する株式会社ライフケア、医療機器の輸出入販売を行う株式会社エクソーラメディカルがあります。当社は整形外科、循環器、手術関連、眼科から介護まで、多様な事業ポートフォリオを有しています。

・ 当社は、医療機器販売業界では国内4位です。業界全体に同業他社は1,000社程あるといわれているため、業界内のアライアンスによる拡大余地は大きいと考えています。

・ 社長の私は腎臓内科を専門とする医師で、岡山大学大学院で医学博士を取得後、ハーバード大学(Beth Israel Deaconess Medical Center)に3年間留学しました。2011年から3年間、岡山大学医学部(慢性腎臓病講座)で教授を務めました。祖父が川西器械店を創業、父(前島智征)は当社代表取締役会長です。2014年に現在の株式会社カワニシホールディングス取締役となり、2015年9月に代表取締役社長に就任しました。

 

2. 主要商品

・ 当社は医療機器・器材を扱う商社です。MRI、マルチスライスCT等の画像診断機器、超音波診断装置、診断用の画像解析用ソフト、内視鏡を取り扱っています。

・ 体内に留置する医療機器では、ペースメーカー、人工心臓弁、白内障治療用の眼内レンズ、整形外科で使用される人工股関節・膝関節を取り扱っています。人工心臓弁は足の付け根からカテーテルを使って体内に入れる機器が開発され、日本でも低侵襲治療が数年前から始まっています。冠動脈ステントは、狭心症・心筋梗塞の治療用です。心臓に血流を送る冠動脈の狭い部分・閉塞した部位にカテーテルを入れ、バルーンで拡げてステントという金属の筒状のものを入れて、閉塞を防ぎます。ステントも現在は薬剤溶出性ステントが9割方を占め、2016年秋にステント自体が数年後に溶けてなくなる生体吸収性ステントが出てきました。

・ 手術に使用する医療機器として、生体情報モニタ、手術用無影灯、点滴用の輸液ポンプ、超音波メス、麻酔器、手術台、内視鏡手術支援ロボットのダビンチ(da Vinci)等を扱っています。

・ 当社は高度医療をサポートして医療機関とメーカーの双方のニーズを満たす役割を果たしています。商品の提案や各種サポート、在庫確保、保守・緊急対応まで担っています。

・ 高度医療を担う医療機関は、新しい器材を次々に導入して確実な検査・治療・手術をしたいと考えています。適正な在庫、安定的に機器が稼動することも重要です。一方、医療機器メーカーは自社製品を販売して安定的に供給・稼動させようと考えています。しかし、医療器材は多品種でありながら使用量は少量であるため、医療機関が各メーカーとやり取りしていては手間がかかります。メーカーも個々の医療機関から直接注文を受ける方法は効率が悪く、手違い等のトラブルが発生しかねないという問題があります。

・ 当社が医療機関から求められるのは、高度な医療器材を用いた手術の準備などです。医療機関で手術日時の予定が立つと当社に連絡が入ります。当社は選択された手術方式、過去のデータから手術に最適な医療材料をリストアップしてメーカーに手配します。必要と考えられる器材は主治医に確認して手配をします。当社は独自のノウハウにより、最も適切な商品を提案して取り揃えます。病院に届けた際には最終的な医療器材・手術器材の点検を行い、安全に関する留意事項をその都度お知らせします。当社の顧客は医療機関ですが、営業社員は患者さんにとって最適な医療の実現に貢献するといった意識を常に持っています。

 

3. 事業概要・企業理念

・ 当社グループの2017年6月期の売上高を各地域別に示しますと、本社がある中国地方が最も高く、売上高439億円と堅調に推移しました。四国地方は売上高226億円(前期比105%)でした。市場規模の大きい近畿・関東での当社のシェアはまだ低い状況ですが、近畿は新規顧客の獲得が順調に伸長し、関東では大型設備備品の受注がありました。近畿・関東は今後も引続き注力していきます。北海道・東北地方は売上高226億円(前期比112%)となりました。

・ 2017年6月期の事業別売上高構成は、医療器材事業とSPD事業が全体の9割以上を占めています。SPD(Supply Processing and Distribution)とは病院の効率化支援サービスです。病院内の物品配送、適正在庫の管理を請け負う他、病院の医療器材の購買価格の妥当性の点検、手術を円滑に行うための手術室の業務効率化、診療報酬算定の請求漏れ防止の管理などを行っています。

・ 介護用品事業は当社グループの株式会社ライフケアが担当しています。自宅介護をサポートするための介護用ベッドや車椅子のレンタル・販売を主な事業とし、手すり・スロープの取り付けなど、住宅のバリアフリー化を進める住宅改修工事も行っています。また、ケアマネージャーによるケアプランの作成・支援も実施しています。

・ 介護保険上のサービスとしてレンタルする主な商品は、介護用電動ベッド、介助用車椅子、歩行器、4点支持杖、スライドボード、入浴リフトです。スライドボードは車椅子の利用時に段差を解消するためのスロープです。

・ 株式会社ライフケアが販売する福祉用品は、歩行補助器、伸縮杖、シャワーチェア、ポータブルトイレ、浴槽の踏み台や介護用はしです。他に介護保険対象外の用具も約3万点あり、その数は年々増えています。日々更新する福祉用具を皆様に活用していただくことで貢献していきたいと考えています。

・ 当社グループには社員憲章があります。事業経営の社会的意義として「革新的な新しい機能と技術の恩恵を患者と医療機関に適切に提供する」ことを掲げています。ビジネスを通じて医学・医療の発展に貢献するという理念のもと、学術本部・社員教育・医工連携の取り組みを進め、最終的には国民の健康長寿に寄与することを企業理念としています。

・ 当社は学術本部を設けて、社員教育に活用するテキストや資料を作っています。また、医工連携の取り組みを進めています。『Medical Globe』(メディカルグローブ)は当社が発行する医療情報誌です。海外の最先端の医療機器や医療現場の情報をいち早く日本に紹介しています。当社では『Medical Globe』を社員教育にも活用しています。これらの情報を当社社員が医師に伝えることで、取引先の医師との良好な関係構築、信頼感の醸成ができ、売上増加にもつながって他社との差別化が可能になると考えています。

 

4. 2017年6月期の業績および2018年6月期の業績予想

・ 2017年6月期は売上高1,057億7,800万円、営業利益10億4,400万円、経常利益11億1,200万円、当期純利益は6億9,000万円でした。売上高は過去最高を記録しました。

・ 2018年6月期は売上高1,063億7,700万円、営業利益11億円、経常利益11億900万円、当期純利益7億1,400万円の見通しです。

・ 既存市場の状況は、病院の経営改善のため一括購買総価値引きなどの手法により、卸売業は値引き対応を迫られることから、利益率の低下が徐々に進んでいます。他社との差別化が不十分であり、既存市場はコモディティ化してきていると考えられます。当社では既存のビジネスと新しいニュービジネスとに区分して対策をしています

・ 中期経営計画(2018年6月期から2020年6月期)は、新たな収益源の獲得、合理化・効率化の推進、働き方改革の3点について取り組みを進めていきます。

・ 新たな収益源の獲得として、医工連携、輸入販売、新規市場開拓に取り組みます。合理化・効率化の推進として、仕入改善、QC活動、IT化推進などに取り組みます。働き方改革として、労働時間削減や人員適正化に取り組み、マネジメント教育、健康経営にも注力します。

・ 中期経営計画は2020年6月期の営業利益20億円を目指す目標を掲げています。

 

5. 医工連携および海外医療機器の導入について

・ 医工連携とは、医学と工学との連携によって新しい医療機器を開発することです。まず医療現場のニーズを集めることが大事なプロセスになります。その後に、ものづくり企業とのマッチング、市場調査、試作品の医療現場での試用などのプロセスが続きます。ニーズ収集、市場調査、試用は医療現場で行われます。当社の社員は医療現場に密着していますので、当社の社員が医工連携に関わっていくことが可能です。

・ 当社は、中国経済産業局、中国地方総合研究センターと連携し、平成28年度地域中核企業創出・支援事業に採択された事業を受託しています。受託案件は、再生医療機器市場の調査、腹腔鏡手術器具・医療用鋼製器具の市場調査、医療機器開発ニーズの発掘、市場性・競合機器情報報等の評価等があります。

・ 医工連携の中には、ものづくり企業と連携して新しい医療機器を作り、販売していくプロセスがあります。当社は、現場のニーズから、多種な医療器具を思い通りの位置に簡単に固定できる器具を開発しました。整形外科領域の脊椎手術時に使われる器具ですが、それ以外の手術でも使うことができます。実際に試作品を使っていただき高い評価をいただいています。この事業は公的補助金を活用した事例です。現在上市に向けて準備を進めています。

・ 医工連携をしていますと、販売チャネルを持たない企業から、自社で開発した製品をどう販売すればいいか分からないというご相談をいただきます。当社は中国経済産業局の「医の芽ネット」から依頼を受けて、販路開拓商談会を行ってきました。そこでのマッチングがきっかけとなり、当社グループ会社とMICOTOテクノロジー(米子市)は、医療教育用シュミレータ・ロボットmikotoの総販売代理店契約を締結しました。MICOTOテクノロジーが製造したmikotoは、医者が気管内挿管や内視鏡検査等の練習をするためのロボットです。

・ 当社は医工連携をさまざまなプロセスから進めており、リサーチ&コンサルティングの機能を果たしていきたいと考えています。

・ 経済産業省関東経済産業局の「医療機器プラットフォーム構築および海外マーケット進出強化事業」は、国産医療機器が海外に展開しきれていないため、日本の医師と医療機器メーカーが協力して海外に国産の医療機器をPRする仕組み作りの事業です。北野正剛・大分大学学長、そして社長の私がプロジェクト・マネージャーを務めています。ウェブページのMEDICAL TAKUMI JAPAN(メディカル匠ジャパン)は、日本人医師による手術等の動画コンテンツとともに、国産の医療機器を海外の医師等に英語で紹介しています。

・ 当社は海外医療機器の導入、輸入販売事業を行っています。第1号案件として呼気によるがんのスクリーニング医療機器の輸入販売に取り組んでいます。

  日本では年間9万人が新たに乳がんと診断されます。日本では比較的若年の乳がん患者が増加しており、年間1万3,000名が乳がんで死亡します。一方、乳がんの診断で普及しているマンモグラフィーのがんの検出率は71%程度であり、十分に乳がんを識別できない場合もあります。

  イスラエルのベンチャー企業の呼気による乳がん検出システムは、受診者がサンプラーに呼気を吹き込み、ガスクロマトグラフィーにかけて測定し、データが同社で解析されて判定結果が受診者に通知されるプロセスをとります。

  当社は、2016年2月にイスラエルのスペクトロセンス社と独占販売契約を締結しました。国内での治験、承認取得後、2020年に上市する予定です。

 

6. 株主還元策および社会貢献

・ 安定的な配当を継続し、成長投資に備え内部留保に努めます。2018年6月期も2017年6月期と同様に1株あたり30円の配当額を予定しています。また、株主優待制度も導入しています。

・ 医療文化情報誌『知遊』は、NPO法人日医文化総研が年2回発行しています。日医文化総研は医療を取り巻く文化状況を幅広い視点でとらえることを目的にしています。医療機器の開発に功績のあった人達に焦点をあて、ヒューマンドキュメントとして後世に残すことが主な事業です。当社はその趣旨に賛同し、当社株主の皆様に『知遊』を送ることで、活動を支援しています。

 

7. 質疑応答

Q1. 競業他社と比較した場合、御社の強みは何でしょうか。また、認識されている課題があれば教えてください。

A1. 当社は業界の中でも新しいビジネスへの取り組みが比較的早く、イノベーションを重視する社風があります。例えば、上場も医療機器卸売業界では初めてでしたし、SPD事業や医療コンサルティングなども先駆的に手掛けてきました。医工連携の取り組みも、同業他社はまだ行っていません。

  営業面では、整形外科分野の人工関節や骨折の治療などに関する医療機器が全国トップクラスの実績を持ちます。M&Aは、整形外科分野に強みを持つ会社に対して多く行ってきました。循環器や手術室、眼科領域においても専門性を生かした営業を展開し、競業他社との差別化を図っています。また、競争優位を構築するための人材育成にも注力しています。

  業界全体の課題として、医療機器卸売業界の低収益性が問題です。当社の課題は、効率性・収益性の改善を図っていくこと、新規ビジネスを積極的に展開していくこと、将来的には海外展開をしていくことだと考えています。

 

Q2. 中期経営計画では、労働生産性を改善し、収益力を向上させる方針とのことです。さまざまな施策を打ち出していますが、収益力向上に最も貢献するテーマは何でしょうか。

A2. 当社は競業企業よりも労働生産性の高い組織体を目指しています。

  中期経営計画では3つの施策を進めています。第1に仕入改善です。前期は医療器材事業において売上総利益率、粗利益率を0.3%改善することができました。営業利益ベースでは2.5億円の増益効果がありました。

  第2に高密度・高品質なサービスを必要としない事業領域に関して、業務内容の見直を行い合理化・効率化を図り、ローコスト運営を徹底します。

  第3に新たな収益源の開発に積極的にチャレンジします。新規事業として8K内視鏡、医工連携の一例として医療教育用シュミレータ・ロボットmikoto、海外医療機器導入ビジネスとして呼気による乳がんのスクリーニング機器などが挙げられます。特に海外医療機器導入ビジネスは高い収益性が期待できます。

  新規ビジネスへのチャレンジは社員のモチベーション向上にもつながります。

 

Q3. 株主還元について配当性向など目標とする指標がありますか。また、中間配当はしないのですか。

A3. 安定的な配当の継続を基本方針にしていますが、将来の投資のために内部留保にも努めています。したがいまして、業績に細かく連動した増配・減配という、変動配当制への移行は予定していません。配当性向は、明確に決めた指標はありませんが、平均で30%以上になるように考えています。ちなみに過去3年間の平均は40.3%、過去5年間の平均は30.0%です。今後、当期純利益のレベルに応じて柔軟に検討する必要があると考えています。

  現時点では中間配当の実施は予定していません。当社の業績が比較的下半期に偏る傾向がありますので、通年での業績を踏まえた配当の実施が望ましいと考えています。

 

Q4. 医工連携への取り組みをする意義は何でしょうか。また、将来の利益貢献はどの程度想定されているのでしょうか。

A4. 医工連携の意義はたくさんあります。

  当社はこれまで医療機器の販売を行うのみで、メーカー機能を持ちませんでした。しかし、医工連携によって、ものづくり企業と連携して当社が医療機器を作りだしていくことができるようになります。さらに、その製品を当社が持っている強いチャネルで販売していくことができます。新しく作りだした医療機器は、海外に展開できる可能性がありますから、海外展開に向けた布石にもなると考えています。

  医療機器の開発は、現場の医師が持っているニーズに由来します。現場の医師の思いを具現化するお手伝いを当社がすることで、現場の医師(顧客)との信頼関係が向上します。さらに、社員が現場で医師とやり取りをしますので、社員と医師との信頼関係も向上し、社員のモチベーションが上がります。

  当社では地域産業支援機関や経済産業省との連携を進めていますので、その中でもさまざまなメリットが出てくると考えています。

  利益貢献はどの程度かということについては、現在、市場調査の受託事業も行っていますし、将来的には、販売ルートのない製品を当社にご紹介いただいて当社が販売していく中でも利益が出ると考えています。

 

Q5. 政府は高齢化による医療費の増加を抑えようとする方針です。そのような環境下で御社はどのように持続的な成長を図っていきますか。

A5. 確かに医療費は高騰しており、40兆円を超えたといわれています。その中で政府は薬価を抑えるなど医療費抑制の施策を打ち出しています。医療機器に関しても償還価格を下げる動きが出てくると思います。うっかりしていますと当社の収益性が低下する可能性があります。

  当社は、既存ビジネスの生産性の向上、新規ビジネスでの新たな収益拡大の2点で今後の成長につなげていく方針です。具体的には、営業活動の合理化・効率化によるサービス性、生産性の向上によって利益を確保すること、中長期的には医工連携の取り組みや新規ビジネスで、収益性が異なる新たな分野を開拓していくことを考えています。医療機器の輸入販売という新分野にもチャレンジします。

                                     以上

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