京阪神ビルディング株式会社(8818)
開催日:2017年11月25日
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長 南 浩一 氏

1.会社概要
・ 本社は大阪市中央区瓦町四丁目2番14号、大阪のメインストリートである御堂筋に面した「瓦町ビル」にあります。設立は、昭和23年12月24日です。資本金は98億2,761万円、従業員は46名(平成29年9月末)と少人数で事業を運営しています。来年12月で設立70周年を迎えます。設立翌年の昭和24年に大阪証券取引所市場に上場し、平成15年3月からは東京証券取引所市場第一部にも上場しています。株主数は8,273名(平成29年9月末)です。

 

2.沿革
・ 当社は、戦前にあった阪神競馬場再興を願う大阪や京都の馬主および財界の方々によって昭和23年に設立されました。最初の社名は京阪神競馬株式会社でした。昭和24年12月に阪神競馬場を竣工。同時に場外馬券売場(現・ウインズビル)を大阪の梅田、難波、京都の祇園、神戸の元町に開設し、それらを農林省に賃貸していました。その後、競馬運営が国から日本中央競馬会(JRA)に移管されたため、当社の阪神競馬場も昭和30年に日本中央競馬会に譲渡することとなり、当社はその代わりに兵庫県宝塚市の不動産を取得しました。昭和31年に社名を京阪神不動産株式会社に変え、本格的な不動産業者として再スタートを切りました。
昭和37年に、今も本社を構える瓦町ビルを竣工させ、オフィスビルの賃貸事業を開始。その後、商業施設・物流倉庫、現在の主力であるデータセンタービルなど、賃貸事業を拡充してきました。データセンタービル第1号となる「新町第1ビル」(大阪市)は昭和63年竣工です。バブル崩壊後は、人手と大きな資本の必要な分譲事業から撤退。以来、当社は賃貸事業に特化した経営を行っています。
・ 足元20年間に賃貸物件を増やし、賃貸事業の拡充に努めています。平成23年、賃貸専業という事業実態に合わせ、また今後の成長戦略を明らかにするため、社名を現在の京阪神ビルディング株式会社に変更しました。平成26年には新規投資の情報収集のため東京事務所を開設しています。その後は首都圏で4カ所の投資を行い、更なる業容拡大に努めています。

 

3.事業内容
・ 当社では、売上高のほぼすべてを土地建物賃貸事業が占めています。賃貸収入の他に不動産管理収入を含めています。

 

4.事業ポートフォリオの変遷
・ スライド5をご覧ください。事業のポートフォリオごとに占める比率を年代ごとに示したものです。昭和31年は不動産業者として再スタートした最初の年です。この当時は大規模な宅地分譲が売上の6割強を占めていました。その後、バブルの頃までは、賃貸事業と分譲事業の比率がほぼ半々でしたが、平成9年に分譲事業から完全に撤退。直近の平成29年3月期における売上高の内訳は、オフィスビル事業が25.0%、データセンタービル事業が41.0%、ウインズビル事業が25%弱、商業施設・物流倉庫事業が8%弱です。

 

5.各種指標推移(部門別売上高)
・ スライド6をご覧ください。ビルの種類別の過去10年間分の売上高です。平成28年3月期の途中に大阪で1件大型ビルを売却したことにより、平成29年3月期は減収となっていますが、これを除けば、過去ほぼ一貫して安定的、かつ着実に売上を伸ばしています。ビルの売却影響がなくなった今期(平成30年3月期)も増収を予想しています。
オフィスビルに関しては、平成28年3月期の大型ビル売却があったものの、ここ数年、首都圏でのビル購入を推進しているので、売上高に占める割合はほぼ4分の1となっています。データセンタービルは売上高も順調に伸び、当社の中核事業に成長しています。ウィンズビルは、オフィスビルとデータセンタービルの伸びに伴い、全体の売上高に占める割合はゆっくりと低下しているものの、毎期安定的な売上を確保しています。商業施設・物流倉庫は、平成27年3月期までは大都市近郊のロードサイド店舗の売却を計画的に進めたので、売上高に占める割合は減少を続けてきましたが、近年、既存施設のバリューアップや首都圏での新規物件の取得により、売上高も全体に占める割合も伸びています。
・ 平成30年3月期(平成29年度)第2四半期は、平成28年10月に取得した藤沢商業施設の寄与等を受け、売上高は73億円。金利低下による支払利息の減少もあり、経常利益は25億円。当期純利益は17億円。いずれも前年同期比増収増益となりました。
平成30年3月期の通期予想は、売上高147億円、経常利益48億円、当期純利益33億円と、増収増益を見込んでいます。

 

6.当社の強み (※原稿末にコメントあり)
・ 当社の強みの1つ目は、高い収益性です。当社の賃貸資産のポートフォリオはオフィスビル市況に左右されにくく、かつ高効率なデータセンタービルやウインズビルが中心であるため、高採算で安定した収益を確保でき、東京証券取引所市場第一部上場の同業他社12社の平均より高い利益率を確保しています。
・ 2つ目は、空室率の低さです。オフィスビル賃貸だけでなくデータセンタービル、ウインズビルなど多岐にわたる事業を展開しているため、空室率は大阪ビジネス地区の空室率をおおむね下回っています。平成29年9月末の空室率は1.9%と、平成29年3月末の2.1%より0.2ポイント改善しています。オフィスビルのみで見ると、当社の空室率は1.5%です。この10月にはテナントの入居がさらに進み、10月末時点の空室率は1.4%まで改善しています。引き続き低い空室率を維持するべく、全社を挙げてテナント誘致活動に取り組んでいきます。
・ 3つ目は、行き届いたビル管理にあります。大手ゼネコンでの現場経験豊富な技術スタッフを雇用することで、新ビル建築時や建物・設備の管理・運営面で、気配りの行き届いたビル・マネージメントを実現しています。また、営業スタッフと密接に連携することで、テナントの要望にきめ細かく応える体制を敷き、各テナント、特にデータセンタービルのテナント企業から高い評価をいただいています。
・ 4つ目は、格付と資金調達力です。長年にわたり着実に企業価値を向上させる安定した経営方針が評価され、21年間連続で格付機関R&I(株式会社格付投資情報センター)から「A-」の格付を得ています。この良好な格付を活かして資金調達コストの低減を図るため、現在合計で300億円の社債を発行しています。平均調達金利は平成25年3月期の1.47%から年々低下し、平成29年3月期は1.01%です。足元の低金利調達のメリットを長期間に渡り享受すべく、有利子負債の平均返済期間の長期化にも取り組んでいます。平均返済期間は、平成25年3月期では2.92年でしたが、現在では6.74年となっています。これからも直接金融と間接金融のバランスや返済期日の長期分散化に留意しながら、資金調達コストの低減に努めていきます。

 

7.新規投資
・ オフィスビル開発用地として、東京都港区虎ノ門の物件を今年6月に取得しました。虎ノ門交差点に近い約295坪の良地です。虎ノ門は官公庁や裁判所など首都機能が集積する霞ヶ関に隣接する日本有数のビジネス街です。購入した場所は、東京メトロ銀座線虎ノ門駅から徒歩2分、JR新橋駅から徒歩6分にあり、非常に交通の便のいい場所です。周辺では複数の大規模再開発が計画されており、国際的なビジネス交流拠点としてさらなる発展が期待される地域です。
当社はこの地にBCP(自然災害等不測の事態に対し、事業を継続・復旧させるための備えや計画)対応の高い、機能性を持つオフィスビルを建築する予定です。これに限らず、東京都心部を中心とした地域への投資を推進していきます。
・ 今年3月に大阪ビジネスパーク(OBP)に約2,000坪のデータセンター開発用地を取得しています。OBPは高層ビルが林立する大阪市内のオフィス街で、最寄りのJR京橋駅はJR大阪駅から電車で10分弱の距離です。南西には大阪城を望み、上町台地の北東に位置するので、古くから地盤が高く、水害に強い地域です。ここに最新鋭のデータセンタービルを建設すべく、現在テナント候補先でビルのコンセプトを詰めています。

 

8.中期経営計画
・ 本年2月に、中期経営計画を発表しました。対象年度は平成29年度から平成33年度の5年間です。基本方針として、この5カ年を「特色ある4部門の賃貸事業を深く掘り下げ、新たなニーズを発掘し、さらに事業を発展させると共に、将来に向けて新たな事業を模索する時期」と位置付けています。目指すのは次世代に継承される資産を増やすことです。
・ 計画最終年度(平成34年3月期(平成33年度))の目標は、売上高200億円、営業利益75億円、経常利益70億円です。
・ 総資産1,500億円、自己資本700億円、自己資本比率46.7%を目指す一方で、ネット有利子負債は500億円とし、ネット有利子負債/EBITDA倍率は5.0倍と考えています。
・ 新規投資については、大阪市内では8棟目のデータセンタービルの建築を、首都圏では虎ノ門で付加価値の高いオフィスビルの建築を進めます。合わせて首都圏を中心とした地域での既存物件の取得、所有物件の大規模な更新・修繕も計画しており、5年間で総額500億円の投資を考えています。
・ 新規投資戦略として、オフィスビル事業では、東京都心部を中心とした地域への投資を推進します。築浅物件の取得に加え、将来の種地となるような築古ビルも取得し、付加価値の高い物件の建築を検討しています。高水準の設備、耐震性を有した好立地の中規模ビルに絞って投資を行います。また他社とのタイアップによる再開発事業への参画も検討しています。
データセンタービル事業では、大阪地区での根強い需要に応えて新データセンタービルを建設予定です。一方、データセンター業界での当社の知名度を活かし、今後、東京地区でのデータセンター事業も検討していきます。
商業ビル事業は、ロードサイドからレールサイドへと転換すべく、首都圏や地方中枢都市の商業中心部やターミナル駅に近い都市型商業ビルの取得を目指します。
物流倉庫事業は、特定顧客向けの設備や機能を備えた付加価値の高いビルド・トゥ・スーツ(BTS)型、いわゆるオーダーメイド型の倉庫の取得を目指します。
・ 情勢の変化等々で収益性が低下した物件については、建替えや売却などの処分を適宜行っています。「四条河原町ビル」は、平成26年のテナントの入れ替えに伴い、全館リニューアル工事を実施しました。テナントニーズに沿った更新工事を行うことで収益性が向上し、バリューアップを図ることができました。
・ 既存の主流物件は引き続き質の高い設備・サービスを提供し、稼働率の向上に取り組みます。またさらなるテナントリレーションの強化、提案力の強化を通じ、新規顧客や新たな事業の開拓を進めます。
首都圏での新規投資や築古物件の売却、BCP対応ビルへのリニューアル等を進めることで、既存施設の災害リスクを低減するとともに、大阪集中リスクを減らし、現在は1割強程度の関西圏外の売上比率を3割程度まで引き上げたいと考えています。
・ 将来に向け、新たな事業展開の模索を進めます。既存事業で培った強みを活かし、ヘルスケアや社会インフラなどといった新たな賃貸事業への展開、AIビルと呼ばれる人工知能を搭載した最先端のビル管理・運営設備を有する新しいスタイルのビルの開発、また海外不動産への投資の検討にも着手しています。なお、財務基盤については、今後も安定的かつ低金利での資金調達に取り組み、財務バランスの健全性を維持します。

 

9.地域への貢献
・ 当社所有の建物は、永く街並みや景観を構成する社会的資産となります。そのため、当社は地域に根差した企業を目指して、地域貢献活動にも積極的に取り組んでいます。
社内に地域活動委員会を設置し、活動の一環として寄付活動を行っています。これまで大阪市営博物館へ車椅子の寄付や、大阪城での記念事業などへの寄付を行いました。
毎月、御堂筋の清掃活動に当社役職員が参加しています。さらに地域のイベント開催時にはビルの敷地をイベントスペースとして提供するなど、地域の賑わいづくりにも貢献しています。当社はこれからも地域貢献活動に積極的に取り組む所存です。

 

10.株主還元策
・ まずは安定した配当を行うことを基本方針とし、従来から配当性向30%を目標としています。平成29年3月期の1株当たりの年間配当金は17円、配当性向は28.0%です。当期末の配当は、業績等を踏まえ、1円増やし、1株当たり9.5円とし、中間配当8.5円と合わせ、年間配当を1円増配の18円にしたいと考えています。増配はこれで4期連続であり、普通配ベースでは6期連続の増配となっています。
・ 株主の皆様の日頃のご支援にお応えするため、株主優待制度を実施しています。3月末時点で当社株式を100株以上保有している株主様に対し、お米券をお渡ししています。また、長期保有優遇制度として2年以上継続して保有の株主様には、通常優待に追加でお米券を贈呈しています。

 

11.質疑応答
Q1. REITを購入するのではなく、京阪神ビルディングの株を購入したほうがいいのでしょうか。その理由やREITと比べて優位なところについて教えてください。
A1. REITは税引前当期利益の9割を配当として還元することが法で求められています。当社は税引前当期利益から税金を払って残った利益の中で還元しており、配当性向約3割です。ここに決定的な差があり「REITのほうがいいじゃないか」とみられる向きもあるかと思います。一方でREITは利益の大半を配当に回すので、内部留保という考え方がありません。まさかの時の備えが十分ではありません。熊本大地震では、某REITは減配減損を余儀なくされました。当社は安定した配当を続けるために相応の内部留保を持っており、そういった不測の事態にも対応できます。どちらを選ぶかは投資家の皆様の判断ですが、当社は株主様に安定配当、健全経営を標榜し、長くお付き合いいただける会社でありたいと考えています。

 

Q2. データセンタービル、オフィスビル、ウインズビル、商業施設・物流倉庫のそれぞれについて、景気との連動性や賃料の安定性などにどのような違いがありますか。
A2. もちろん景気の影響は少なからずあるわけですが、安定した賃料があるので、他のメーカーあるいは小売業に比べ連動性は低いと言えます。当社が取り組む4種類のビル形態に対して、一番景気の影響が少ないのはウインズビルです。こちらはJRA(日本中央競馬会)との賃料を長期契約しています。同様にデータセンタービルも長期契約をしています。あえて景気と関係があると言えばオフィスビルと商業施設です。これらも景気の動きに対して遅効的に起こってきます。すぐに影響が出るということではありません。

 

Q3. 新規に取得する物件の利回りはどのくらいの水準をメドにされていますか。利回り以外に重視しているポイントはありますか。
A3. 成長のために新たな物件を取得していくのが会社としての命題です。投資利回りについては、その時の情勢により変わります。一つのメドとしてオフィスビルは4%、その他については5%を確保したいと考えています。これまでもその目線で投資してきましたが、ここ1〜2年、東京では物件価格が高騰しています。これまでの目線での物件取得が厳しい状況になっています。他社も投資を積極的に進めているので、物件価格が高騰する=利回りが低下するという状況になっており、その中で新たな投資を、ということになると非常に慎重に対応していかなければならないのが事実です。その中でもその土地の潜在的な成長力等を考え、今回、虎ノ門の物件を取得しました。利回りは当社の目線よりは低くなりますが、将来的な成長性を考えると、俗に言う「腐らない土地」です。景気が悪化したとしても、その土地の潜在的な力を見て、当社の基幹ビルにしていきたいと考えています。

 

Q4. 事業ポートフォリオについて、分野別のバランスが取れているとのことですが、今後伸ばしていきたい分野はありますか。理由と共に教えてください。
A4. 今4つの部門で安定しているということをご説明しました。4つの部門の売上構成比について、構成比割合の目線はありません。それぞれの分野を伸ばしていきたいと考えています。その中でもデータセンタービルは旺盛な需要を実感しており、収益性も高いため、この分野に今注力しており、大阪で8つ目のデータセンターの開設を計画しています。その他、オフィスビルや商業施設についても、物件との出会いが大事です。良い物件との出会いがあれば、積極的に投資に取り組んでいきたいと思います。併せて、東京と大阪の売上比率や築年数での比率等、資産のバランスに関してはこれからも検討していきたいと思います。

 

Q5. 3月に取得した大阪ビジネスパークでのデータセンター建設用地と、6月に取得した虎ノ門の建築計画について教えてください。完成はいつで、売上にはいつ頃反映されるのですか。
A5. 大阪ビジネスパークでのデータセンター建設に関して、クライアントは大手のIT業者、外資企業で、オーダーメイド型のデータセンターを作ることになっています。今、クライアントとビルのコンセプトを詰めています。3年後、2021年辺りの竣工を目指しています。
虎ノ門は、オフィスビル用地です。古いビルが建っていたので、現在、解体工事中です。解体工事後、約2年を掛けてビルを建築するべく、現在、鋭意進めているところです。今の予定では2021年3〜4月くらいの竣工を考えています。

以 上

 

※配布資料の項目立てのナンバリングとの差異について:
発表では、配布資料の「6.事業紹介」を、発表前に放映したDVD映像で紹介済みとして割愛しました。そのため、資料は「7.当社の強み」となっていますが、当メモではこれを6とし、以下、1つずつナンバリングがズレています。

 

 

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