J.フロント リテイリング株式会社(3086)

開催日:2017年11月19日(日)

場 所:大阪新阪急ホテル 大阪市北区

説明者:執行役 経営戦略統括部 コーポレートガバナンス推進部長 牧田 隆行 氏

 

1. 会社概要

・ 当社は、関西中心の百貨店・大丸と中部中心の百貨店・松坂屋が2007年に経営統合してできた共同持ち株会社です。大丸は2017年に300周年を迎えました。松坂屋は2011年に400周年を迎えました。そして、J.フロント リテイリング株式会社は2017年で創業10年という企業です。

・ 当社の経営理念は、元々の2つの百貨店の社是を基に作りました。また、J.フロント リテイリング株式会社の名前の由来は、Jがジャパン、フロントが先頭、そしてリテイリングが小売業という意味で、「日本の小売業の先頭に立つ」という思いを込めています。百貨店が統合すると百貨店の名称を使うことが多いですが、当社は百貨店だけではなく総合小売業として成長していきたいと考えているため、あえて使っていません。ただ、一方でなかなか認知度が上がらないため、J.フロント リテイリングについて説明をするようにしています。

・ 当社の事業規模は、連結で2016年度の売上高が約1兆1,085億円、営業利益が約445億円、従業員数が約10,600人です。時価総額は2017年11月17日現在の株価1,762円で算出して約4,800億円となり、最近は4,600〜4,800億円ほどです。

・ 事業セグメントで一番大きな割合を占めるのは百貨店事業で、二番目がパルコ事業です。百貨店事業とパルコ事業を合わせると、売上高、営業利益ともに全体のほぼ9割を占めています。百貨店事業に頼りすぎるのはグループとして決していい形ではないと感じており、今後事業のポートフォリオは変えていかなければいけないと考えています。

・ 百貨店の店舗は北は札幌から南は博多まで全18店舗、パルコの店舗は北は同じく札幌から南は熊本まで全18店舗(現在、渋谷店が建て替えで休業中)展開しています。店舗は政令指定都市を中心に出店し、百貨店が出店していない都市はパルコが出店しており、どちらかでカバーしていることが当社の強みになっています。

・ パルコ事業は、出店戦略を行うことによって利益を上げていきます。パルコ事業は、大型店のほかに小型店舗を出店する「ゼロゲート」事業を展開しています。3層ほどの建物を一棟借りして、そこに1ブランドあるいは複数のブランドを誘致する事業です。今後はゼロゲート事業を強化しようと思っています。心斎橋筋商店街にある心斎橋ゼロゲートにはH&Mが、道頓堀にある道頓堀ゼロゲートにはFOREVER21が入っています。京都ゼロゲートも2017年11月より順次オープンしています。

・ その他の事業として卸売やクレジット金融、人材派遣、建装工事請負等の事業も行っており、連結子会社が24社あります。

・ 業績推移は、統合時の2007年度は営業利益が397億円で、この直後にリーマンショックがあり一時期低迷しています。それ以降は6期連続増益で2015年度は480億円を達成しています。2016年度は445億円で前年と比べると減益ですが、その理由は、旗艦店である大丸心斎橋店本館と渋谷パルコが将来の成長に向けて建て替え工事中ということによります。2017年度は営業利益490億円に成長する予想です。なお、2017年度より当社はIFRS(国際会計基準)に移行しました。

 

2. 当社の戦略

・ 2017年3月から中期経営計画の新しい事業年度に入りました。そのベースになるグループビジョンを2016年秋に発表しています。「くらしの『あたらしい幸せ』を発明する。」というビジョンです。創業10年目のタイミングで見直しました。現在の少子高齢化や女性の社会進出、所得の二極化、技術革新など、激変する環境をしっかりと認識し、これまでの経営の仕方を新しくする時にきているので、グループビジョンを新たにしました。今までと同じことを行うのではなく、非連続な成長に取り組んでいかなければならないと思っています。今後は小売業の枠にとらわれずに、お客様のニーズを踏まえて成長していかなければなりません。

・ 中期経営計画は5年後(2021年度)の連結営業利益560億円、ROE8%以上を目標にしています。百貨店とパルコで9割を占めていた営業利益については、5年後には7割程度に抑えていく方針です。小売業は成長させながらも、小売業以外の構成比も高めるということです。不動産で2割強、クレジット金融と新規事業で2割弱となるように考えています。

・ マルチサービスリテイラー戦略とアーバンドミナント戦略が、中期経営計画の2つの柱です。

・ 「マルチサービスリテイラー戦略」とはマルチリテイラー戦略の進化形と捉えています。まず、マルチリテイラー戦略とは、複合型小売業ということで百貨店だけではなく、それ以外の小売業も含めてさまざまなお客様のニーズに応えていこうという戦略です。これをグループ戦略の根幹に置いてきました。その取り組みとして2011年に雑貨ショップの「PLAZA」を保有している株式会社スタイリングライフ・ホールディングスを持分法適用関連会社化し、2012年には株式会社パルコを連結子会社化しています。さらに2015年には通販の株式会社千趣会を持分法適用関連会社化しています。異なるタイプの小売業がグループに入ることによって、多様化するお客様のニーズに応えてきました。

・ 今後は小売業の枠にとどまっていたのではお客様のニーズに応えきれないと考え、中期経営計画では小売の枠を超えた「マルチサービスリテイラー」という姿での成長を目指していきます。

・ 具体的には不動産事業やクレジット金融事業の強化を考えています。不動産ビジネスとしてGINZA SIX(ギンザシックス)をオープンしました。当社の不動産事業の考え方は、その物件を使ってお客様に新しい価値を提供してくということです。一般の不動産屋さんがされるような事業ではありません。

・ それほかに研究・検討しているのが育児に関するビジネスです。少子高齢化や女性の社会進出によって、教育の問題は子育て世代の大きな悩みになっています。そのようなお客様の悩みを解決する手段を当社が考えていきたいと思っています。

・ 2つ目の柱「アーバンドミナント戦略」は、全国主要都市にある当社店舗を核に、その店舗がある街全体を活性化させ街の魅力を高めることによってお客様にお越しいただくビジネスモデルです。大丸神戸店はアーバンドミナント戦略のルーツとなる取り組みです。お店の海側に旧居留地があります。1987年から大丸神戸店が中心となって旧居留地の魅力を生かした周辺店舗開発をスタートしました。それまで事務所と銀行と倉庫しかなかった街に、現在、大丸関係の店舗だけで約60店舗、それ以外の店舗を合わせますと約100店舗の路面店があり、元町の魅力の源泉になっています。

・ 現在進めている4つのプロジェクトの1つに銀座の再開発があります。松坂屋銀座店跡地とその裏の区画も含めた場所に複合型の建物(延べ床面積約15万u)を「GINZA SIX」という名称で2017年4月20日にオープンしました。下層階は商業スペース、上層階はオフィスです。GINZA SIXは当社だけでなく森ビル株式会社、住友商事株式会社、ルイ・ヴィトングループのL キャタルトンリアルエステートの4社それぞれの強みを活かして共同開発を行いました。入店店舗数241ブランドを誘致、そのうち、ラグジュアリーブランドも含めた半分は旗艦店です。そのため、環境も工夫しており、中央の吹き抜けや小さな路地を建物の中に取り入れ、お越しいただいた方が楽しめるように工夫を凝らしています。プロモーションもアートを切り口にしてこだわり、吹き抜けには現代美術家の草間彌生氏の作品、カボチャのバルーンをつり下げています。そして、地下3階には能楽堂が入っています。渋谷の松濤にあった観世能楽堂の舞台を移転してきたものです。また、屋上の庭園や1階にはツーリストサービスセンターや観光バスの乗降所も設置しています。初年度売上目標600億円、年間入店客数目標2,000万人と設定しています。現在11月中旬になりましたが、ほぼ予定どおりで推移しています。地下2階の食品フロアには地方の名店に出店していただいています。ここでしか買えないものがあるということでお客様にご好評をいただいており、売り切れになる店も多い状況です。

・ 2つ目のプロジェクトは、2017年11月4日にオープンした上野フロンティアタワー(松坂屋上野店南館建て替え)があります。23階建ての高層ビルで、地下1階が松坂屋、1階〜6階がパルコ、7階〜10階がTOHOシネマズ、12〜22階が高機能オフィスになっています。大丸松坂屋百貨店とパルコが共同で行う初めての大型開発です。パルコは「PARCO_ya(パルコヤ)」という新しいブランドで出店しています。オープンしてまだ2週間ですが、パルコや映画館があるために、今まで百貨店にいらしていなかったお客様もたくさんお越しいただいています。入店客数は昨年と比較してほぼ倍に増えています。

・ 残りの2つのプロジェクトは、大阪の大丸心斎橋店本館の建て替えと渋谷公園通りにある渋谷パルコの建て替えです。ともに2019年度秋に開業します。心斎橋本館は歴史的価値の高い外壁を壊さず保存して、壁の内側に新しい建物を作っています。また、隣接する北館と新本館を上空で接続して一体化して、行き来がしやすいようにします。また、北館にはパルコが入る予定です。お客様の層が広がっていますので、ニーズに応えられるように、パルコと共同で取り組んでいくことを考えながら計画を進めています。

 

3. コーポレートガバナンスと株主還元

・ コーポレートガバナンスは政府が成長戦略の中で取り上げており、未来投資会議の中でも話が出ています。当社もこの流れに合わせてスチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コードが出るタイミングで取り組みを強めています。2015年3月に「コーポレートガバナンス推進担当」というコーポレートガバナンス推進を後押しする専属の部署を作りました。現在この部署は、取締役会の改革、人事・報酬委員会の改革、経営人材能力の強化の3つに取り組んでいます。

・ コーポレートガバナンスとは、企業を持続的に成長させ、中長期的にその価値を向上させることです。2015年12月には当社のコーポレートガバナンスに取り組む考え方を方針書で出しており、ホームページにも掲載されています。

 2017年5月以降に当社の機関設計を変えて監査役会設置会社から指名委員会等設置会社へ移行しました。これにより監督機能を強めて経営を後押ししていこうと考えています。今後はそれをしっかり機能させて企業成長につなげていきたいと思っています。

・ 社外取締役の数も増やしています。小売業以外のキャリアを持つ社外取締役を置くことで、取締役会において社内取締役とは異なる視点からの助言、ときには厳しい意見をいただいています。

・ 株主還元は、安定的な配当を行うことと連結配当性向30%以上を維持するという考えです。2018年2月期は普通配当2円増配、記念配当2円実施の予定で、実現すれば7年連続増配になります。自己株式の取得も適宜検討実施をしていきます。

・ 当社の株式は100株単位でご購入いただけます。

・ 当社の株主優待は百貨店のお買い物が10%引き(一部除外)になります。これまで生鮮食品は対象外でしたが、見直しを行って、2017年6月から対象とさせていただきました。

・ 当社は小売業であるため、個人株主様のご意見は経営活動に非常に重要であると認識しています。ぜひ、ひとりでも多くの方に投資していただき、貴重なご意見を頂戴できればと思います。

 

4. 質疑応答

Q1. 今後のインバウンド効果をどう見込んでいますか。

A1. 百貨店の売上構成の中でインバウンドの売上が占める割合はどんどん上がっています。当社百貨店の売上高は現在6,500〜6,600億円ですが、今年度(2017年度)のインバウンドの売上高は約400億円になる見込みです。上期だけで見ますと、売上高の中でインバウンドが約7%を占めています。伸び率は上期で約50%でした。将来的にはインバウンドの売上は百貨店の総売上高の約10%まで伸びると思っています。

  日本全国で海外のお客様が最も多いのが心斎橋、難波(なんば)です。関西国際空港にLCCが入ってくる影響があります。当社は大丸心斎橋店の南館を来日するお客様用に改装しています。まとめてお買い上げいただける形を取り、免税の設備を入れています。インバウンドについては、今後もしっかりと体制を組んで取り組みを進めていきます。

 

Q2. 2021年経営目標を見ますと、海外展開及び外資との共同展開、連携がありませんがなぜでしょうか。

A2. 今後、当社自らが百貨店を海外に出店していくことはないと思います。お客様のニーズは国によって異なりますから、海外のマーケットは非常に難しく、小売業が海外で成功した事例は多くありません。

  ただし、海外のマーケットを無視することはできません。当社は中国の上海に1店舗、大丸の名前を付けた店舗を出しています。これは当社が出しているのではなく、ロイヤルティーをいただいて、地元中国の企業に大丸という名称を使っていただいています。当社は開業準備、ブランド誘致、従業員への販売サービス教育などの支援を行いました。また、パルコはシンガポールのショッピングモールに日本食のレストランを集めたゾーンを展開しています。このような事例を積み重ねながら、どのような方法が当社に適しているかを見極めているところです。その中で答えを出して、海外展開について検討していきたいと思っています。

 

Q3. 2021年度に向けて不動産事業やクレジット金融を伸ばしていくとのことですが、具体的にどのようなビジネスをお考えですか。他社との差別化が難しい事業のように思いますが、いかがでしょうか。

A3. 当社の不動産事業は、現に当社が保有しているものをどれだけ有効活用できるかという視点で取り組みを進めます。従来の百貨店というモデルではなく、新しいモデルを展開していきます。2017年4月20日オープンのGINZA SIX、2017年11月4日オープンの上野フロンティアタワー、2019年秋オープン予定の大丸心斎橋店本館(建て替え)と渋谷パルコ(建て替え)の4つが代表的な開発計画です。それ以外にも当社が保有している不動産がありますので、それをお客様のニーズに合うように変えていきます。GINZA SIXの成功から、このノウハウを他社との差別化につながる当社の強みと捉えています。これを各地区に広げていきたいと思います。

  クレジット金融については、クレジットの切り口からは、当社が持っているクレジットカードをどう広げていくかという取り組みを進めていきます。金融の切り口からは、決済において、当社だけでなくいろいろな方々と連携しながら、新しいモデルを組めないかと考えているところです。金融については各社が取り組みをしていますが、答えが見えていないのが現状です。各社とも同じような状況ですから、その中でわれわれなりの視点で進めていきたいと考えています。

 

以上

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