株式会社ジャステック(9717)

開催日:2017年10月21日

場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)

説明者:代表取締役社長 中谷 昇 氏

 

1.会社概要

・ 東証一部上場で、本社は港区です。事業内容はソフトウェア技術開発及び販売です。今から46年前の1971年創業。IT企業の中ではかなり老舗です。連結従業員数は1,200名強で、当社は11月決算をしています。平成28年11月期の売上高は162億円です。営業所は、東京以外に仙台、沼津、名古屋、大阪、福岡で展開しています。

・ 売上高の推移で、1990年代に落ち込んでいるのは、バブル経済崩壊によるものです。それにもめげずにまた売上を伸ばし、2000年代に当時の最高売上を達成したところで、今度はITバブルに見舞われました。ここで若干落ちましたが、2年で回復し、2008年に売上140億円超を達成したところ、今度はリーマンショックとなりました。この時は売上が44%くらい下がりました。私が社長に就任したのが2010年ですが、その時は80億円と最低売上まで落ちてしまい、顔では笑顔を見せつつも、心の中ではこれからどうやっていこうかと、いろいろと腐心していました。その後、皆様の応援をいただき、業績も順調に回復。昨年度の売上は160億円を超え、売上・利益ともに最高益を得ています。

 

2.経営理念と基本戦略

・ 当社は他のシステム開発会社と異なる5つの特徴があります。

まず「一括請負」。当社はエンジニアの派遣はしていません。IT産業は、エンジニアを雇い、彼らを客先に派遣して顧客先のマネージャーの元で働くのが基本的な形です。当社が創業した頃は、その傾向が特に顕著でした。当時の創業メンバーがそういった状況を憂いて作ったのが当社です。自社の社員を自社で育てない状況では、社員が将来どんなエンジニアになりたいのか、どんなキャリアを描きたいかということが全く無視されてしまう。それでは将来のIT産業は、どんどん衰退し、先進国の日本が三流国になってしまうという思いから、当社は「一括請負」にこだわってきました。具体的には、顧客から開発プロジェクトを丸ごと請け負い、当社内のチームで担当する。完成したシステムを顧客に納品し、費用を受け取るという形です。これにより各エンジニアの成長を考慮してチームを編成し、人材を育成しています。そしてエンジニア個人の成長だけでなく、人を育てていくという面で日本の産業の成長に貢献しているものと考えています。

それから「主体性」。当社のようなシステム開発企業は、どうしても顧客の言いなりになることが多くなりますが、自分たちで新たな技術や手法を考え、主体的に顧客に提案。さらに顧客を啓蒙し、顧客と共に成長していくことを目指しています。そして「高信頼化ソフトウェアのための開発手法ガイドブック」や「ユーザのための要件定義ガイド」を作成し、情報処理推進機構(IPA)から発行しています。

次に「社会貢献」。一番の社会貢献は、人を育てていること。モノ創りに関わる人間を社内で育て、増やし、日本という国に貢献していこうと考えています。

さらに「経営参加」。当社はフラットでシンプルな組織構成で、一般社員でも社長の私に提言ができます。2週間に一度、部門間会議があり、全役員・全部長・全課長、さらにローテーションで一般社員も出席し、会社の状況や将来構想、戦略等の情報をシェアし、また議論しています。1,200名規模の会社ではそういったことができない会社が多いと思いますが、当社はこういう取り組みをずっと大事にしています。

最後に「一技術分野一社主義」。当社は独立系の会社で、ほとんどの株式を個人投資家や機関投資家で支えていただいています。したがって皆様と一緒に会社の舵取りが独自にできるのがいいところですが、財政的に危機に直面しても助けてくれる親会社がありません。そこで顧客の産業のポートフォリオを広く持つことを基本としています。皆様もいろんな分野の会社に分散投資されていると思いますが、当社にも似たことが言えます。顧客の分野は広く、しかも深く付き合っていく。そのために同じ技術分野で競合他社とは仕事をしないことを顧客に伝えています。それが当社に対する安心感となり、次のプロジェクトも当社にご依頼いただけるようになります。また当社も顧客に関する業務知識が増え、ノウハウが蓄積されます。そうすることで顧客にとって当社はなくてはならない存在となっています。IT産業の技術分野は広いので、「一技術分野一社」でも売上が頭打ちになるようなことはありません。

これらの取り組みを通じて、経営理念として人を育てることを大事にしている会社です。

・ 基本戦略としてはステークホルダー重視。

独立系で株主の皆様に支えられている会社です。売上に関しては顧客第一で、そして社員も当社の大事な資産です。顧客に対しては低廉で良質な製品を提供し、社員はキャリアパスを描きその実現に向けて会社と共に取り組む。そしてこれら顧客と社員への取り組みを通じて、高利益を維持し、株主の皆様にも還元していくことが当社の基本戦略です。

 

3.ソフトウェア開発専業/当社の強み

・ ソフトウェアには、スマホのアプリケーションやPCソフトなどさまざまな種類がありますが、当社が作っているのは企業向けのソフトウェアです。システムとも呼んでいます。一例としては銀行のATMのシステムなど。皆様がATMを操作すると、預金の引き出しや振込み、記帳等に関して、さまざまなシステムが動き、皆様の目的を果たしています。そこに当社の存在があるのですが、身近に知られる機会がなく、知名度の点で苦労しています。しかし当社が作ったシステムが生活の中でお役に立っていることは数多くあると思います。

顧客企業との業務フローでは、顧客企業からは「こんなことをやりたい」と漠然としたニーズが発生します。それに対して当社は「こんなITシステムがいいのではないか」「そうすると効率化が図れます」「売上が伸びます」と提案します。顧客から「それを作ってくれ」と言われたら、当社は顧客からシステム開発を請け負う形でプロジェクトを担います。そのプロジェクトをキチッと作り上げ、顧客先に納入します。

当社はシステムの保守・メンテナンスなどは行わず、ソフトウェア開発専業です。その方がエンジニアが興味深く取り組め、付加価値が高い。収益も高いからです。また消費者向けのゲームソフトやアプリではなく、大企業向けの基幹システムを提案から納入まで一括で請け負っています。

・ 当社はこのような取り組みを46年間ずっと続けてきました。しかも派遣ではなく、社内での業務請負なので、これまでのノウハウが蓄積されています。ソフトウェアを早く、安く、高品質なものを作る技術力が当社は他社よりも長けており、当社の一番の強みです。

顧客からは、信頼性・安全性が高く、しかもできるだけ低コストで、というリクエストを受けます。そこで当社は「ACTUM(アクタム)」という独自の生産管理システム(=開発手法)を構築・運用しています。

一般の工場生産なら、工程が目に見えていて、必要とする時間や製造量もわかりやすい。それを元にして効率性を考えることができます。その一方でそういったことがしづらいのがソフトウェアです。しかし当社はそれを「計る化」「見せる化」し、ハードウェア製造のように数値化し、毎年、不具合を改善。去年よりも今年の方が高品質なものが作れる、今年よりも来年…と好循環な仕事の仕組みを作っています。これにより顧客への信頼や安全の提供を可能としています。そしてそれが高利益の維持や能力主義の実践につながっています。

・ 当社はCMMIレベル5の最高位を取得しています。

CMMIとはアメリカで国防総省が大学と一緒に作った規格で、ソフトウェア開発会社がいかに安く、速く、品質の高いものを作り上げることができるか、かつ、未来にわたって、その管理能力をどう改善していく能力があるのかを計るものです。元はアメリカの国防総省が自分たちのパートナー企業のために策定したものですが、内容がいいので民生化され、ソフトウェア開発各社はどこも取得を目指しています。当社は「ACTUM」を通じて開発能力に長けているので、日本で初めて最高位のレベル5を2003年に比較的容易に取得することができました。2016年11月現在でも国内でのレベル5取得企業は8社。海外で420社が取得していることを考えると、国内取得率は大変少なく、日本のIT産業のソフトウェア開発力がまだ十分でないことを示していると思います。

当社は今後もレベル5の維持を続けていきます。ただこれは当社がこれまで培ってきたモノ作りと人材育成の副産物だと考えており、この取得・維持が最終目的ではありません。

・ 当社は各社員が得た知識やアイデア・提案などの「知恵の共有」を社内文化の一つとしています。それにより会社も社員も成長できます。そのために一例として、年に1回「生産改善発表会」を開催。社員が各プロジェクトの中で、コスト削減や品質改善、若手社員育成等のテーマにも取り組み、その成果を発表しあうものです。今年も9月の土曜日に5時間かけて、10数チームが発表。各取り組みに対しても議論を交わし、知識の横展開や生産体制の改善につなげています。これらの取り組みからも当社はとても風通しのよい会社です。

 

4. 開発事例

・ 当社の主要顧客は70社くらいありますが、すべて東証一部上場のグローバル企業です。

高速道路のETCの自動課金システムにも当社が一部関わっています。カーナビを使えばVICSで渋滞箇所の情報が得られますが、これらにも関わっています。その他、テーマパークの待ち時間のディスプレイ表示、デジカメのコントロール機能、地上波デジタル放送の双方向通信の仕組み、携帯電話の通信インフラなどもあります。

・ 金融・保険業界関連では、オンライントレードのバックオフィスシステムや企業年金システム、サービス業界関連では、インターネットでのホテル予約や、国内の大手航空会社の座席予約システム。情報・通信業界関連では、選挙速報のシステムなど。

このように日常生活の中で必要なインフラや基盤、端末、サービスの中のどこかに必ず当社の仕事が関わっています。

 

5. 第3四半期の実績ハイライト

・ 10月2日に第3四半期の状況を発表しました。今期は通期で売上高172億円を目指しています。これまでの状況では、前期に対し増収増益で順調に推移しています。

・ セグメント別に見ると、金融・保険業界の顧客が4割強。プロジェクトの規模が大きいので、この分野の顧客が多くなっています。ただ10年くらい前は6割を占めていました。現在は、他の産業分野の顧客の新規獲得にも尽力しており、電力・運輸、情報・通信、流通・サービス、素材・建設、製造などのパイが増えています。そのため金融・保険関連顧客の案件数を増やしつつ、他の産業分野の顧客にも力を入れています。年度ごとに変動はありますが、長期に見れば拡大傾向にあり、経営の安定を図っていきたいと思います。

システム販売事業は、海外にLTU Technologiesという会社があり、ここをフランスの子会社であるJASTEC FRANCEに再編。今年10月2日まで保有していましたが、フランスのDigital PackagingにJASTEC FRANCEを売却しました。海外事業に関しては、慎重に再挑戦を練っていきたいと考えています。

 

6. 中期計画

・ 今後の当社の取り組みとしては、モノ作りの管理手法をさらに洗練し、新規の産業分野にも参入。IoTやAIも話題になっており、さまざまな新技術の中で、当社の売上にも大きく関わっていくものに関しては、ワーキンググループなども作り、どんどん技術獲得を進めていきたいと思います。

また当社が大きくなるには、人員が増え、ノウハウが蓄積し、それを横展開し、会社全体の効率を上げていくことが必要です。生産改善発表会等を通じて、開発知識の社内横展開もどんどん進めていきます。このような取り組みにより、東京オリンピックの頃には売上200億円突破を達成したいと考えています。利益率も同業他社が5〜6%なのに比べ、当社は12%くらいの高利益率を誇っています。これは人材が育っていることと定量的な管理手法を導入していることで、高品質のソフトウェアを安く作れるからです。

・ 当社の課題としては、いくつかのものがあり、それぞれについて取り組んでいます。

私が社長に就任して、先代の社長から30歳若返りましたが、役員や管理職も若手を起用していきたいと思います。株主の皆様の興味の高い利益の拡大および利益率の改善にも取り組みます。機微な情報を扱うことが多いので、情報セキュリティマネジメントシステムも的確に運用し、顧客に迷惑のかからない事業を行い、投資先としても安心できる会社でありたいと思います。また管理職の女性比率は2.2%とまだまだほめられる状況ではないので、優秀な社員であれば、管理職も視野に入れて育成していきたいと思います。さらに、市場や技術動向、競合の状況を常に監視し、当社の経営戦略に落とし込んでいきます。グローバルに関しては、フランスの子会社を手放しましたが、国内外に新しい技術を持つ会社が多数あります。これらと戦略提携や資本提携も視野に入れ、各社の技術を活かして、売上増収につながるビジネスモデルを作りたいと思います。環境貢献や法令遵守は企業として当然のことですが、法令遵守では稟議制を大切にして、会社を盛り上げていきたいと思います。

 

(以下説明は、取締役(執行役員総務経理本部本部長兼 総務部長)の黒木 彰子氏)

・ 過去20年間の業績推移では、リーマンショックの年に落ち込みましたが、その後は持ち直しています。直近の利益率は12〜14%で推移しています。これは当社が徹底した定量管理を行っており、期初に設定した予算項目に対して、隔週で幹部の会議にてモニタリングを実施し、四半期ごとに総括しています。このような地道な努力が高い利益率につながっています。

・ セグメント別の売上では、各期各分野ともバランスのよい比率を維持し、売上を積み上げています。

・ 直近の株式状況では機関投資家が増えており、株主数は若干減少傾向にあります。大株主の状況は、会長の神山茂が筆頭株主となっていますが、その他、東京海上、第一生命、日本生命などの各社に支えていただいています。

・ 当社は株式を長期保有していただくことで、株主様にメリットを享受いただきたいと思います。そこで1株当たり30円の配当を続け、安定的な経営を目指しています。

IT企業の中でもボラティリティーが相対的に低く、平成29年10月20日の終値は1,336円です。

・ 当社はCMMIレベル5に裏付けられた技術力を持ち、ソフトウェア開発に資源を集中。徹底的な定量管理をし、「人が財産」と考え、オープンな評価制度を導入。チームの合議制で評価を判定しています。さらに長年の実績により、大企業を中心とした信頼関係を築いています。今後も当社の強みを活かした事業を継続して参ります。

 

7.質疑応答

Q1. フランスの子会社の現状をお聞かせください。縮小傾向にあり、再挑戦の機会を狙っているとのことなので。

A1. フランスの子会社は、約10年前に画像認識をするLTU Technologiesという会社を買収し、フランスの子会社としてずっとマネジメントしてきました。技術的にはすぐれているのですが、民生のアプリケーションとしてユニークな使用事例を獲得に苦労し、10月2日にフランスのDigital Packagingに売却しました。この事業に取り組むことで、パッケージの開発や販売の長所短所、難しさ、海外の起業家や投資銀行との人脈が得られ、具体的なノウハウを蓄積することができました。次のステップとしては、どこか1社を買収するのではなく、国内外で新しく起業した技術企業と資本提携や戦略的提携を結び、技術を取り込み、当社のシステム開発の顧客へのサービスの質と価値を向上させたい。プロジェクト当たりの売上の拡大につなげたいと考えています。

 

以 上

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