リオン株式会社(6823)
開催日:2017年9月23日
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長 清水 健一 氏

 

1. 会社概要
・ 社名はカタカナでリオン株式会社です。理学の“リ”と音響学の“オン”の「理音」をカタカナで表記しました。当社の公式マスコットは「ピクシーくん」です。補聴器の名前をつけた犬型ロボットで、本社がある東京都国分寺市で1955年に糸川英夫博士による日本初のロケット発射実験が行われたことに由来し、ロケットの形をしています。
・ 1940年に創立者の小林采男が「小林理学研究所」を設立しました。小林采男は弘法大師(空海)にあこがれ、世の中の困っている人たちを救う宗教家を目指していました。東京帝国大学で物理学を学んで科学者となり、物理の力を借りて困っている人の悩みを解決したいと考えていました。しかし、結局僧侶にはならず実業家であった家を継ぐことを優先し、世の役に立つ研究所を創立しました。それが現在も当社敷地内にある小林理学研究所です。
・ 小林理学研究所では音、振動、物理を研究しています。研究結果を製品にするため、1944年に「株式会社小林理研製作所」を設立し、1960年に現在の「リオン株式会社」に社名変更しました。
・ 同研究所は様々なものを開発し、日本初・世界初の製品を多く生み出しています。1948年に日本初の量産型補聴器を開発しました。
・ 日本初の製品には小型騒音計(1955年)、微粒子計測器(1977年)があります。また、世界初の補聴器に、防水耳かけ型補聴器(1986年)、フルデジタル補聴器(1991年)、防水型オーダーメイド補聴器(2005年)があります。現在、世界中で使用されているデジタル補聴器は、当社製が最初です。オーダーメイド補聴器は、一人ひとり異なる耳の型をとって作成します。世界初の生物粒子計数器(2011年)は、単なる埃なのか生物なのか、無機物か否かを判定できる技術を用いています。
・ 近日発売予定の軟骨伝導補聴器も世界初の最新技術を用いています。イヤホンの代わりに振動子を耳の入口につけると音が聞こえます。耳の穴を塞がず、鼓膜を震わせて音にします。耳の穴が塞がっている外耳道閉鎖症は、これまでは手術で頭に穴を開けて、機械を振動させる必要がありました。しかし、軟骨伝導補聴器は耳の外側につけるだけで音が聞こえます。
・ 「リオンは全ての行動を通して人へ 社会へ 世界へ 貢献する」ことを企業理念にしています。創業者の僧侶になりたかった気持ちを、様々な新製品に生かしています。
・ 当社の事業は2つに分かれています。医療機器事業は、補聴器と耳の検査をする医用検査機器を扱う領域です。人間ドックの聴力検査で使用するオージオメータの多くは当社の製品です。環境機器事業は、音響・振動計測器、目に見えない小さな埃を測る微粒子計測器を扱う領域です。2017年3月期の連結売上高の約半分を補聴器が占め、残りの約半分を計測機器等が占めています。
・ 補聴器、医用検査機器、音響・振動計測器、微粒子計測器の4つの製品分野の全てで、当社は国内トップシェアを誇っています。補聴器は国内の約25%、聴力を検査する医用検査機器は約70%を当社製が占めています。騒音や振動を測る音響・振動計測器と、埃を測る微粒子計測器はともに約60%が当社製です。全製品がニッチな分野のトップであることが当社の特徴です。

 

2.事業紹介@ 医療機器事業
・ 当社は補聴器や医用機器で社会に貢献しています。2017年8月、最新の耳かけ型補聴器「リオネット」を発売しました。耳の後ろに機械が隠れるスタイルです。これまでの補聴器は全て肌色でしたが、現在は個性を表現する小道具として、赤色や青色などの補聴器が販売されています。
・ 補聴器の内部には様々な機能があります。ただ音を大きくするだけではなく、高音が聞こえにくい人や低音が聞こえにくい人など、使用者の状態に合わせて補聴器の中で常に計算をしています。補聴器の中で音の高さや性質により様々な処理をし、そのシーンで最もよい状態になるよう補聴器が調整をしています。
・ 補聴器は医療機器であり、ただ音を大きくするだけの集音器とは異なります。薬事法により様々な規制があります。音を大きくすると耳に悪い場合もあります。また、病院で治る難聴もあります。補聴器は必ず医師に相談して使用することが望ましいものです。
・ 当社の補聴器は専門店で販売します。眼鏡を売る傍らで補聴器を扱うのではなく、専門店で補聴器の専門家が一人ひとりの耳の聞こえ具合に合わせます。補聴器は調整が命です。当社の強みは専門店による販売で、それがトップシェアを維持している理由の1つです。
・ 補聴器の電池は小さく、プラスかマイナスかを判別しにくいものです。当社の補聴器は「おまかせ回路」が搭載されており、プラスでもマイナスでも電池さえ入れれば動きます。これも他社にはない当社独自の機能です。
・ 当社の補聴器は水に強く、補聴器をしたままプールで潜ることもできます。温泉に入って話をするときでも、水に濡れることを全く意識しないで使用できます。
・ 当社のもっとも大きな強みは、医療機関との関係です。医師は医学生時代に、病院で当社製の機械を使って耳の勉強をします。オージオメータと補聴器の両方を製造する会社は当社以外になく、耳鼻科の医師にとって親しみのある会社です。当社は医師とともに、補聴器やオージオメータに関する様々な規定等に取り組んできたメーカーです。
・ 人間の耳は加齢とともに徐々に衰えます。60歳頃は、まだ補聴器を使うほどの問題はありません。しかし、オージオメータで測ると聴力のピークは20歳頃で、その後人間の耳は悪くなっていきます。普通の会話は問題なくても高い音は聞こえません。コンビニエンスストアの前に集まる若者を排除するために、蚊が鳴くような高音のモスキート音を出す機械がありますが、これは若者にしか聞こえません。若者はその音を嫌いコンビニエンスストアに近寄ってきませんが、普通の大人には聞こえないので気になりません。若者が聞こえる音が、年を重ねると徐々に聞こえなくなります。補聴器を使い始める年齢で一番多いのは75歳です。75歳を超えると、約半数の人は補聴器を必要とする段階に入ります。
・ 当社のユーザーの大部分はシニア層です。内閣府の「高齢社会白書」で75歳以上の人口の推移を見ると、2055年頃までは市場は膨らんでいくものと考えています。
・ 当社は生まれつき耳に障害がある人、特に聾学校に通う児童に向けても補聴器を製造しています。当社は子ども専用の補聴器を提供して社会貢献しています。価格はなるべく安価に設定し、保護者の負担にならないようにしています。
・ ベトナムでも支援を開始しました。ベトナムは日本に比べて難聴者の割合が多い国です。当社はベトナムに耳の検査をする聴覚センターを設立し、難聴の対策に取り組んでいます。

 

3.事業紹介A 環境機器事業
・ 環境機器事業の社会貢献として、地震計を製造しています。気象庁が震度を発表する地震計ではなく、実際に新幹線や発電所を止めたり、電気の供給を安定化させたりする、制御のための地震計です。
・ 飛行場周辺では航空機騒音を24時間計測し、くらしを航空機による騒音から守ります。
・ 埃を測る微粒子計測器は、半導体工場では必要不可欠な製品です。当社の微粒子計測器は、世界最大の半導体メーカーである台湾のTSMC、韓国のサムスン電子、アメリカのリンテックで使用されています。
・ 目に見えない小さな微粒子が混入するだけで半導体は使い物にならなくなります。そのため、半導体メーカーはゴミや埃を気にします。当社の微粒子計測器はPM2.5よりも小さな粒子を計測できます。現在、当社はアメリカにある1社と、いかに小さい粒子を検出できるか競争しています。
・ 国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」でも当社の微粒子計が常に空気の清浄度を管理しています。目立たない場所で当社の製品は活躍しています。

 

4.業績の推移
・ 2017年3月期は売上高191億円、営業利益率9.7%、ROE8.0%となりました。2020年3月期までの3年間で、営業利益率15%、ROE10%超を目指しています。
・ 当社は急速に発展、拡大する会社ではありませんが、世に必要とされる社会貢献を続けています。それが世の中から認められて、安定的に成長していくことを考えています。
・ 配当金はゆっくりしたペースですが、最終利益である当期純利益が増える割合に応じて徐々に増配をしています。2017年3月期は、前期の最終利益をやや下回ったため増配しませんでした。減配は極力しない方針です。
・ 2018年3月期第1四半期決算短信では、通期の最終利益の予想を17億円と発表しました。下期も順調に推移すれば、1株当たり配当金は年間30円が可能と予想しています。

 

5.株主還元策
・ 当社は株主様向けの様々なイベントを行っています。なかでも会社見学会は好評です。当社には、音に関する開発のために、全く音のしない音響室があります。音響室の見学では真に音がしないことを体感しますが、実際には「シーン」という音がします。この音はよく漫画に出てきますが、自分の体の中の血液が流れる音です。当社の音響室は、何の音も耳に入ってこないと、「シーン」という音が聞こえる不思議な部屋です。
・ 株主様向けアンケートの回答者には粗品を進呈しています。
・ 株主総会等で補聴器関連の質問が多いため、補聴器専門の説明会「はじめての補聴器講座」を年2回開催しています。開催場所は東京と地方で1回ずつ行います。
・ 当社は株主優待制度を導入しています。リオネット補聴器購入割引券と「ジェフグルメカード(食事券)」を、保有株式数に応じて贈呈しています。

 

6.質疑応答
Q1.業界の位置づけについて教えてください。
A1.当社は4つの製品ジャンルがあり、製品ごとに業界内での位置づけが変わります。まず、補聴器は国内トップシェアです。また計測器は、騒音や振動は法律で規制されていてJISやISOの規格があり、当社は規格を設定するための委員会に出席しています。例えば、騒音に関する法律であれば、大学教授や騒音を発生させる側の高速道路、鉄道、飛行機の関連会社が議論をします。当社は、そこで騒音の測定方法を説明します。その結果、様々な規則が成立しますが、基本的に当社の製品仕様に合わせた法律となります。法律の施行と同時に、市町村、都道府県、国のそれぞれの機関で騒音計や振動計が必要となり、当社製品が購入されます。これが業界内での当社の大きな強みになっています。微粒子計については、原理的にはレーザー光線を使っています。レーザー光が埃にあたって跳ね返る原理で埃を測っていましたが、空気中の埃は大きすぎて測れないことがわかりました。機械で測れる大きさを市場調査したところ、半導体になりました。半導体メーカーは逆に埃で困っていたため、当社の製品が使用され、世界中に広がっています。現在、世界で半導体微粒子計測器は、当社とアメリカのPMSの2社でほぼ寡占状態です。

 

Q2.医療費控除について教えてください。
A2.補聴器は保険対象ではありません。しかし、耳鼻科の医師が補聴器が必要であると判断して指示した場合は、医療費控除の対象となります。ぜひ補聴器を使用される前には、耳鼻科の医師に相談してください。税金対策の上でも有効です。

 

Q3.リオネット補聴器を愛用して2年になり、調整士の方に助けられています。社名のリオンがリオネットの会社とは最近まで知りませんでした。株主を増やすためにも社名をリオネットとすることを検討していただけませんでしょうか。
A3.リオネット補聴器をお使いいただきありがとうございます。社名についてはよく社内でも意見が出ます。当社は2つの事業があり、その性質から社内で必ず意見が分かれます。昔からリオンだからとこだわる意見も多く、社名はリオンのままになっています。しかし、リオネットに社名変更をするかどうかの議論はまだ続いており、何年か後には、リオネットとリオンの2社に分かれているかもしれません。環境機器のユーザーには、リオンという社名の方がよいと言われます。4つの製品のユーザーがそれぞれ違い、経済環境も異なります。半導体メーカーの状況は半導体の需要により変化し、補聴器の状況はユーザーの年金や収入等の要素で変化します。多く売れる原因や、売れなくなる要因が各製品で違います。今期(2018年3月期)は微粒子計測器が売れ、補聴器が少々苦戦をしています。しかし、補聴器は2017年8月に新製品を発売したので、これから盛り返すかもしれません。複数の製品を展開していることが、会社の業績の安定化に役立っていると考えています。

 

Q4.聞き分けの技術開発について、デンマークやアメリカの有力会社のうち、どこが最大のライバルですか。
A4.世界には補聴器を作る6大メーカーがあります。デンマークには3社あります。ドイツはシーメンス、スイスはフォナック、アメリカはスターキーです。世界の6大メーカーに、実は当社は入っていません。当社は日本では認められ、国内ではトップシェアですが、世界の補聴器のシェアで当社のリオネットは3%程度に過ぎません。世界の競合他社と比べると、まだ小さな会社です。


Q5.技術開発にはどのような人材を集めて、またどのような工夫をされているのですか。
A5.当社は2011年に東京証券取引所市場第一部に上場しました。上場後、当社に応募する学生は、それまでの学生とはだいぶ違うように見えます。実は上場以前のほうが当社をよく知っている学生の応募が多かったのです。上場後は説明会にも大勢集まりますが、当社をよく知らない、志望理由もはっきりと言えない学生が増えました。当社が求める人材、もしくは当社で働きたい人材を面接でなかなか見抜くことができず、選別では苦労しています。

 

Q6.私は現在、突発性難聴で左の耳が軽度の難聴と診断されました。薬を飲んでもなかなか回復しません。もし薬の効果がなく、聞こえにくいままだった場合、補聴器をつけると聴力は回復するでしょうか。
A6.突発性難聴は年齢に関係なく突然に起こります。時間との勝負と言われ、発症したらすぐ病院に行き薬を飲み始める、または入院して安静にして点滴を受けると1週間程度で回復をすることが多いです。治癒する可能性があるので、医師が無理だと判断するまでは薬を飲み続けるのがよいと思います。補聴器を使用するかしないかは医師と相談し、どうしても困るようであれば補聴器も1つの選択肢だと思います。使用される場合は、リオネットをよろしくお願いします。

 

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