安田倉庫株式会社(9324)
開催日:2017年9月23日
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長 藤田 久行 氏

 

1.会社概要
・ 本社は東京都港区海岸三丁目にあります。設立は1919(大正8)年で、まもなく100年を迎えます。資本金は36億210万円で、2017年3月末現在、従業員数は連結で1,019名です。
・ 当社は1919年に守屋此助が、安田善次郎の出資により興亜起業株式会社として設立しました。当初は中国の青島方面に進出しましたがうまくいかず、1923年、関東大震災で横浜が壊滅的な状態になったときに、守屋が埋め立てた土地(現・守屋町)の岸壁がしっかりしていたので、そこで復興資材の荷揚げをすることになり、倉庫を建てて倉庫業を始めました。それ以来これを本業にしてきましたが、その後事業を拡げ、現在国内に関係会社8社、海外は中国とベトナムに現地法人3社を有しています。
・ 1999年に東京証券取引所市場第二部に上場、2005年に同市場第一部に上場しています。信頼・創造・挑戦の3つの言葉を旗印にして事業を行ってきました。
・ 北海道、首都圏、関西圏に倉庫の国内ネットワークを持ち、2017年夏、新たに九州は福岡に拠点をつくりました。
・ 北海道は、函館に安田が当時所有していた倉庫を引き継いでいましたが、北方漁業の衰退などで経済が衰退し、拠点を札幌に移しました。札幌市に4カ所、石狩市に1カ所営業所があります。倉庫の跡地は再開発してホテル「ラビスタ函館ベイ」を建設し、温泉と朝食の美味しさで大変好評です。
・ 首都圏にはほぼまんべんなく拠点を配置しています。さらに、内陸部の、物流で非常に注目されている首都圏中央連絡自動車道沿いに積極的に拠点を増やしています。
・ 東京都は芝浦営業所、板橋営業所、八王子営業所、大井に営業所が2カ所、平和島に2カ所、営業所と倉庫があります。
・ 神奈川県は、当社発祥の地である守屋町営業所をはじめ、横浜港の大黒ふ頭に大黒流通センターと大黒営業所、新山下営業所、本牧営業所のほか、厚木営業所、川崎市に東扇島営業所を配置しています。
・ 千葉県には柏営業所、埼玉県吉川市にはメディカル物流ユニット東京物流センター、埼玉県加須市には首都圏文書・情報管理センターが2つあります。
・ 関西圏では、大阪府茨木市に2カ所と、大阪市住之江区の港の側に大阪営業所があります。九州の新倉庫・九州営業所は、福岡県大刀洗町という高速道路脇の立地の良い場所に建てました。
・ 倉庫の面積によって商品の取扱量、ひいてはビジネスの規模が変わってきます。当社は一歩一歩着実に規模の拡大を図ってきました。2018年3月期末に予想される当社の倉庫面積は、所有と賃借を合わせ47万8,000u(14万4,000坪)です。
・ 取引先の家電メーカー等は戦後海外へ進出しましたが、当時の当社には追随して海外進出の体力がなく、出遅れました。しかしその分、経済力が向上し市場が非常に拡大した中国に注力して進出することができました。現在、中国には多くの拠点を置き、人も多数配置しています。上海郊外の青浦(チンプー)区に2017年新たに倉庫をオープンし、その隣にさらに大きな倉庫を建設中です。
・ インドネシア・ジャカルタの駐在員事務所を現地法人化するための手続きを進めており、2017年内には現地法人となる予定です。

 

2.事業内容
・ 当社は今や倉庫業の比重がかなり小さくなり、端的に言えば物流企業に変わってきています。当社における物流とは、海外の製品を輸入して国内に配達することですが、その途中に検品・保管・在庫管理・流通加工・配送/通関など様々な工程があり、当社はこれを一貫して行っています。事業内容は「国内物流サービス」「メディカルサービス」「ITサービス」「オフィスサポートサービス」「海外・国際物流サービス」「不動産サービス」の6つに分かれ、倉庫業は「国内物流サービス」の一部となっています。
・ 「国内物流サービス」では、保管・入出庫、在庫管理、複数拠点の在庫一元管理、検品、流通加工、共同配送を行います。流通加工では、工場ではできない最終ラインの作業について様々な要求に応えています。共同配送では、当社子会社である安田運輸株式会社のトラックで西日本を中心とする全国に配送しています。
・ 「メディカルサービス」にも様々な分野があり、医薬品の保管・配送を大掛かりに行っています。医薬品は温度を管理できる冷蔵庫のついた専用トラックで運んでいます。また、免震設備のある自動倉庫を埼玉県吉川市で運営しています。
・ 一般的に企業では、個人個人にパソコン(端末)が支給されますが、その使用開始に際して各々の会社独自のソフトをパソコンに搭載する作業が必要です。当社では「ITサービス」の1つとして、工場から製品を受け取り顧客会社に配るまでの間に、倉庫内でこの「IT機器キッティング」という作業を行います。また、コンビニエンスストアや銀行にあるATMも運搬だけでなく、その際に様々なセットアップを施す「ATMキッティング」や回収・廃棄も行っています。
・ 「オフィスサポートサービス」として、事務所での様々な需要に、物流の側面からサポートを行っています。メインは文書保管で、当社全体で約150万文書をお預かりしています。その中から必要な書類を引き出して届ける「検索サービス」では、大手保険会社の案件を一手に請け負っています。文書電子化も手がけています。また、引越し、特にオフィスの引越しには相当数の実績があります。
・ 「海外・国際物流サービス」の特徴的なものの1つに「ハンガーコンテナ」があります。現在、国内衣料品メーカーの多くは、製品のかなりの部分を韓国、中国、ベトナム、インドネシア、カンボジアなど、海外で製造しています。それに伴い当社も海外展開を行っています。衣料品を日本に運ぶ際、箱に入れて運ぶとシワになるため、ハンガーに掛けた状態でコンテナ内にぶら下げて運搬します。この分野で当社はトップのシェアを持っています。
・ 当社の「不動産サービス」は、もともと倉庫だったものの環境変化により倉庫業がやりづらくなった場所の再開発というものがメインです。「ピアシティ芝浦ビル」や、横浜駅西口の「安田ビル」という名の一連のオフィスビル群などがこれにあたります。また、横浜市神奈川区の「守屋町C号ビル」は、外資系のお客様を中心に、単なるオフィスではなくショールームを兼ねたような使い方がされています。
・ 当社の特徴と強みは、首都圏で事業を開始し、戦後も長きにわたり首都圏にモノとカネとヒトが集まる状況が続いたことが追い風となり基盤を築いたことです。消費地に拠点を持つことで、最適なロジスティクスが可能となっています。
・ サービス品質には自信を持っています。精密機器の大手企業数社が輸入する高付加価値製品を取り扱っており、ノウハウを蓄積していることが高品質のサービスにつながっています。

 

3.業績の概要
・ 2017年3月期は、営業収益(売上高)406億8,600万円、最終利益である当期純利益20億8,400万円となり堅調でした。事業別営業収益構成比では、物流事業が87.9%、不動産事業が12.1%ですが、営業利益構成比では物流が64.1%、不動産が35.9%となっています。
・ 2018年3月期は増収にはなるものの、様々な新設備の稼働で費用がかかり、利益は若干減少すると予想しています。

 

4.中期経営計画2018(2016年4月〜2019年3月)
・ 現在3カ年計画の2年目です。「『お客様のビジネスをサポートするグローバルな物流会社』としてお客様と共に成長する」を基本方針に、最終年度に営業収益480億円、営業利益30億円、経常利益32億円達成という数値目標を掲げています。
・ 基本戦略として、事業基盤の拡大を図り、配送サービスについても運送会社に負けないネットワークづくりを目指します。海外の拠点を活かして国際物流サービスを拡大し、不動産サービスへも投資を進めます。
・ 当社はメディカルサービスの一環として、倉庫の中で医療機器製造業務を行います。そのため「医療機器製造業」の登録を行いました。平和島営業所第二倉庫および九州営業所はメディカルを中心に営業を推進しています。
・ 中国(上海)では1号倉庫開設に続き、約7,850坪の2号倉庫に着工しています。中国では依然として良い倉庫が足りず、日系顧客を中心に売り込みを図っています。
・ 不動産案件では、「TVPビル」という守屋町営業所に隣接する既存施設を持ち主からの申し入れで当社が買い取り、テナントビルとして運用しています。
・ 横浜市神奈川区鶴屋町にいくつかの土地を所有しています。現在、そのうちの敷地面積約500坪の土地を再開発して、ホテルを建設しています。ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」等を傘下に置くロイヤルホールディングス株式会社の系列である「リッチモンドホテル」が入り、2018年早々オープンの予定です。

 

5.株式情報
・ 1999年6月に東京証券取引所市場第二部に上場したときの初値が770円で、当社株価は長期間にわたり日経平均株価の上昇率を上回っていましたが、直近ではすり寄ってきて、2017年9月7日時点では790円となりました。9月22日終値は834円と、やや上昇していますが、PBR(株価純資産倍率)は約0.39と割安です。
・ 2018年3月期の配当金は、過去5年間と変わらず、中間7円、期末7円の年間14円という安定配当の維持を予想しています。
・ 株主優待制度として「おこめ券」を保有株式数に応じてお配りします。また、株主の皆様には「ラビスタ函館ベイ」のご宿泊優待券をお配りしています。
・ 当社ホームページをぜひ一度ご覧ください。デザインを一新して、大変見やすくなっています。

 

6.質疑応答
Q1. 中国で事業展開をされていますが、日本と同じレベルのサービスを提供できているのでしょうか。
A1. 新倉庫を建設中ですが、既に中国国内業者の倉庫を借りて営業しています。顧客は、もともと使っていた中国の倉庫会社を当社に切り替えた日系企業で、「日本と同じレベルで」との強い要望をお持ちです。ベテランを相当数送り込み、日本と同じサービス手法で運営しますが、一方、システム等は実は中国の方が進んでおり、日本とは対照的に人材も豊富で、臨機応変にシステムをつくることができるため、中国のシステムを導入しています。顧客からは「非常に良いサービスを安田がやってくれた」との評価をいただき、日本と同じないしはそれ以上のサービスを中国で実現できたと自負しています。

 

Q2. 同業他社と比べた場合の貴社の優位性は何でしょうか。また弱みはありますか。
A2. 強みは拠点が集中して首都圏にあることで、その中で高付加価値の商品を扱ってきた歴史があり、品質には定評があると思っています。弱みとして、当社が克服しようとしているのは配送事業です。物流といえば誰もが思い浮かべる「宅配」は、ヤマト運輸株式会社の元社長、故・小倉昌男氏が構築したシステムで、その分野でヤマト運輸は既に先に進まれていますが、当社は企業向け分野で配送を確立しようとしています。例えば、非常に高価な医療機器を運ぶことはヤマト運輸にはできませんが、当社はエアーサスペンション・空調付きのトラックで運送できるため、これが強みと言えます。このようなことに特化して、隙間事業に参入していこうと考えています。

 

Q3. 素人なので初歩的な質問をします。倉庫会社と輸送会社とはどのような線引きがあるのでしょうか。また、お客様によってさまざまな線引きがされているということでしょうか。
A3. 両者はお互いに侵食して乗り込んでいます。広大なトラックターミナルの上に倉庫を設営して商品を保管し、技術加工を行って下のトラックに積む事業に佐川急便株式会社も注力するなど、境界が次第になくなりお互いにライバルになっています。とはいえ、当社が取り扱う品物の配送は、当社だけではできません。運送・輸送会社と密接にタッグを組み、相乗りをしている状況です。

 

Q4. 主体の業種は何ですか。対象品は何が多いのでしょうか。業種別にビッグ3を教えてください。
A4. 売上で一番多いのはメディカルで、薬と医療機器と2つの分野がほぼ同じぐらいのシェアになっています。薬は今、ジェネリック薬品が発売されるなど逆境にあり、コストの削減要請は非常に強いですが、これからはそのような薬の需要が増えると思われます。次に多いのは精密機器で、コンピュータをはじめATM、半導体製造装置なども預かっています。3番目は家電製品で、輸入家電の有名企業の製品を多数取り扱っています。

 

Q5. BCP(事業継続計画)の観点からメディカル倉庫以外の倉庫の地震や津波の対策、また取り組みなどはどのように対応していくのか、お聞かせください。
A5. 地震、津波、台風から日本は逃れることはできません。これらを想定してBCPを策定していますが、最も重要なのは施設です。壁は地震に負けないよう厚く、基礎は岩盤まで打って5トン、10トンの床荷重に耐えられるようにしてあり、阪神淡路大震災、東日本大震災でも、地震の揺れによって倉庫が倒れることはありませんでした。津波については、海に近いところに倉庫があるので、非常用発電装置などは上階に設置し、1階は商品の保管場所としない配置をしています。

 

Q6. 事業別売上シェアが12%程度の不動産事業が、営業利益の35%強を占めていることを考えると、不動産事業にもう少し重点を置いた方がよいのではないかと思います。その点どのようにお考えでしょうか。
A6. 当社の不動産事業は、もともと倉庫があった場所の周りにマンションや駅が建つなどして環境が変わったときに、倉庫業に見切りをつけてオフィスやマンションに建て替えるという事業です。地価の上昇や下降に追随して事業展開を考えていくことと、土地を購入して少なくとも60年もつ倉庫を建てて長年にわたり保管するという当社の主義とは相容れません。とはいえ、周囲の環境が変わった場合は、臨機応変に合わせていきます。横浜駅前にもこうした経緯でホテルを建て、函館も明治初期にできた倉庫をずっと使ってきましたが、しかるべきタイミングで取り壊してホテルにしました。非常に息の長い事業の一環として、不動産事業を考えています。

 

Q7. 中期経営計画では、物流施設の状況によって国内適所に物流施設を開設されるとのことですが、九州営業所のほかに、現在開設に向けての動きはあるのでしょうか。
A7. 九州営業所の開設によって北海道から首都圏、関西、九州と、全国に一通り拠点が出来上がりましたが、当社が注力しようとしているのは首都圏です。首都圏には現在、物流不動産会社が非常に大きな施設をつくっており、今後も増えていくと思われます。これと真正面からぶつかるつもりはありませんが、対抗して当社も増やさなければと内陸部に2カ所ほど目星をつけ、次の中期経営計画の中で実現化を図っています。今後も新規開設を進めていきます。

 

Q8. ここ数年設備投資額が増えているようですが、今後の投資計画をお聞かせください。
A8. 2016〜2017年は、営業収益400億円規模の会社にしては設備投資が膨れ上がっていますが、様々なプロジェクトが重なった結果で、計画通りです。物流業・倉庫業はあまり利益率の高いビジネスではないので、伝統的に財務状態、キャッシュ・フロー等様々な面を勘案しながら慎重に進めてきました。しかし、首都圏内陸部への集中的投資については、ここで行わないと負けてしまうという思いがあり実行しました。不動産についても開発の余地は残っているため、よい案件を常に探し、タイムリーに推進していきます。設備投資は今後も積極的に行うつもりです。

 

Q9. 貴社にとっての企業戦略でM&Aをこの先行う計画がありますか。
A9. 当社はここ10年間で3〜4件のM&Aを実施しています。M&Aは当社が進める事業の役に立たなければ全く意味はなく、会社を大きくするための買収ではありません。したがって対象の選択肢は非常に狭くなります。この3年の間に運送会社1社をM&Aし、それにより九州までの共同配送が実現しました。これは当社の物流にとって大きな力となりました。その前は航空貨物会社を買収し、国際物流のメニューが増えました。物流関連の近隣の会社で適したものがあれば、慎重に検討したうえで進めていきたいと考えています。

 

Q10. 将来的にはどのような会社でありたいと思われますか。
A10.「安田」という名前をご存じの方が多いこと、また、三菱、住友、三井といった同じ財閥系で昔から上場して隆々と事業展開されてきた企業に比べると規模もネットワークも小さいことからも、「上場しなくていい」という社内の雰囲気があり、当社は長い間上場しませんでした。しかし、ある時チャンスが巡ってきて上場してみると、人材採用状況が一変し、1,000人単位で応募がくるようになりました。「倉庫屋だから裏方でいい」ではなく、本来のサービスを行うことでお客様に満足いただき、それで社会に認知される存在になる、そのことによって社員の働き甲斐をつくっていく、それが将来像だと思います。

 

以上

 

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