東急不動産ホールディングス株式会社(3289)

開催日:2017年9月9日

場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)

説明者:代表取締役社長 大隈 郁仁 氏

 

1. 会社概要

・ 当社は、東急不動産株式会社、株式会社東急コミュニティー、東急リバブル株式会社の上場会社3社が経営統合して、2013年10月に新規上場した持株会社です。

・ 当社の属する東急グループは「美しい時代へ」をスローガンに掲げ、交通、不動産、生活サービス、ホテル・リゾートなど、幅広い事業を展開しています。

・ 東京急行電鉄株式会社が当社の株式を約16%保有する持分法適用会社です。当社自体は持株会社であるため、従業員数は52名ですが、東急不動産ホールディングスグループ全体では約2万人の従業員を抱えています(2017年3月末日現在)。

・ 東急不動産ホールディングスグループは、持株会社である当社の下、東急不動産株式会社、株式会社東急コミュニティー、東急リバブル株式会社、株式会社東急ハンズ、東急住宅リース株式会社、2016年11月に買収した株式会社学生情報センターの主要子会社6社と、100社を超える各々の関連会社で構成されています。

・ 東急グループの不動産事業は、1918年に渋沢栄一らによって設立された田園都市株式会社が原点です。その後、東京急行電鉄株式会社が誕生し、1953年にその不動産部門が独立し、五島昇を初代社長として、東急不動産株式会社が設立されました。

・ 1970〜80年代は、高度経済成長を背景に、ライフスタイルを創造する「生活総合プロデューサー」として事業の多角化を推進しました。管理業や仲介業、小売業、スポーツクラブ、リゾート事業などに進出し、現在の中核会社である株式会社東急コミュニティー、東急リバブル株式会社、株式会社東急ハンズもこのころ設立されました。

・ 1990〜2000年代は、バブル崩壊の危機を乗り越えるべく、それまでの宅地開発による住宅開発事業から、景気の影響を受けにくいオフィスや商業施設などの賃貸事業を中心とした都市開発事業へ軸足を移し、収益構造の転換を図りました。

・ 現在は引き続き都市開発事業での収益基盤強化を図りつつ、2012年と2013年には新しく2つのREITを上場しました。また、2013年には東急不動産ホールディングス株式会社を設立し、グループ内で重複していた賃貸住宅事業を統合することで経営基盤を整備・強化しています。

・ 2016年にはグループの総力を上げた大型商業施設、東急プラザ銀座を開業しました。当社は、これからも時代の変化を先取りし、「グループ共創」による力強い成長をめざしています。

 

2. 事業紹介

・ 当社は、7つの事業で幅広くビジネスを展開しています。オフィスビルや商業施設の開発・賃貸を行う都市事業、マンション分譲の住宅事業、マンションやビル等の管理受託を行う管理事業。不動産の仲介業務等を行う仲介事業。ホテルやシニア住宅の開発・運営を行うウェルネス事業の5事業をコアに、ハンズ事業、次世代・関連事業(海外事業)を展開しています。

・ 都市事業では、主にオフィスビルと商業施設の開発・賃貸を行っています。当社のオフィスビルには3つの特長があり、それを活かすことで低い空室率を維持し、安定したポートフォリオを構築しています。1つめの特長は、東京都心にあることです。東急グループの本拠地がある渋谷区を中心に千代田区、中央区、港区の都心4区に当社オフィスビルの約8割が集中しています。2つめの特長は、築年数の浅いビルであることです。2001年以降に竣工した物件が過半数を占めます。3つめの特長は、1〜2万uの中規模かつ高スペックな物件であるということです。オフィスビルとして、テナントの代替性が高いビルを中心に保有しています。

・ 商業施設は、28棟を展開しています。代表的な物件は、東京エリアの「東急プラザ銀座」、「東急プラザ表参道原宿」、「キュープラザ原宿」、大阪市阿倍野の「あべのキューズモール」などで、首都圏・近畿圏を中心に、街の拠点として集客力を持つ商業施設を多数保有しています。

・ 都市事業では、こうした商業施設やオフィスビルなどの優良資産を活用して、積極的に不動産運用ビジネスも取り組んでいます。当社はREITを広義のグループと位置づけており、REITが保有する資産を含めた関与アセットの拡大も経営戦略の1つです。当社が関与している投資法人は、オフィスビルや商業施設を主な投資対象とするアクティビア・プロパティーズ投資法人、賃貸住宅を主な投資対象とするコンフォリア・レジデンシャル投資法人、機関投資家向けの非上場の私募REITであるブローディア・プライベート投資法人の3つです。

・ 住宅事業では、「BRANZ」のブランドで首都圏や近畿圏を中心に年間2,000戸規模でマンション分譲事業を展開しています。近年の代表物件には、横浜の「ブランズタワーみなとみらい」、千代田区一番町の「ブランズ ザ・ハウス一番町」、大阪市の「ブランズタワー御堂筋本町」があります。現在、マンション価格は上昇傾向にありますが、立地や商品企画に優れた物件の販売は、人気も高く好調です。今後もこの景況は続くと考えており、当社は都心部を中心に厳選した土地取得に取り組んでいきたいと考えています。

・ 管理事業は、株式会社東急コミュニティーがマンションやビル管理、公共施設の管理を行っています。2016年度には、マンションの総合管理戸数が51万戸を超えました。ほかにも、参議院議員会館や運動公園、空港などの公共施設および商業施設の管理も受託しており、あらゆるアセットタイプの管理に対応できる会社として業界No.1のポジションを確立しています。

・ 仲介事業として、東急リバブル株式会社が売買仲介や不動産ソリューション事業を展開しています。全国174ヶ所(2017年3月現在)のほか、海外にも売買・賃貸仲介ネットワークをもち、取扱件数は2016年度で約2万3,000件、取扱高も1兆円以上に達します。これは、不動産仲介業界でトップクラスの取扱規模です。

・ ウェルネス事業では、グループの保有アセットを活用して、ホテルやゴルフ場、スキー場、フィットネスクラブ「東急スポーツオアシス」、高齢者向け住宅「グランクレール」などの施設運営事業を幅広く展開しています。

・ 会員制リゾートホテルの「東急ハーヴェストクラブ」は、首都圏と関西圏を中心に全国で24ヶ所展開し、「東急ハーヴェストクラブ軽井沢&VIALA」が2018年7月に開業を予定しています。パブリックホテルは、大型ビーチリゾートホテル「ハイアット リージェンシー瀬良垣アイランド沖縄」を建設中です。都市型ホテル「東急ステイ」は、東京都内に17ヶ所、約2,400室の規模で展開しています。インバウンド需要も取り込み大変好調で、今後は、京都、博多、札幌など繁華性の高いエリアにも出店を計画、2020年には全国30ヶ所、約4,400室規模へ拡大をめざします。

・ ハンズ事業は、全国区で評価されている「東急ハンズ」を運営する事業です。2017年3月末現在、大型店舗(ハンズ業態)で全国に約46店舗を出店しています。2014年にはシンガポールにも進出しました。また、小型店舗の「ハンズビー」業態の新規出店など、着実に事業拡大を進めています。

・ 次世代・関連事業では、海外事業を中心に様々な取り組みを行っています。インドネシアの事業は、約40年前に戸建住宅を供給する事業から開始しました。現在は都心部において、国内と同じく「BRANZ」ブランドでマンション分譲事業を展開しています。アメリカでは現在、ニューヨーク・マンハッタンの一等地であるプラザ地区で、「425パーク・アベニュー」という大規模なオフィスビル再開発事業に参画しています。2019年の開業に向けて、プロジェクトを推し進めているところです。

・ 当社は、「働く」「住まう」「過ごす」といったあらゆる生活シーン、そして就学期からセカンドライフにわたり、各々のライフステージで不動産を中心としたサービスを提供しています。私たちの強みは、幅広い事業展開と豊富で長期持続的なお客様接点により、お客様のライフステージに合わせた商品、サービスをグループ全体で提供できることです。今後も、この強みを生かして、変化する社会課題に対応してまいります。

 

3. 中長期経営計画

・ 当社では、将来のありたい姿を「価値を創造し続ける企業グループ」と定め、「関与アセット拡大」と「新たな需要創出」をグループの基本方針とする中長期経営計画「Value Frontier 2020」を推進しています。2020年には、「広域渋谷圏構想」として東急グループが総力を挙げて取り組んでいる渋谷の再開発の大半が竣工もしくは稼働する予定で、渋谷駅周辺が大きく変貌を遂げます。そのため、当社の経済活動の節目を2020年としてゴールに設定しました。

・ 2017年にスタートした「中期経営計画2017-2020」 は、「Value Frontier 2020」 の後半期、STAGE 2と位置づけられます。STAGE 2では、利益成長と財務基盤強化の両立を図り、将来の新たな収益の柱の確立および安定的キャッシュフローの創出に向けた活動を推進します。

・ 「中期経営計画2017-2020」では、3つの成長戦略を策定しています。

・ 1つめは、「ライフスタイル提案型の街づくり」です。当社の保有物件が集積する広域渋谷圏構想や世代循環型の街づくりなど、点として1つの物件を開発するのではなく、面としての街づくりをめざします。

・ 2つめは、「循環型再投資事業の領域拡大」です。循環型再投資とは、自社で開発した物件をグループのREITへ売却し、その回収した資金で新たな不動産開発やその他事業に再投資する事業モデルです。今後は、投資するアセットの対象領域の拡大に取り組みます。従来のオフィスビルや商業施設、賃貸住宅に加え、ホテルや学生レジデンス、太陽光発電や風力発電といった再生エネルギーなども対象としたいと考えています。

・ 3つめは、「ストックの活用強化」です。フロー型社会からストック型社会への環境変化を捉え、管理事業および仲介事業を特に強化していきます。

・ これら3つの成長戦略への取り組みにより、収益水準を持続的に成長させながら、単なるハコやモノの枠を超えたライフスタイルを創造・提案することができる企業グループをめざします。

・ 広域渋谷圏構想では、「渋谷」の国際競争力強化に向けて、東京急行電鉄株式会社とともに5つの大型再開発プロジェクトを進めています。広域渋谷圏とは、渋谷駅を中心として表参道、原宿、恵比寿、青山を円で囲んだ、当社の主要物件の集積するエリアを指します。プロジェクトでは、単にアセットを保有するだけではなくエリアマネジメントや管理・運営を含めたソフト面においても東急グループの独自性を打ち出す街づくりを推進し、関与アセットの向上を図っていきます。

・ 当社が主体となるプロジェクトは、3つあります。旧・東急プラザ渋谷跡地の「道玄坂一丁目駅前地区再開発計画」は、2019年開業を予定しています。同じく2019年開業予定の「南平台プロジェクト」は、当社の本社跡地を含んだ周辺エリアの建て替え計画です。そして、渋谷駅南側の「渋谷駅桜丘口地区再開発計画」は、2023年開業に向けて進めています。

・ 東急グループは創業以来本拠地を渋谷に構えており、従来から渋谷を最重点エリアと位置づけて開発を進めてきました。ここは、1日あたり平均286万人の乗降客数を誇る渋谷駅を中心に高いポテンシャルをもっています。経済面では、株式会社サイバーエージェントや株式会社ディー・エヌ・エーといった勢いのあるIT企業の集積が進んでいます。周辺には代官山、青山といった豊かな住宅地も広がり、多くの大使館があるため外国人居留者も多く独自の街並みを形成しています。また、渋谷は商業・文化の一大集積地として多くの流行を生み出しており、日本のみならず世界へ向けた高い情報発信力があります。当社は、このエリアポテンシャルを活かし、街全体のさらなる活性化を促進していきたいと考えています。

・ 当社の幅広い事業領域を活かし、高齢者や子育て世代の抱える社会的課題に解決策を提示する試みとして、世代循環型の街づくりにも取り組んでいます。東京都世田谷区の「世田谷中町プロジェクト」と横浜市の「十日市場プロジェクト」において、分譲住宅とシニア住宅の複合開発により、多世代が交流できる街づくりを進めています。

・ 分譲マンションからシニア住宅への住み替えや、多世代の近居、地域に開かれた教養施設や保育園の設置など、地域社会とのつながりを育む街づくりによって、多様な住まい方や健康社会のニーズに応えていきたいと考えています。

・ 世田谷中町プロジェクトでは、“認知症に優しいデザイン”を取り入れたケア・レジデンスにおいて、英国スターリング大学認知症サービス開発センター(DSDC)のゴールド認証を日本で初めて取得しました。

・ 3つの成長戦略に加え、当社では持続的成長と長期的な企業価値向上を実現するためにESGマネジメントを推進しています。ESGマネジメントとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)における取り組みのことです。環境面では保有不動産からのCO2排出量の抑制、社会面では従業員の働き方改革の推進、企業統治ではコンプライアンスの強化などに積極的に取り組んでいます。こうした活動が評価され、複数のSRI(社会的責任投資)インデックスに組み入れられています。

・ 中期経営計画2017-2020の数値目標は、最終年度の2020年度において営業利益930億円、当期純利益420億円としています。

・ 当社では、財務基盤の強化を重要な課題の1つと考え、財務健全性の指標としてD/Eレシオ(負債資本倍率)の目標数値も設定しています。2020年3月期の目標は、2.3倍程度です。

・ 当社は、株主価値向上および自己資本の拡充に向けて当期純利益の安定的成長をめざすとともに、渋谷再開発など大型プロジェクトの稼働をむかえ、財務健全性の長期持続的改善およびキャッシュフロー創出力の強化も図りたいと考えています。

 

4. 2017年度(2018年3月期)の業績予想および株主還元策

・ 2017年度(2018年3月期)の連結業績は、営業収益8,400億円、営業利益735億円、経常利益640億円、当期純利益345億円を計画しています。当社は毎期の増益を続けており、今年度も順調に推移しています。

・ 自己資本は直近4年間で着実に積み上がり、自己資本比率およびD/Eレシオについても改善傾向にあります。

・ 株主還元については、安定的な配当を継続維持し、配当性向の目標を25%以上とする方針を掲げています。この方針に基づき、2016年度は年間で1株当たり13円の配当を実施しました。2017年度は1株当たり14.5円と5年連続となる増配を計画しています。

・ 2017年6月に開催した株主総会において、役員報酬の一部を株式報酬とする株式報酬制度の導入を決議しました。これにより株式価値と取締役等の報酬の連動性を明確にすることで、経営陣は株主の皆様と同じ目線でリスクを共有していこうという考えです。

・ 当社では、株主優待制度を導入しています。保有株式数に応じて半年ごとに、東急グループが運営するリゾートホテルやゴルフ場・スキー場、東急ハンズなどで使える優待券を発行しています。

・ 通常の優待制度に加えて、2016年6月から継続保有株主優待制度を新設しました。当社株式を3年以上継続して保有している株主さまに、保有株式数に応じた特製カタログギフトを進呈いたします。これにより、例えば1,000株を3年以上継続していただいている株主さまの利回りは、年間配当金と継続優待を合わせて2.9%程度との見込みです(2017年7月31日現在の株価662円で計算)。

 

5. 質疑応答

Q1.渋谷駅周辺の近未来図に興味があります。教えてください。

A1.現在、渋谷駅周辺の5つの大きな再開発プロジェクトに東急グループ全体で協力して取り組んでいます。渋谷の地形は地名のとおり谷となっており、街の一番低いところに渋谷駅が位置しています。そのため東西と南北の行き来には、いったん坂を下りてからまた上がる必要がある地形で、動線が非常に制限されています。当社では、今回の再開発にあたって渋谷駅の高低差を解消するデッキを造る計画です。これにより、渋谷駅から街の東西南北方向へフラットでスムーズな連絡が可能となります。また、東急東横線が地下にありますが、地下から地上への移動についても、縦動線を整備する予定です。デッキ上では、様々なイベントも行えるようにしたいと考えています。渋谷駅の自由闊達な雰囲気を壊さずに利便性の高い街となるよう、取り組んでいます。

 

Q2.積極経営で業績も良く、個人として高く評価しているが、市場の評価が良くない。なぜだろうか。

A2.当社の業績は、右肩上がりで着実に成長が維持されていますが、PBR(株価純資産倍率)は1倍を切る水準で、単純に考えると企業価値と見合っていない数字であると思われます。そうした市場の評価については、2018年から2020年にかけて多くのオフィスビルが供給される予定であり、供給過剰の懸念から不動産業界全般に対して不安感を抱かれているのではないかと考えています。しかし、渋谷エリアを事業の中心とする当社の場合は、需給の問題は当面当てはまらないと考えています。当社が集中的に展開する広域渋谷圏は、IT関連の会社が集積しているため、オフィスビルは不足している状況です。また、空室率が非常に低いエリアでもあります。現在進めている大型再開発プロジェクトにおいても、既に交渉中のテナント各社からの好感触を得ています。渋谷は若いクリエイティブな方たちが集まる街ということもあり、リーシングにも自信を持っています。

 

Q3.分譲マンションは価格が上昇し今後の販売に懸念があるという報道があるが、今後の価格や販売についてどのような見通しを持っているか。

A3.マンション全般については現在、供給量が減少傾向にあります。新築マンションは、都心の好立地なものに関しては坪単価1,000万円、グロス10億円クラスの高価格帯でも依然として需要があり、今後もこの傾向は継続すると考えています。その反面、いわゆる中間層、サラリーマン家庭の年収では手が届かないといった状況もあります。中間層向けのマンションについては価格設定も気を配る必要を感じています。当社は年間2,000戸程度のマンション分譲を行っていますが、今後も都心を中心とした好立地に厳選して投資を行う基本戦略を継続していきます。

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