参天製薬株式会社(4536)

開催日:2017年9月4日

場 所:大和コンファレスホール(東京都千代田区)

説明者:コーポレート・コミュニケーショングループ

    IRチーム マネージャー 櫻井 基雄 氏

 

1.会社概要と事業内容

・当社の基本理念は「天機に参与する」です。ここから参天製薬という社名がとられました。「天機に参与する」とは天や自然の考えに沿って行動していこうという意味です。天や自然は物を生み出すことはできるが、それを動かすことはしません。生み出された物を活用していくのは人間です。人間が物を生み出した天や自然の真意をくみ取ることで物の性質を最大限に活用し、世の中に貢献していくことができます。

・事業展開にあたり、割くことができる経営資源は限られています。限られた状況の中で、天や自然の意思をくみ取り、われわれの力を最大限に発揮していくにはどうしたらいいか、長い歴史の中で考え続けてきました。その結果、目という特定分野に力を集中することが一番という結論に達し、世界でも珍しい目に特化した企業としての道を進んでいます。

・1890年、大阪の道修町で創業しました。2017年7月に127周年を迎えました。

・1899年、大学目薬を発売しました。中身は変わっていますが、今でも売っている日本で最も古い目薬です。

・その後、全身の病気の薬もつくりましたが、1960年代に医療用眼科薬の製造販売を手がけたことを契機に、徐々に医療用眼科薬に特化するようになりました。

・1990年代以降、海外への進出も始めました。今では中国・韓国・シンガポールをはじめとするアジア地域、ドイツ・イタリア・イギリス・ロシア・北欧といったヨーロッパ地域にも拠点・現地法人を設けています。現在、世界約60カ国で当社の製品を販売。近い将来にはアメリカ市場に参入すべく、2017年度から準備を始めました。

・皆さまが初めに浮かぶ当社のイメージはサンテシリーズではないかと思います。リフレッシュにサンテFX、かすみ・疲れにサンテ40、アンチエイジングにも着目したサンテボーティエなど、目のいろいろな症状に効果がある製品を取りそろえています。一般用眼科薬市場ではシェア第2位です。

・実は医療用眼科薬が主力事業です。2016年度のグループ売上高の91%が医療用です。一般用は6%。医療用の市場では長らく1位を独占してきました。病院で処方される目薬の約半分が当社製品です。

・当社は製薬企業の中で、スペシャリティファーマという分類に属します。医療用中心で、全身の病気の薬を総合的に開発しているのがメガファーマです。対して、当社のように特定分野に特化して薬を開発している企業をスペシャリティファーマと呼びます。

・メガファーマやスペシャリティファーマは新薬の開発を中心に進めています。他社で特許が切れた製品の製造・販売を中心とするジェネリックファーマもあります。

・当社は国内医療用市場で40種類100製品以上を展開しています。他社が製造して、当社が販売しているものもあります。

・目薬の製造には、きれいな水を精製し、有効成分を安定的に溶かし続けておく技術が必要です。目薬を入れるボトルの技術開発も重要です。当社は他社がマネできない技術開発力を有しています。他社がなかなか参入できないので、自社の地位を守り続けることができました。

・その結果、日本の医療用眼科薬市場におけるシェアは眼科領域すべてで45.5%です。眼科薬には緑内障、網膜、角膜疾患(ドライアイ)、アレルギー、抗菌など5つの領域がありますが、2016年度は全領域でナンバーワンとなり、現在も維持しています。

・海外売上高比率は2016年度で27%を占めるに至りました。2013年度は16%でしたので、海外でも大きく成長してきたことがわかります。

・製品販売国は日本・アジア・ヨーロッパを中心に約60カ国です。それぞれの地域に向けて、日本・中国・フィンランドに4つの工場を持っています。日本には滋賀県と石川県の能登半島に工場があり、能登半島の工場は世界でも最大級です。

・グループの総従業員数は約3,700人で、国内・海外で約半分ずつの構成です。

・世界で最も大きな売上高をあげている製品がアイリーアです。加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫に効果がある注射剤で、2017年度の売上高予測は462億円です。

・アイリーアと抗アレルギー薬のアレジオンは日本だけの販売ですが、緑内障用のタプロスとコソプト、ドライアイ用のヒアレインとジクアス、抗菌用のクラビットなどはアジア・ヨーロッパでも展開しています。

・このように、主要領域のすべてで大きな売上高を持つ製品をそろえています。

 

2.眼科領域に特化することで獲得してきた強み

・当社は目の病気に苦しんでいる人の生活の質的向上を目指し、努力してきました。その結果、蓄積されてきたノウハウ、技術、その他目に見えない無形資産が強みとして存在しています。

・まずは開発力です。長年の研究開発を通じて、点眼薬の発展・向上に力を尽くしてきました。中身と同様にボトルも重要で、当社では少しでもさしやすいボトルを目指して何度もモデルチェンジを繰り返しました。ディンプルボトルが最新のもので、年をとって力が弱くなった方でも最適量の目薬が出る設計になっています。握りやすく、転がりにくく、キャップの色やラベルで複数の薬を使うときでも間違えない工夫がなされています。グッドデザイン賞も受賞しました。

・緑内障では1度に複数の目薬をさす必要がありますが、患者にとっては面倒で、間違えるリスクもあります。当社では複数の成分を1つにした配合剤をつくる研究も進めてきました。

・目の負担を軽くするためには防腐剤を使わないことが重要です。特にヨーロッパの眼科では、そのことが重視されています。防腐剤を使わなければ、コンタクトレンズをしていても使用できます。当社でも防腐剤フリーの目薬の研究を進め、その分野の先駆けとなりました。

・目薬は全身薬に比べてかなり小さな領域なので、他社が技術を開発しても採算がとれません。目に特化してきた当社だからこそ、蓄積できたノウハウです。

・当社の営業部隊は日本の眼科医全員にお会いしています。眼科や患者が何を求めているのか、どうすれば役に立てるか、常に生の声を聞いて営業活動を行っています。

・また、病気の早期発見、効果的な治療法に対する提案などを行うことで、関係する皆さまの満足度を向上させています。

・日本や韓国を除くアジアでは医療水準が低い国もあり、若い眼科医に、きちんと診断できる技術をお伝えする、眼科医育成活動も進めています。

・こうした強みがありますので、目に関することならば当社と事業をやろう、共同研究をやろうと、世界中の企業や機関から声がかかるようになりました。研究の成功確率を高め、研究期間を短縮し、開発費用を抑えられるなど、当社にとってはメリットがある体制を築くことができました。

 

3.成長戦略

・高齢化社会は当社に大きな影響を与えます。目は高齢になるほど確実に弱っていく器官です。高齢化社会では目の病気で苦しむ患者が増加します。

・現在、世界中で何らかの病気で視力障害を持っている方が2億8,500万人、そのうち完全に失明している方が3,900万人います。

・世界の眼科薬市場は2013年には2兆円でしたが、2020年には3兆円規模になると予測されています。日本や西欧5カ国など医療先進国での成長は緩やかですが、アジア・東欧・北欧・ロシアなどの新興国では今後も成長が続いていきます。

・2013年度には感染症、つまり目の表面の疾患が主でしたが、2020年には網膜や緑内障など目の後ろへと疾患が進み、より高度な医療が必要とされます。

・そうしたなか、当社は、どのように成長していくのか、何を目指しているか。2020年までの長期経営ビジョンとして「世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニーの実現」を掲げました。

・患者や眼科医など、目を取り巻く環境にいる皆さまが何を望んでいるのか、何を必要とされているのか、今まで以上に深く考えていきます。また、今まで手に入れてきた強みをさらに伸ばすことで、競争力がある企業であり続けます。さらに、ビジネスの基盤を日本だけではなく、海外にも広げます。これらによって長期経営ビジョンを実現していきます。

・2013年度時点では国内基盤の強化とアジア・欧州への展開準備が完了しました。

・2017年度、アジア・欧州地域の成長と収益化を行います。事業基盤は既に整備・強化され、順調に収益が上がる体制ができました。アメリカ市場参入の展開も進めてきました。海外売上高比率も2016年度で27%となり、目標の30%に近づいています。

・2020年度には最終的に海外売上高比率を40〜50%にしようと頑張っています。

・当グループの連結決算は2013年度から2017年度までの5年間で、売上高が約10.5%、利益が9.7%の成長を続けました。市場の成長が6%なので、それ以上の成長を続けてきたことになります。

・2017年度の決算では売上高は2,180億円で、初の2,000億円超えを目指しています。営業利益は440億円で、前期比10%以上の増益を目指しています。

・国内医療用医薬事業は、どうしても政府の薬価改定の影響を受けます。影響を受けない新薬を継続して上市するとともに、早期発見や治療を継続していく方法を提案し、市場そのものを大きくしていく努力を続けることで成長しようと考えています。ここ5年間の年平均成長率が7.4%で、これを維持していきます。

・一般用医薬品事業は2013〜2014年当時は70億円程度の事業でしたが、中国からの観光客が来日し、お土産として購入、爆発的な人気が出ました。2015年には売上高が100億円を超える事業規模に成長しました。今後もインバウンド需要を確実に取り込んでいきます。

・国内向けに、いろいろな成分を高濃度で溶かし込んだ高機能・高価格帯の新製品を出したところ、好評を頂きました。海外からの需要と国内の需要を事業の両輪として、引き続き成長し、一般用医薬品事業でも日本一になりたいと夢を抱いています。

・アジアでは中国・韓国・ベトナムの3カ国が重点国です。非常に成長を続けている地域です。

・中国では10年以上事業を展開しているのですが、国が広く、沿岸部の病院しかカバーできていません。販売体制を強化し、内陸部の病院もカバーできるよう努力を続けています。

・中国の地場の企業に負けないように、地元企業とジョイントベンチャーをつくり、独自の生産活動も始めようとしているところです。

・アジアには、いろいろな国があり、各国で必要とされている薬が違います。日本では特許が切れて古くなった製品でもアジアでは必要とされています。新たな研究開発をせずとも、効果が確かめられた薬をアジア各国に展開するビジネスも有効で、効率のいい事業を進めることができます。当社にとって、アジアは大きな柱になります。

・EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)では2014年にアメリカのメルクから買収した製品や当社が独自に開発した重症ドライアイに伴う角膜炎治療薬「Ikervis(アイケルビス)」を中心に販売努力を続けています。アジアや日本と比べると知名度が低く、こうした新製品を中心にブランド力を高めていきます。ロシアや東欧への進出も本格化したいと考えています。

・緑内障、ドライアイ、網膜、感染症と、いろいろな病気に、いろいろなパイプラインを持って展開してきました。現在、開発中の製品は日本だけではなく、全世界への展開を企図しています。

 

4.株主還元について

・株価は2017年5月の決算発表以降、少し下がってしまいましたが、8月頭の第1四半期の決算以降、持ち直しました。

・短期的に見ると上がり下がりはありますが、長期的には、そうではありません。2013年1月4日と2017年8月23日の当社の株価、東証医薬品指数、TOPIXの3つを比べると、株価1,678円で指数が249、東証医薬品指数が183、TOPIXが180でした。この4年間、東証医薬品指数やTOPIXより、当社株のほうが良いパフォーマンスでした。

・当社は配当性向を重要な指標と考え、おおむね40%とする基本方針を掲げています。2017年度は上期と下期を合わせて26円の配当を予定しています。

 

5.質疑応答

Q1.今後の発展のためM&Aも重要だと思いますが、考え方をお聞かせください。

A1.2014年度にアメリカのメルクから眼科薬事業を承継しました。2015年度にはリウマチ薬事業を売却。2016年度には緑内障の医療デバイスを開発しているアメリカのインフォーカスを買収しました。事業展開のためにはM&Aも必要と考え、取り組んでいます。ただ、当社は独自に販売体制を持っており、むやみに眼科薬の会社を買えばいいとは考えていません。かえって効率が悪くなることもあり、M&Aによって、どのような相乗効果があるのかを検討してから進めています。今後は会社そのものというより、パイプライン(新薬候補)を買うことが多くなるのではないかと思います。パイプラインに対して当社の研究力を使うことで、開発期間を短くして製品化する確率を高め、できあがった新薬を当社の販売体制で売ることが最も効率的であると考えています。

 

Q2.ジェネリック医薬品についてはどうでしょうか。

A2.政府は数年後にはジェネリックの割合を80%にしようという方針を掲げています。ただ、点眼薬はジェネリックの企業が入りにくい市場です。わざわざ目薬用のラインをつくることは大変にお金がかかります。古いデータですが、日本の医療用医薬品市場のうち、点眼薬が占める割合は2%に過ぎません。たったそれだけのために、しかも市場の半分を当社が占めている状況では他社は入って来づらい。全身薬と比べ、点眼薬のジェネリックへの参入は遅れています。ただ、徐々には入ってきており、当社としては新しい形態としてオーソライズドジェネリックなどの検討も進め、ドクターとの信頼関係をより一層深くすることで、引き続き当社の製品を処方していただくように注力していきます。

 

Q3.眼科疾患の予防薬はあるのでしょうか。

A3.具体的に予防を目的として上市されている薬はございません。しかし、例えば花粉症用にアレジオンという薬を販売していますが、花粉が飛ぶ前から早めに眼科に行って処方していただくと、花粉の最盛期になっても炎症が抑えられる結果は出ています。そういった意味で、早めに眼科に行っていただくことは一つの有効な方法だと思います。当社はサプリメント事業も手がけており、ルテインという成分が含まれているサンテルタックスを発売しています。加齢黄斑変性の発症を遅らせることを目的としたものです。2017年10月以降には緑内障の発症を遅らせるサプリメントの発売も検討しています。これらが予防のお役に立てるのではないかと考えます。

 

Q4.日本における御社の地位や強みを教えてください。

A4.約45〜46%のシェアを占めており、2位の企業は、その約半分以下のシェアです。当社は眼科だけに特化してきた会社で、経営資源を目に集中させることができます。対して、2位以下の企業は全身薬を展開する中の一部として眼科薬を提供しています。他分野の経営状況によっては眼科薬にお金を割けない事態が発生しますから、目の疾患領域すべてをカバーしているわけではありません。当社は、すべてをカバーしています。50年以上にわたって医療用点眼薬に特化してきた実績と、それに対する信頼もあり、引き続きナンバーワンの地位を守っていけると考えます。

 

Q5.御社にとって円安と円高は、どちらが有利でしょうか。

A5.現在の事業展開では為替の影響を受けない構造となっています。綿密に計算したところ、2,000億円規模の売上高で、2,000万円程度しか影響を受けないことがわかりました。円高で売上高が増えても費用も増え、プラスマイナスゼロという状況になっています。数年後にはアメリカ市場に参入を予定しており、アメリカ市場の売り上げが大きくなると、影響を被るようになるかもしれません。今のところは為替の影響を受けない企業だとお考えいただいて結構です。

 

Q6.今後は、どのようしてシェアを上げていくのでしょうか。

A6.この45.5%以上にシェアを増やしていくことは難しい状況だと思います。従って、当社は市場を大きくしていく中で、このシェアを維持しようと考えています。今後、高齢化社会で緑内障を中心に新規の患者が増えていくので、眼科薬市場も伸びていくと思います。当社の売上高で最も大きいアイリーアという薬が適応症としている加齢黄斑変性は、眼科だけではなく糖尿病などが原因で発症する場合があります。従って、当社も眼科だけに営業活動をするのではなく、アイリーアであれば糖尿病の医師、抗アレルギーのアレジオンであれば耳鼻科医などにもアプローチをすることで、市場を大きくしようと考えています。

 

Q7.2020年までに海外売上高比率を40〜50%を目標とされていますが、成長が見込まれる市場などを教えてください。

A7.今のところ最も力強い成長を示しているのはアジア事業です。2ケタ成長が数年続いており、今後も続くと見ています。アジア事業に中国が占める割合は約60%で、これからも中国市場は伸びていきます。人口も多く、医師もこれから増えていくので、当社の目薬を使っていただく機会がますます増えていくと思います。ヨーロッパは日本と同じく成熟した市場ですが、ロシア・東欧・北欧は中国と同じように広がっていく市場です。昔からフィンランドに大きな子会社があった関係で、ロシア・東欧・北欧については他社よりも強い販売網があります。これを活用してヨーロッパの新興市場でも成長を続けることで、40〜50%の海外売上高比率を実現したいと考えています。

 

以 上

 

 

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