株式会社串カツ田中(3547)
開催日:2017年9月9日
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長 貫 啓二 氏

 

1.会社概要
・ 当社は東京・五反田に本社を置き、「串カツ田中」の単一ブランドで事業を展開しています。関東から日本全国に出店エリアを広げている最中で、まだまだ関東圏以外では知名度の低い会社です。2016年11月期の売上高は39億7,200万円です。
・ 社長の私は高校卒業後10年間、トヨタ輸送株式会社という物流会社に勤め、オークション会場で車のオペレーションを行う業務や、かんばん方式による車の生産管理に携わりながら、週末に趣味でバーベキューなどのイベントを開催していました。イベントの企画から運営・集金・支払いまで全てを行うのがとても楽しく、これを一生涯の仕事にしようと会社を退職し、大阪・心斎橋にショットバーを開店しました。
・ ショットバーにアルバイト第1号で入ったのが、「串カツ田中」の現副社長・田中です。彼女は広告代理店勤務経験がありトレンドに強く、流行りの店を経営しようと二人で話し合って2001年にデザイナーズレストランを心斎橋にオープンしました。この店は流行を追いかけて非常に繁盛しましたが、長く続いて社会貢献できる業態ではないと考えていました。「10年20年30年と食べ継がれる飲食企業になりたい」と話し合い、大阪・西成区で幼少時から串カツを食べ続けてきた田中は熱心に串カツ店を提案しましたが、亡父の残したレシピが見つからず、議論の末、東京・表参道に私の希望で高級京懐石「京料理みな瀬」を開店しました。
・ デザイナーズレストランの経営が悪化し会社経営的にはぎりぎりの状態でしたが、「京料理みな瀬」がとても繁盛していた2008年、リーマンショックが起こりました。「みな瀬」は接待のお客様が大半でしたから、たちまち弁護士に倒産を相談するまでに追い込まれました。田中は東京を去る準備のため一時帰省しましたが、このとき亡父の串カツレシピを発見、試作してみるとこれが実に美味しく、「最後にやりたかった商売を」と2008年12月、世田谷の閑静な住宅街に14坪24席の「串カツ田中」1号店を開店しました。
・ 世田谷店は、居抜きで借りた格安物件を自らの手で改装し、厨房機器などをヤフーオークションで買い集めて300万円ほどでつくりました。売上目標を月400〜450万円としましたが、月間売上800万円、毎日オープン前に2回転分ぐらいの行列ができる店舗に育ちました。店舗数は本日(2017年9月9日)オープンした尼崎店を含め158店舗ですが、ここまで拡大するために1号店は世田谷店でなければなかったという「幸運のお店」です。
・ 1号店が繁盛すると「串カツは儲かる」と、価格も見た目も一緒ですが、ただ食材に串を打ってパン粉をつけて揚げただけという模倣店が現れました。東京ではあまりなじみのない串カツです。模倣店で美味しくない経験をすれば「たまたまその店が不味い」ではなく「串カツは不味い」となり、串カツも「串カツ田中」も未来を断たれます。どうにかスピード展開できないかとは思うものの、マイナス8,000万円からの債務超過ぎりぎりの状態では困難なので、フランチャイズ戦略をスタートしました。「串カツ田中」の串カツを最初に召し上がっていただき、味の基準をつくっていただこうという戦略です。「フランチャイズは儲かるでしょう」と言われますが「串カツ田中」と串カツという文化を守りたい一心でした。
・ フランチャイズ展開に際してはfacebookのみで加盟店開発を行いましたが、模倣店が出るほど話題になっていただけあって、加盟店開発費もかけずに順調に拡大し、2013年には最も注目を浴びて成長した外食店として「外食アワード2013」を受賞しました。株式会社鳥貴族をはじめ数多くの上場企業が受賞している賞です。2014年に50店舗出店を達成、地方出店と順調に進んで2016年9月に東京証券取引所マザーズ市場に上場しました。
・ 企業理念は「串カツ田中の串カツで、一人でも多くの笑顔を生むことにより、社会貢献する」です。数ある飲食企業の中から「串カツ田中」を選んでいただかないと、働き手も確保できません。今また人不足が問題になり飲食企業はとくにブラックなどと言われる中で、当社は1店舗目からこの理念を挙げ、一人でも多くのお客様の笑顔、スタッフの笑顔、地域貢献を念頭に運営してきました。おかげで採用は順調、離職も抑えて成長できています。今後も取引先様、株主様と「三方良し」を目指します。目標は1,000店舗体制を構築して「串カツ田中」の串カツを日本を代表する食文化にすることです。
・ 当社の事業系統図は極めて単純で、「串カツ田中」の串カツを直接お客様に提供して商いをする、FC店に販売していただきロイヤリティ5%を得る、卸業をしながら食材等の販売をする、この3本の柱で事業を展開しています。

 

2.「串カツ田中」ブランドの特徴
・ 特徴の一つは差別化を図ったこだわりの商品です。当社の串カツは田中の実家の味で、居酒屋メニューの1品で入っている串カツとは明らかに違います。マネージャースタッフは「大阪ソウルフード研修」で、たこ焼き・お好み焼きを食べたり、串カツ店を何軒もはしごしたりしますが、研修後のアンケートを取ると「『串カツ田中』の串カツに自信を持ちました」という意見が非常に多く、当社にとっても大きな自信となっています。レシピは社内外秘で社長の私と副社長の田中だけが知っており、アルバイト社員がそれを流出させることはできない仕組みになっています。
・ 大阪の串カツ屋のようにビール2本程度、30分1,500円で帰るスタイルは世田谷や江東区のようなマーケットの小さい住宅街では難しく、かといってそうしたマーケットを避けては串カツを日本を代表する食文化にすることはできません。大阪の名物をいろいろ揃えて2400円程度で楽しめるようにメニューを構成しています。
・ 特徴の二つ目はお客様を笑顔にする「接客」です。「“楽しい”を作ろう。」が当社のキーワードです。自分の大事な1時間を1,000円という対価で切り売りするのではなく「“学び”と“一所懸命”によって1,000円以上のものにする」と従業員には教育しています。賞賛欲求も満たせる取り組みを行ったり、名物チンチロリンハイボールのように従業員とお客様がともに元気になるような商品を開発したりしています。チンチロリンハイボールとは、サイコロを二つ振ってゾロ目が出たら無料になる商品です。「チンチロリン入りましたー」とスタッフに鐘を持たせてカランカランとやることで恥ずかしがり屋のスタッフでも声のトーンが統一され、店が湧きたってきます。また、ドリンクが無料になる子供じゃんけんや、無料のソフトクリームを巻かせてあげるなど、お子様向けの体験型サービスもとり入れて、お客様の笑顔を大事にしています。
・ 従業員が楽しく笑顔で働けるよう、週休2日を連休で取らせ有給休暇を100%消化させるほか、公正公平な評価制度によってやりがいのある環境をつくっています。
・ 特徴の三つ目は「店舗」です。東京ではあちこちの駅で当社の店舗が見かけられるかもしれません。赤提灯をぶら下げた大衆酒場ですが、ファミリーはじめ幅広い層に来店いただきたいので、間口を広く、煌々と照らした明るい店内で安心して召し上がっていただけるよう衛生面にも非常に力を入れています。

 

3.当社の特徴と強み
・ 世田谷店を約300万円でつくり、投資回収が非常に早く、約3年で8,000万円の負債をすべて返したことは非常な強みと感じています。
・ 1業態のため経営数値が標準化しています。赤坂と世田谷と江東区木場とでFLR(F=フード原価、L=レイバーコスト、R=レント(家賃))にあまりばらつきがありません。地価の高い場所に出せばRは上がりますが、FLが比較的安定しているので非常に経営管理がしやすいモデルになっています。FCにも同じことが言えます。
・ 作業も標準化しています。電子マニュアルを採用し接客基準も調理工程もすべてiPadの動画で見ることができます。IPアドレスで管理しており、機密性も保たれます。
・ 調理工程はPB化を進めることで味のぶれがなくなり、仕込みの教育、仕込みの時間が減って単純化しています。衛生面も、黄色ブドウ球菌などは手で触る回数を減らせば危険度が減るので、物理的にも食中毒が出ないようにPB化を進めています。
・ 当社は出店立地が豊富で、これがとくに強みです。住宅繁華街、住宅街、地方のロードサイド、繁華街、オフィス街など、様々な場所に出店しています。「世田谷店でなければ今の158店舗はなかった」というのはこの点です。渋谷店のシステムは世田谷の住宅街には持ち込めないからと考えて世田谷に出店しないとなると、出店エリアが限られます。当社は松陰神社(東京都世田谷区)、尾山台(同)、方南町(東京都杉並区)といった住宅街にドミナント出店をしていきました。このようなエリアは日本中にたくさんあり、マーケット調査するとデータ上1,000以上ありますから1,000店を目標にしています。「なったらいいなあ」という夢物語ではなく誠実にしっかりとお客様に認められながら拡大して目標を必達します。
・ 世田谷店1号店で、月間売上高400〜450万円のつもりが、なぜ800万円までいったかといえば、想定顧客20〜40代に対して予想外のファミリーが多数来店したからです。今でもほぼ2〜3割がファミリー客です。これを強みに変えていこうと、今はお子様を当社の一番大事なお客様として、お子様向けの取り組みを実施しています。客単価が落ちてもお子様を大事にするのは、創業時の思いに戻って「10年20年30年食べ継がれるものを」「串カツを日本を代表するような食文化に」と考えたとき、お子様は10年後、自分のお金でお酒を飲むようになり、さらに10年後20年後、お子様を連れて来店されるかもしれません。マクドナルドが今また急回復しているのも、子供の頃食べた「忘れられない味」だからで、これを長期計画の最重要ポイントと考えています。

 

4.今後の戦略
・ 成長戦略として全国1,000店舗を目指して既存店売上の維持向上が大事と考えます。渋谷、新宿、池袋、恵比寿は今のところ売上が毎年5〜10%増えて順調に推移していますが、住宅街ではマーケットの拡大・膨張は望めません。現状を100%維持することを重要と捉え、既存店に注力しながら新規出店で拡大を図ります。
・ 衛生・品質管理と人材採用・教育を強化し、経営管理体制も規模拡大に先手を打って強化したいと考えています。具体策は以下の通りです。
・ クリンリネスのブラッシュアップを図り、覆面調査の回数を増やし点数を出して、評価制度や教育に取り入れています。また、検便の回数を増やしたり店の衛生検査の回数を増やしたりすることで、衛生が保たれた状態を維持します。「串カツ田中」は飲食店の中では極めて食中毒が出にくいビジネスですが、油断のないよう取り組んでいきます。
・ 関東圏以外はまだまだ出店余地があります。これをしっかりと埋めることで串カツを、日本を代表する、寿司・ラーメン・焼鳥に並ぶ食文化に育て、そのリーディングカンパニーとして一番を走り続けていきたいと考えています。新規出店は順調に推移しています。2017年11月期に40店舗を出店、直営店・FC店合わせて171店舗を目指しています。第2四半期終了時点でちょうど20店舗を出店し、順調に拡大しています。
・ 串カツ店は15坪ぐらいがベストですが、出店エリア拡大のため、狭小スペースで出店可能な立ち飲みの「串カツ田中」を要町(池袋の隣の住宅街)、新宿(繁華街)、新橋(オフィス街、2017年10月より)でテストしています。この3つでおおよそのデータがとれ、どのエリアに出店可能かが判ってきます。立ち呑み業態で顧客層の拡大を目指します。
・ お客様満足度の追求としてプレミアムフライデー企画を、2017年1月の最終金曜日からフライングフライデーとしてスタートさせました。先行スタートはおそらく日本中で当社だけで、フライング時からテレビの取材が殺到、2月の当日も取材対応が大変なほど入って毎月のプレミアムフライデーで売上が20〜30%伸び、経済産業省の方がお礼にみえるほど注目を浴びて順調です。
・ 飲食業の人材教育は現場で指導することが多く、教育方法によって多少のムラが生じます。そこで、串カツ田中アカデミー(KTA)を開講し、社会人としてのマナーから指導し、ビジネスマンとして基礎から育てています。店長まで最速でいけるよう研修を取り揃えることでスタッフの成長欲求を満たし、定着率向上を図ります。2017年から運用を始め、まだ明らかな成果は出ていませんが期待しています。

 

5.2017年11月期第2四半期の状況と株主還元策
・ 関東圏外の出店が進み、店舗数は150店舗を突破しました。名古屋や山口県など関東圏外にも出店していますが非常に順調で、拡大を推し進めたいと考えています。
・ 売上高と経常利益は、2014年11月期は上場基準に合わせるため横ばいになりましたが、その後は順調に伸ばしています。2017年11月期第2四半期は売上高37%増(前期同期比)、経常利益33%増(同)の成長をし、他の利益もしっかりと伸びています。直営店売上高も42.3%増(同)と伸ばすことができています。
・ 注力している既存店売上高は101.4%(同)と伸ばすことができています。お客様単価が97.7%と下がって来店数が増えているのは、試験的に串カツ全品100円キャンペーンを実施中だからです。
・ 創業店舗・世田谷店をフルリニューアルして串カツ全品100円企画を試験的に実施したところ、158店中でも極めて小さいマーケットですが売上が通常の108%や110%、月平均でも106%と伸びています。2017年11月期中、串カツ全品100円キャンペーンは店舗を増やしながら実施しています。名古屋でも戦前からある串カツ店3店舗の間に出店し、串カツ全品100円企画を行っていますが売上が非常によく、既存店売上も順調に推移しています。
・ 四半期業績の推移も今のところ順調です。第2四半期を過ぎた時点で目標に対して120%ほどと、第2四半期の予想を超えています。
・ 2017年11月期の配当金は未定です。株主優待について2016年11月期は、1単元以上すべて同一の優待内容でしたが、単元に応じて当社店舗をより多くご利用いただけるよう、100株以上保有の株主様に3,000円相当、200株以上保有の株主様に5,000円相当、300株以上保有の株主様に7,000円相当のお食事ご優待券を贈呈します。

 

6.質疑応答
Q1  単一ブランドで勝負しようというのはどういう理由があるか。
A1 店1軒つくるにも、メニュー開発・サービスにしても、非常に労力がかかります。飲食店は5年継続できる確率が20%ぐらいといわれていますが、単一業態に集中・執着して取り組むことができれば強いということが体験から明確にわかったというのが理由の一つです。もう一つは、飲食でマンモスチェーンに育った企業は大抵1業態ということがあります。「サイゼリア」(株式会社サイゼリア)しかり、「吉野家」(株式会社吉野家)しかり、「鳥貴族」(株式会社鳥貴族)しかり、「やきとり大吉」(ダイキチシステム株式会社)しかりです。その後マーケットが飽和状態になってきたときにM&Aを行うことはよくあるでしょうが、誰もが知っている大企業になろうと思えば1業態、と過去の例からも学んでいます。ある程度大きく育った企業がノウハウとお金と人材を使って2業態目をつくっても、結局失敗しています。大きな企業にするためには大事に大事に育てていくのが一番だと思いますし、こんなものが流行るのではないかと軽い気持ちで行ったものは、すぐにうまくいかなくなることを承知しています。田中の父親の思いを背負っているという執念をもって取り組むことが重要であると考えています。

 

Q2 今後の展開として1,000店体制までは単一ブランドで、串カツのみなのですか。他のブランドは考えていませんか。また、他の業態は考えていませんか。
A2 今のところ全く考えていません。2017年7月からコンビニエンスストアのスリーエフで「田中のおにぎり」を販売しています。会社の利益に貢献するような量ではありませんが、こうした企画に取り組むのは、「串カツ田中」のソースをいずれ全国のスーパーで販売することを考えているからです。串カツを、日本を代表する食文化にすることを本気で目指しているのです。明確な時期はまだ発表していませんが、1,000店舗は「串カツ田中」で達成したいと思っています。「牛角」のキムチのように物販・流通系にも参入したいですし、海外進出をはじめ「串カツ田中」でできることがいろいろあると思うので、他のものに気を散らして「串カツ田中」の成長を鈍化させるよりは、1業態でいきたいと考えています。

 

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